ムスタパ国際貿易産業相、日本の中小企業進出支援を約束

(マレーシア、日本)

アジア大洋州課

2017年04月25日

 マレーシア進出・市場開拓に取り組む日本の中小企業15社が4月12日、来日したムスタパ・モハマド国際貿易産業相と面談した。各社は自社の製品・サービスの強み、進出計画とその課題、マレーシア政府に対する要望などを伝えた。ムスタパ氏は日本の中小企業のマレーシア進出を歓迎するとともに、課題や要望に理解を示し、支援していく旨を述べた。

対話の場に中小企業15社が出席

ジェトロは4月12日に東京都内で、マレーシアのムスタパ国際貿易産業相と、マレーシア進出や市場開拓を目指す日本の中小企業とのビジネス対話の場を設けた。ムスタパ氏はマレーシア投資開発庁(MIDA)主催の「マレーシアにおけるビジネス機会セミナー」のため来日していた。

ムスタパ氏と面談したのは、ジェトロの「新輸出大国コンソーシアム」事業に採択され、専門家とともにマレーシアでの販売体制の構築や生産拠点の設立などに取り組んでいる日本の中小企業15社。同事業はこれまで400人の専門家が4,000社を超える企業の海外展開を支援している。マレーシアは、支援企業の海外展開先としての関心が、米国、ベトナム、中国、タイ、台湾に次いで6番目に高い。

冒頭、ムスタパ氏は「中小企業の重要性を認識しており、対話の機会ができてうれしい。マレーシアの中小企業の大部分は零細企業。日本など外国企業との連携にも目を向け、生産性を向上させる必要がある」と述べた。各社は自社の製品・サービスの特長や強みをアピールし、マレーシア進出の計画や進捗状況について説明するとともに、現在の課題やマレーシア政府への要望を伝えた。

写真 冒頭あいさつをするムスタパ国際貿易産業相(右から5人目)(ジェトロ撮影)

販路開拓のパートナー探しが課題

マレーシアでの販路開拓に取り組む中小企業は、販売代理店やパートナー探しで課題を抱えている。衛生用品を製造・販売するA社は「信用できる現地代理店の情報が欲しい」と要望した。医療機器メーカーB社は、病院用の設備用品でハラールを念頭に置いた市場開拓を目指しており、「パートナーとなる販売代理店探しが課題だ」と述べた。

このほか、化粧品、インフラ機器、アニメーション制作などの企業からも同様の要望が相次ぎ、ムスタパ氏は「ジェトロとも協力しながら、良いパートナーを紹介したい」と支援の意向を示した。

生産拠点の設立に取り組む企業からは、投資のインセンティブや規制に関する情報や相談窓口を知りたいという声が相次いだ。創業130年を超えるC社は、初めての海外進出先にマレーシアを選んだ。製造する化学品は日本国内でのシェアが90%を占める。南海トラフ地震などが想定されることから、「災害による製品供給の遮断を避けるため、海外生産拠点の設立が急務」という。既に工場賃借契約が済んでおり、ムスタパ氏に、設備投資に対するインセンティブの情報提供を求めた。

バイオマス関連のD社は現地法人を設立し、パームヤシから採れるバイオマス燃料を世界市場に輸出している。今後、日本をはじめとする国・地域でのバイオマス燃料需要の高まりを見据え、マレーシア政府に対してさらなる輸出促進への支援を要望した。

対話を通じて具体的な進展も

ムスタパ氏は、中小企業のマレーシアにおける事業計画を歓迎し、国際貿易産業省傘下のMIDA、ジェトロとともに支援に資する協力をしていくと述べた。

参加した企業からは、「新輸出大国コンソーシアム事業の支援企業として対話に参加し、中小企業であるわれわれの声を直接、大臣に届けることができた」「大臣から直接、具体的な回答をもらえたことが有用だった」といった声が聞かれた。また、「今回の対話を通じてマレーシア政府関係者と会い、アドバイスや窓口の紹介を受けることができた。商談への道筋をつけられそうだ」と話す企業もあった。

(北見創、田中麻理)

(マレーシア、日本)

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