世界の政治・経済日程(2009年)

(欧州)

欧州課

2008年12月26日

2009年のEU議長国は、前半をチェコ、後半をスウェーデンが務める。チェコはリスボン条約の年内の発効を目指すが、同条約の批准を国民投票で否決したアイルランドを除いて唯一手続きを進めておらず、議長国として早期の批准を求められる。

アイルランドは08年12月の欧州理事会(EU首脳会議)で、現在の欧州委員会の任期が終了する09年10月末までに再度国民投票を実施、条約を批准することを約束した。ただし、アイルランドは、リスボン条約が国内の税制、中立政策、中絶に関する政策などに影響するものではない、という法的な保証を受けることを条件としている。

これにより08年6月の欧州議会選挙は、ニース条約に基づき実施されることになり、議席数は736となる。また、同条約では欧州委員会の定員数を各加盟国1人ずつの27人から削減することを定めている。定員数減を避けるため、10月末の任期終了前のリスボン条約発効を目指す。

スロバキアが09年1月1日から16番目のユーロ導入国となった。金融危機により為替相場は大きく変動しており、ユーロ導入10周年の年に正念場を迎える。

クロアチアのEU加盟交渉は最終局面を迎える。欧州委が08年11月に発表した進捗報告によると、技術的な交渉は順調に行けば09年中に終了する見込み。EUでの手続きも含め、10年の加盟を目指す。

スイスは、EUとの就労・居住の自由協定を継続するかなどについて、09年2月8日に国民投票を実施する予定。スイスは、08年12月にシェンゲン協定実施国となったが、もし国民投票で協定継続が否決されれば、国境での入国審査廃止は事実上難しく、シェンゲン協定の実施も困難になる。

金融危機の大きな影響を受けた欧州経済は、09年中は急激に減速する見通し。欧州委員会は「秋季経済見通し」(08年11月)で09年のEUの実質GDP成長率を0.2%と予測するが、さらなる減速も見込まれる状況だ。4月にロンドンで開催予定のG20(第2回金融サミット)で、EUとしてまとまった経済政策を提言できるかどうか。

EUは06年10月に「グローバル・ヨーロッパ」と題した新戦略を発表、07年5月に韓国、ASEANと、6月にインドと自由貿易協定(FTA)交渉をそれぞれ開始した。韓国との交渉は大詰めを迎えており、遅くとも09年中の合意が見込まれる。インド、ASEANとの交渉は進展しておらず、09年中の合意は難しいとみられる。

08年9月に基本合意した日スイス自由貿易経済連携協定(FTEPA)は、2月に調印、09年中に発効する見込みだ。

ドイツでは9月に連邦議会選挙が実施される。

<1月>
1月1日スロバキアがユーロ導入
1月18日ドイツ・ヘッセン州議会選挙
1〜6月チェコがEU議長国に就任

<2月>
2月8日スイス国民投票(EUとの2国間協定による就労・居住の自由など)
2月26〜27日北欧首脳会議: グローバリゼーションフォーラム(アイスランド)

<3月>
3月ごろスペイン・ガリシア自治州選挙

<4月>
4月2日G20第2回金融サミット(ロンドン)
4月2〜4日NATO首脳会議(フランス・ストラスブール/ドイツ・ケール)

<5月>
5月23日ドイツ大統領選挙
5月27〜29日ヘルシンキ化学品フォーラム〔欧州化学品庁(ECHA)主催〕
5月5〜6日北欧閣僚理事会(コペンハーゲン)

<6月>
6月4日英国・イングランド地方各市長・地方議員選挙
6月4〜7日欧州議会選挙(EU加盟国)
6月7日ベルギー・地域政府議会議員選挙、ベルギー・フランス語共同体・ドイツ語共同体議会議員選挙

<7月>
7月8〜10日G8サミット(イタリア・マッダレーナ島)
7〜12月スウェーデンがEU議長国に就任

<8月>
8月30日ドイツ・ザールラント州議会選挙
8月30日ドイツ・ザクセン州議会選挙
8月30日ドイツ・チューリンゲン州議会選挙

<9月>
9月27日ドイツ・連邦議会(下院)総選挙

<10月>
10月末欧州委員会任期終了

<11月>
11〜12月ルーマニア大統領選挙

<12月>
12月9〜10日北欧閣僚理事会(コペンハーゲン)

<日程未定>
上半期スペイン・バスク自治州選挙


欧州理事会(ブリュッセル:3月19〜20日、6月18〜19日、11月5〜6日、12月17〜18日)

EU一般問題理事会(ブリュッセル:1月26〜27日、2月23〜24日、3月16〜17日、4月27〜28日、5月18〜19日、6月15〜16日、7月27〜28日、9月14〜15日、11月3日、11月23〜24日、12月14〜15日)
(ルクセンブルク:10月12・13日)

EU経済・財務理事会(ブリュッセル:1月20日、2月10日、3月10日、5月5日、6月9日、7月7日、7月10日、11月10日、11月20日、12月8日)
(ルクセンブルク:10月20日)
(非公式プラハ:4月3〜4日ヨーテボリ:9月25〜26日)

EU競争理事会(ブリュッセル:3月5〜6日、5月28〜29日、9月24〜25日、12月3〜4日)
(非公式プラハ:5月3〜5日ウメオ:10月14〜16日)

欧州議会会議(ストラスブール:1月12〜15日、2月2〜5日、3月9〜12日、3月23〜26日、4月21〜24日、5月4〜7日、7月14〜16日、9月14〜17日、10月19〜22日、11月23〜26日、12月14〜17日)
(ブリュッセル:2月18〜19日、4月1〜2日、10月7〜8日、11月11〜12日)

欧州中央銀行(ECB)政策理事会(フランクフルト:1月15日、2月5日、2月19日、3月5日、4月23日、5月7日、5月20日、6月4日、7月16日、8月6日、9月3日、10月8日、10月22日、11月19日、11月5日、12月3日)
(ローマ:4月2日)、(ルクセンブルク:7月2日)

欧州中央銀行(ECB)一般理事会(フランクフルト:3月19日、6月18日、9月17日、12月17日)

(欧州)

ビジネス短信 495355f272fd8