政府、国際金融危機の影響なしと発表−1〜9月のGDP成長率は9.4%−

(ウズベキスタン)

タシケント発

2008年11月05日

政府はこのほど、1〜9月の経済実績を発表するとともに、国際金融危機の影響を受けていないと発表した。しかし、民間などには、間接的影響は避けられず、好調な経済の先行きを不安視する見方もある。

<「外国金融資本に依存していないので」と政府>
政府が10月17日に発表した1〜9月の経済指標(前年同期比の伸び率)は、GDPが9.4%(上半期9.3%)、鉱工業生産が12.4%(同12.2%)〔うち消費財生産18.4%(同16.6%)〕、農業が4%(同5.4%)、固定資本投資が22.4%(同19.8%)で、経済は順調に成長している。政府は好調な輸出、直接投資の増加、税負担の軽減などが好景気の背景にあると説明している。

特に金融システムへの国際金融危機の影響については、「国内の銀行システムは、多くの国を巻き込んだ大規模な金融危機にもかかわらず確実に発展している。外国金融資本に依存していないので、外国からの否定的影響を受けていない」と危機を明確に否定した。

国内大手のアサカ銀行(株式の98.33%を財務省、1.67%を自動車産業公社ウズアフトサノアトが所有)のイブラギモフ副頭取も同様の見方で「欧米、ロシア、カザフスタンなどの周辺国の経済に起きているような影響は、ウズベキスタンには事実上及んでいない」と述べている(経済誌「エコノミチェスコエ・オボズレニエ」2008年8号=10月20日)。

<「金融危機は経済成長に影響」との見方も>
一方、世界経済変動の影響は避けられないとする見方もある。この経済誌は別のコラムで「ウズベキスタンが輸出しているエネルギー資源、金属その他の原料価格の急落が8月に始まった。上半期は好調だった輸出は、下半期に変化する」と指摘している。また、非政府組織「経済発展協力センター」で所長を務め、国連開発計画(UNDP)のウズベキスタン畜産プロジェクト顧問のユーリー・ユスポフ氏は「金融危機は間接的に関係する。貿易相手国の経済鈍化が発注減少につながり、ひいては経済成長にまで影響する」とみている(ロシア語独立系紙「ノーボスチ・ウズベキスタナ」10月3日)。

(芝元英一)

(ウズベキスタン)

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