上海などでも新型インフルエンザ感染を確認−機内検査を全入国便に拡大−
上海発
2009年05月27日
上海市、浙江省、湖南省で5月25〜26日、相次いで新型インフルエンザ感染者が確認された。これまでの四川省や北京市などと合わせて、全国31省・市の4分の1に当たる8省・市で感染者が確認されており、感染は全国規模に拡大している。
<メルボルンからの帰国者が感染>
衛生部は5月25日、上海で新型インフルエンザ感染者を新たに確認したと発表した。
この感染者は30歳の中国人男性で、オーストラリアの企業に勤務している。5月23日、メルボルン発上海行きのCA178便で浦東空港に到着し、入国の際の体温検査で38.8度だったため、直ちに浦東新区の病院に入院し、25日までの検査で新型インフルエンザの感染者であることが正式に確認された。
また、感染者の座席の前後3列の搭乗客は、濃厚な接触があったと認定され、31人が隔離された。さらに同機に搭乗していた45人にも、所在地の衛生医療センターに毎日健康状況を報告するよう勧告が出された。
<機内検査を強化>
上海市は、これまで米国や日本など特定の国からの入国便だけを対象としていた機内検疫措置を、5月25日からすべての入国便で実施すると発表した。医療検査チームが機内に入り、乗客全員の体温検査(レーザータイプ)を実施する。体温(37.5度以上)などから感染の疑いがあると認められると、直ちに人院させるほか、濃厚接触者に対しても7日間の隔離措置を取る。
浦東空港だけで入国便が毎日200便以上あるため、検査をすべて実施する場合、かなり時間がかかるとみられる。これまでに4時間以上かかるケースが出ている。
中国では、新型インフルエンザの治療薬タミフルなどの備蓄が、日本に比べてかなり不足しているので、大流行になる前に閉じ込める必要があるという。今後、上海以外でも特に人口の多い大都市では、徹底的な検査体制を実施する可能性が高い。
<浙江、湖南では米国帰りの留学生>
上海とほぼ同時に、浙江省温州市と湖南省長沙市で感染者が新たに確認され、感染者は全国で12人となった。2人はいずれも米国への留学生で、帰国する途中に発症したようだ。
全国で感染者が確認されたのは、これまでの四川省や北京市、広東省、福建省、山東省に加えて8省・市となり、31省・市の4分の1に達した。厳しい予防体制にもかかわらず、感染は全国に拡大してきている。
(張培葉)
(中国)
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