新型インフル感染者、300人を超す
ブカレスト発
2009年09月02日
保健省は8月31日、新型インフルエンザの感染者数が307人と発表した。5月末に初めて感染者が確認されてから、感染者数が増加しているものの、死者はまだ出ていない。
<7月末から8月末にかけて急増>
保健省によると、7月26日時点で107人だった感染者数は、8月6日に200人を超え、12日間で100人近くの感染が新たに確認された。さらに8月末には300人を超え、急増が続いている。
EU加盟国中の感染者数上位5ヵ国(8月30日時点)は、ドイツ1万5,567人、英国1万3,095人、ポルトガル2,244人、ギリシャ1,839人、スペイン1,538人。中・東欧諸国ではチェコ237人、ポーランド155人、ハンガリー151人、スロバキア117人、ブルガリア63人となっている。
<ワクチン接種が冬の流行期に間に合うか>
国立カンタクジノ研究所は英国の専門研究機関から新型インフルエンザウイルスの株を入手し、ワクチンの製造を始めている。ワクチン製造のため、2,100万レイ(1レイ=約31.3円)の予算が割り当てられている。
年末までに、人口の約25%に当たる500万人分のワクチンを用意する計画だ。しかし、ワクチン接種の開始時期は未定で、秋から冬にかけての流行期になる前に必要なワクチンを用意できるかが、感染拡大を防ぐためのカギになる。
国内では、5月末に国内初の感染者が出た後も、マスクを着けている一般市民を見かけることはない。現在は、公式発表では感染者数が約300人にとどまっているものの、各国の検査体制の違いによる判明の度合いの差が出ているだけとも考えられる。潜在的な感染者の拡大が懸念される。
(余田知弘)
(ルーマニア)
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