豚インフルエンザ、ニューヨークの感染は限定的

(米国)

ニューヨーク発

2009年04月28日

豚インフルエンザの全米での感染者は、27日午後の段階で40人に達した。ニューヨークのある高校の生徒だけでこのうちの28人を占めている。ニューヨークではこの高校の生徒以外への感染は確認されていない。市内や現地日系企業も普段と変わらず平静を保っている。

<感染は特定高校の生徒だけ>
ニューヨーク市保健衛生局が27日13時30分に発表したプレスリリースによると、市内クイーンズ区にあるセント・フランシス高校の生徒への感染が確認された豚インフルエンザは、現在までに同校で28人の感染者と17人の疑わしい患者が出ていることが明らかになった。

これで全米の感染者はニューヨークの28人を含み合計で40人(ニューヨーク28人、カリフォルニア7人、カンザス2人、テキサス2人、オハイオ1人)となったが、ニューヨークを除く地域では、週末以降、感染者の拡大は確認されていない。

ニューヨークの高校生の患者も、入院者は皆無で、いずれも病状は重くなく、既に完治したか快方に向かっているという。市保健衛生局は市内の全病院をモニタリングしているが、現在までに類似の症例は見つかっておらず、同高校以外への感染者の拡大はまだ確認されていない、としている。

同高校は先週、インフルエンザに似た症状で約100人の生徒が学校を欠席しており、保健衛生局が25日に8人分の検体を米疾病対策センター(CDC)に送って検査したところ、豚インフルエンザへの感染が確認された。感染源は特定できていないが、イースター休暇中に家族でメキシコに旅行した生徒もいるという。

<繁華街も日系企業も平静>
多くの日系企業が事務所を構えるマンハッタンは、普段と全く変わらない様子だ。発生が川を隔てた隣の区であること、感染者の発生が1ヵ所にとどまっていること、症状も軽いというニュースが伝わっていること、などが要因として挙げられる。

現地日系企業の対応も、聞いた限りでは「メキシコへの渡航自粛などは全社的に発令されているが、ニューヨークでは特段の制限事項は今のところない」という。ニューヨーク総領事館も今のところ、感染状況や手洗い・うがいなど市民による自衛策を伝えた市保健衛生局のプレスリリースを紹介するなど、情報提供に努めている段階だ。

(梶田朗)

(米国)

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