新型インフルの受診、国立病院から一般内科医へ移行
パリ発
2009年07月29日
政府は7月22日、新型インフルエンザの秋以降の感染拡大に備え、国立病院に一本化していた受診を原則的に一般の開業医に移行すると発表した。
<国内感染拡大に備える>
7月23日以降、国立病院に限られていた新型インフルエンザ感染者の受診を、原則として一般内科医へ移行する。感染者はホーム・ドクターである一般内科医の診察を受け、ホーム・ドクターが抗ウイルス剤の処方が必要か、インフルエンザ感染者を受け入れる医療施設へ移す必要があるかどうかを診断する。政府はまた、インフルエンザ感染者の受け入れ施設を112から450に増やした。
感染の疑いのある場合は常に入院を必要としていたが、今後は、新型インフルエンザ感染患者のうち重症患者だけを入院させ、そのほかの患者は自宅で隔離療養とし、感染患者に対する抗ウイルス剤の処方はケース・バイ・ケースとした。処方せんがあれば、インフルエンザ対策マスクと抗ウイルス剤は薬局で無料で配布される。
緊急医療援助隊(SAMU)や国立病院も新型インフルエンザに対応するが、国立病院での受診は重症患者か1歳未満の感染者に限ることになった。また、7月23日以降、厚生省のウェブサイトに内科医の質問に答え情報を提供するページが掲載されることになった。
この措置は、海外での接触に関係なく集団発生しているケースが出始めており、感染が国内へ浸透し始めていることが確認される一方、新型インフルエンザの毒性は鳥インフルエンザほど強くないという認識による。フランス国立公衆衛生監視研究所(InVS)によると、7月21日時点の新型インフルエンザの国内感染者数は延べ793人。死者はまだ出ていないものの、毎日約50人の感染者が出ている。政府は「人への感染力は強く、感染するスピードは速いが、ウイルス自体の毒性は鳥インフルエンザほど強くない」との見解を示している。
今のところ感染範囲は限定的としているものの夏季休暇が終わる9月から感染が拡大するとみられており、バシュロナルカン厚生・スポーツ相は「9月の新学期に国内の警戒水準をフェーズ5Aから6のパンデミックに引き上げる可能性もある」との見解を示した。
(奥山直子)
(フランス)
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