アルミ、鉄鋼業界で輸入制限措置への意見分かれる

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年05月08日

米国政府は4月30日、1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼とアルミニウムへの関税賦課について、ブラジルへの適用免除の継続・延長を決定した。しかし、ブラジル商工サービス省および外務省は同日付のプレスリリースで、米国政府が4月26日、一時的に適用免除となっている関税の即時賦課か、一方的な輸入割当の採用いずれかを選択するよう求め、交渉中断を通告してきたことに不満を表明、ブラジル政府としては双方にとって合理的な解決に向け取り組みを続けるとの姿勢を強調した。

関税賦課か輸入割当か

同プレスリリースによると、国内のアルミニウム業界は10%の関税賦課の方がマイナスの影響が小さいとする一方、鉄鋼業界は輸入割当の方が25%の関税賦課より影響が小さいと主張するなど意見が分かれている。「バロール・エコノミコ」紙(5月2日)によると、輸入割当は過去3年間の輸出実績を基に設定されるとみられ、この期間にアルミニウムの対米輸出実績が低水準だったことを背景に、アルミニウム業界では関税賦課の方が条件的に有利と捉えられているようだ。

鉄鋼に関しては、2018年5月3日付の同紙でブラジル鉄鋼院のマルコ・ポロ・デ・メロ総裁が、半製品の場合、米国の鉄鋼メーカーが加工する原材料であり、輸入割当という米国側の提案は全てが悪い条件というわけではないとする一方、完成品に関しては製品が多岐にわたるため影響が見通しにくいと語っている。ブラジル鉄鋼院では、2017年の米国向け鉄鋼半製品の輸出量は410万トン、完成品は92万トンだったが、米国側の制限措置により2018年は半製品で7.4%減、完成品で2割~6割減になる可能性があるとの見方を示した〔鉄鋼(HSコード72類、73類)およびアルミニウム(同76類)の2017年の国別輸出割合は添付資料の図参照〕。

(二宮康史)

(ブラジル)

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