北欧5ヵ国首相がアイスランドの金融危機を協議
コペンハーゲン発
2008年10月30日
北欧5ヵ国で構成する北欧理事会の首相会議が10月27日、フィンランドのヘルシンキで開催され、アイスランドのハーデ首相はデンマーク、ノルウェー、フィンランド、スウェーデンの4ヵ国に資金の追加支援を要請した。
<具体的支援額には触れず>
北欧理事会(注1)の首相会議で出された共同声明の要旨は以下のとおり。
○金融危機が与える世界経済へのマイナス効果を懸念し、国際金融市場の機能を改善するための、より効果的でグローバルな規則が必要。
○危機に対し、より効果的な早期警戒システムを構築し、国際金融部門の指揮と監督システムを導入し、国際金融機関の強化を図る。
○アイスランドのハーデ首相は、アイスランドの最新の状況を説明。各国首相はアイスランドとの連帯感を強調し、ほかの北欧諸国は危機の際に相互に支援することで合意。
○アイスランドとIMFとの安定化プログラムの予備協定を注視し、IMF委員会で議論される際は、北欧諸国は同プログラムを支持し、アイスランドの経済安定化に向けて努力する。
○アイスランドの危機回復を確実にするため、政府高官による北欧委員会を設立し、IMF安定化プログラムの履行の監視・調整に当たらせる。
○アイスランド中央銀行は、2008年5月のスワップ協定(注2)に基づき、既にデンマークとノルウェーの2ヵ国から、各2億ユーロ(合計4億ユーロ)を調達しているが、さらに調達額の追加を要求した。
会議の後の記者会見で、「なぜ、各国は会議中に支援額を決定しなかったのか」との記者団の質問に対し、デンマークのラスムセン首相は「各国とも支援の額を決定するのは中央銀行であり、政府は介入できない」と答えた。また、IMFアイスランド危機担当のポール・トムセン代表は「アイスランドの経済は09年に最大10%縮小するだろう」と語った。
<アイスランドはEU加盟に傾く>
アイスランド中銀は10月28日、通貨への信頼を回復するため、政策金利を12%から18%に引き上げると発表。同行は、2週間前に政策金利を15.5%から3.5ポイント下げたばかりだが、今回の利上げはIMFから融資を受ける上で必要だったとされている。
深刻なアイスランド経済危機は、EUに対するアイスランド人の考えを変えた。2月のEU加盟に関する世論調査では、国民の55.1%が賛成派だったが、最近の世論調査では賛成派が急増し、68.8%がEU加盟を希望、ユーロ導入希望者は72.5%となっている。
(注1)北欧5ヵ国(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランド、デンマーク)で構成され、北欧の協調、協力、団結を目的とする国際組織。
(注2)スワップ協定:08年5月16日、スウェーデン、ノルウェー、デンマークの各中銀は、アイスランド中銀との間で、各国最大5億ユーロ(合計15億ユーロ)までのユーロ/アイスランド・クローナの通貨スワップ協定を結んだ。
(ハーリ・ビンター)
(アイスランド・北欧)
ビジネス短信 490919cba8368