海外発トレンドレポート
祝日・年間行事とバイヤーの年間スケジュール解説(米国のデザイン・日用品分野最新トレンドシリーズ(1))
(米国・NY発)
2023年2月14日
市場参入に役立つバイヤーの月別スケジュールを知る
本レポートでは、日本企業がデザイン・日用品分野で米国市場へ参入する際に知っておくべき米国の祝日と年間行事を紹介するとともに、バイヤーが米国の年間行事にあわせてどのようなスケジュールで市場視察、商品選定、購買等しているかを解説する。また、ホリデーシーズンが米国市場で最も重要なシーズンであることは日本でも認知されているが、その購買拡大のタイミングを見計らって、バイヤーがどのように行動するかを、2023年1月中旬、長年バイヤーとして活躍し、現在はデザイン・ギフトショップのバイヤーを努めるM氏(マサチューセッツ州ボストン市、ハーバード大学近郊で、クラシックテイストのギフトアイテムを中心に、デザイン・日用品を扱う人気ショップのマネージャー兼バイヤー)に、ショップの年間スケジュールとともに実情を聞いた。
米国の祝日と年間行事
国全体が休日になる連邦政府の祝日(さまざまな政府機関・公共機関・銀行・図書館・郵便局などが休業となり、学校は休校、公共交通機関は祝日スケジュールとなる)には、元旦、独立記念日、感謝祭、クリスマスがある。この他にも各州政府独自の祝日や、休日ではないが伝統的な行事が年間を通して行われ、それらを加味して、バイヤーは買付の年間スケジュールを組んでいる。
*本レポートでは買い付け業務に関連する祝日と年間行事を抜粋して取り上げた。
1月・2月
元旦New Year’s Day 1月1日
日本のような正月休みはなく、2日からスタートする会社や学校が多い。ショップも2日から通常営業するところが多い。
春節(旧正月)Chinese New Year / The Lunar New Year1月22日
ニューヨーク、ロサンゼルスといった大都市のチャイナタウン界隈では、新暦の新年よりも盛大に祝賀される。
バレンタイン・デー St. Valentine Day 2月14日
バレンタインデーは日本とは異なり、男性から女性、生徒から学校の先生、孫から祖父母、友達同士など「愛する人へ気持ちを伝える日」となっている。グリーティングカードやチョコレート、花(カーネーションよりバラが人気)を贈る風習があり、ジュエリーの広告も多くなる。ホワイトデーの風習は米国にはない。
大統領の日President Day 2月第3月曜日
初代アメリカ大統領ジョージ・ワシントン大統領の誕生日で、多くの州では祝日として三連休になる。
M氏コメント
- 1月は棚卸シーズン
- 1月はホリデーシーズンが終わった直後なので、一般的にビジネス(売上)は閑散期である。この間に棚卸しを行い、1月中旬〜下旬にかけて、ホリデー(クリスマス)の売れ残りを含めた棚卸しセールを行う。ホリデー明けとはいえ、ショップの棚を満たし、店内をフレッシュに見せる必要がある。必ずしも新商品である必要はないが、季節をあまり意識しない定番商品を充実させ、店内を整える。1月の棚卸し後に、春用の新商品の市場調査やオーダーを開始する。
- 春節
- 春節をテーマにした商戦は特に行っていないが“Happy Lunar New Year!”, “Happy Chinese New Year!” のメッセージをInstagramなどSNSで発信するショップが多いと感じる。
- 2月は冬のトレードショーへ
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- 1月の終わりから2月にかけて開催されるトレードショーに行き、新しいメーカーの開拓とともに、既存のメーカーの新商品をチェックし、春物をオーダーする(納期は3月〜4月)。
- ホリデー用の仕入れがメインになる夏のトレードショーを待たずに、この時期にその年のトレンドを探りながら、2月のトレードショーでもホリデー用の仕入れを行うショップもある。ファッション誌は9月号以降から「今年のホリデーギフト」の特集を組むので、編集部と繋がりのあるショップは、編集部からの問い合わせを見込んで6月〜7月初めに撮影用サンプルを用意しておく。しかしながら、デジタル版の普及で、最近は以前より問い合わせのタイミングは遅くなっている。
- バレンタインデー
- バレンタインデー用のオーダーは年末までに済ませておく。1月に入荷して2月初めから店頭販売を開始するが、私のショップでは、バレンタインは、ビジネス的にはそれほど大きなイベントではない。
- “Happy Valentine’s Day” と明記されたものでなく、例えば、ハートのデザインや、”Love”, “I care about you”, “I Love you” と書かれたカードや小物を選び、2月14日を過ぎても販売可能なものを商品選定の基準にしている。他には花と、板チョコなどスイーツを仕入れて、バレンタインの世界観を出すようにしている。
- 大統領の日・プレジデントデー
- デパートなど大手小売店では、冬の棚卸し後に、電化製品や家具、ベッド関係といった大物を処分品として40〜50%オフにする、プレジデントデーセールと呼ばれるビッグセールが開催されるが、小規模店は棚卸しに合わせて1月に冬のセールを行うところが多い。
3月・4月
サマータイム(夏時間)開始
3月第2日曜日午前2時/夏場に太陽が出ている時間帯を有効利用する目的で、標準時が1時間進められる。
イースター Easter 4月8日(3/22〜4/25の間に該当する日曜日)
米国の公式な祝日ではないが、多くの人が休みモードになる。イースターエッグハントが有名だが、キリストの復活祭として、キリスト教信者にとってはクリスマスより大事な日とされており、家族で集う人も多い。春の訪れを祝う日でもあり、キャンデー(チョコレート)や花を贈る習慣がある。
M氏コメント
- 3月・4月の店内
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3月のビジネスは、季節の変わり目ということもあって動きが少ない。4月は日照時間も長くなり、気温も上がって春らしくなり、春物が動き始める。
*冬のトレードショーでオーダーした商品が入荷するので、この時期に新たなオーダーはほとんどしない。 - イースター
- イースターはトラディショナルなイベントであるが、バレンタインデーほどビジネス的には盛り上がらない。私のショップではイースター商品の販売はしないが、ショップの立地やサイズによっては、バレンタインに続きイースターをテーマにディスプレイ替えをする店もある。
5月・6月
母の日Mother‘s day 5月14日(5月第2日曜日)
レストランなどで母親を囲んで食事をするファミリーを多く見かける。大きなギフトよりも花束(カーネーションは見かけない)と感謝の気持ちを書いたカードを贈る習慣がある。
卒業シーズン(5月後半〜6月)
学校は学年末と卒業シーズン。6月から9月初めまで、学校は長い夏休みに入る。
父の日Father’s day(6月第3日曜日)
ギフトや外食の習慣は、母の日ほどの盛り上がりはないが、カードや電話などで愛情や感謝の気持ちを伝える。
メモリアル・デー Memorial Day 5月29日(最終月曜日)
日本語では戦没将兵追悼記念日と呼ばれる祝日。米国の戦没者を追悼する日であると同時に、オフィシャルではないが、夏の始まりを告げる日として知られている。3連休になり、ピクニックやアウトドアのイベントに出かける人が多い。
M氏コメント
- 5月・6月の店内、早秋用のオーダーをする
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- 5月に入ると、夏を意識した商品が動き出す。トラディショナルな行事が続く季節だが、ビジネスとしては、さほど大きな影響はない。私のショップでは、それぞれの行事に合わせたグリーティングカードを充実させる。メモリアルデーの頃から徐々に、冬のトレードショーなどでオーダーしていた夏向きの明るい色合いの商品や、ピクニック、ビーチ、バーベキューといったアウトドア用のエンターテイニング関連の商品を店頭に出すショップが増える。
- 5月末〜6月はじめには、ホリデー以外の秋からの定番商品を、既存のメーカーにオーダーする(入荷時期は8月)。8月に「Back to school」と呼ばれる、9月からの新学年の準備のための文具を店頭に展開するショップ(特に大型店)があり、そのためのオーダーもこの時期。
- 母の日
- 母の日のギフトは、花、ジュエリー、マグカップなどパーソナルな物が人気。私のショップの一番の売れ筋はグリーティングカード。
- 卒業シーズン
- この時期の米国のトラディショナルなギフトとして「Teacher’s gift」(お世話になった先生へ、親たちが集って、一つのギフトを先生に贈る場合が多い)、「Graduation gift」( 高校や大学の卒業生へのギフト)がある。ショップの立地やタイプによっては重要なギフトの風習である。
- 父の日
- ギフト需要は母の日より少ないが、グリーティングカードは揃えておく。
- メモリアルデー・セール
- デパートなど大手小売店では、メモリアルデー・セールが開催されるが、中小規模のデザイン系、生活雑貨のショップが開催することはほとんどないと思われる。
7月・8月
独立記念日Independence day 7月4日
Fourth of JulyやJuly Fourthという呼び方の方が一般的。全米各地で花火大会など色々なイベントが行われる、最も米国らしさを感じる休日。
M氏コメント
- 6月後半〜7月は閑散月でバイヤーも夏休みを取る
- 8月は夏のトレードショーもあり、バイヤーはそれ以降ホリデーシーズンにかけて少しずつ忙しくなるため、6月後半〜7月中に休みを取る人が多い。ボストンの小売店は、学校(ハーバード大学他)が休みということもあり、街は静か。旅行者の数は増えるが、ビジネスは閑散期。
- 夏のトレードショー
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- ホリデーシーズンの商品を中心に、この時期の展示会でオーダーする。納期は10月末から11月中納品。11月末が最終納品の目安。この時期は出費が多いため、納期を2〜3回に分ける場合がある。
- 年明けの商品とバレンタインデーの商品も市場視察、選定、海外ブランドは購買する。
- 独立記念日
- デパートなどの大手小売店は大セールを行うが、小規模のショップはFourth of Julyセールは行わず、8月に棚卸しとサマーセールをするショップが多い。
9月・10月
レイバー・デー Labor Day 9月第一月曜日
日本の祝日でいうところの勤労感謝の日に当たる祝日。3連休を利用して、夏最後の旅行に出かける人も多い。
入学・新学年がスタート(9月初め〜中旬)
ハロウィン Halloween 10月31日
祝日ではないが、子どもたちだけでなく大人も楽しみにしている10月の大イベント。ニューヨークでは、学校(小学校)が早く終わり、夕方から、仮装した子どもたちは自宅付近の商店街や住宅地を練り歩き Treat (お菓子)をもらう。大人も、個人宅やホテル、レストランなどのパーティやイベントに出かけるなど、賑やかな一日。ハロウィンにちなんだイベントは1週間前の週末くらいからあちこちで行われる。ニューヨークのハロウィンパレードは全国的に有名。家のエントランスには、ハロウィンのシンボルとして、パンプキンで作るランタン(ジャック・オー・ランタン)や、お化け、骸骨を飾る。
M氏コメント
- ホリデーシーズンは、別名ギフトシーズン
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- 9月は、新学期が始まる中旬くらいまでは顧客の購買意欲は低い。
- 10月に入ると、ホリデーギフトの話題が世間に出始め、ショップはホリデーシーズン用の準備がスタートする。
- 本来は感謝祭の翌日から始まるホリデーシーズンだが、前倒しになってきている。これはパンデミックの影響も大きいと思う。逆に(国内)オーダーから納期までの期間は、以前は長くてもひと月半くらいを見ていたが、パンデミックからは2ヶ月くらいに期間が長くなった。
- ウェブサイトのホリデーギフトのページは、10月後半には第一弾の準備を整え、11月初頭から発売を開始させる。ただし、宣伝、人々の購買意欲、売上が急増するのは感謝祭翌日から。
- ハロウィン
- 店内を本格的な秋のデコレーションにするのは、10月初旬〜11月末の感謝祭までの期間。ショップによるだろうが、ライフスタイルやギフトショップなどのお店にとっては、ハロウィンは売上的にさほど強い行事ではない。私のショップでは、グリーティングカード、秋色のテーブルリネン、デコレーションアイテム、秋色(茶やオレンジ、黄色系)キャンドルなどが売れ筋。
11月・12月
ベテランズ・デー Veterans Day 11月11日
復員軍人の日。元々は、第一次世界大戦を終結させた休戦条約の締結記念日。米国連邦政府が定める祝日で、政府機関・公共機関・銀行・図書館・郵便局などが休業、学校は休校、公共交通機関は祝日スケジュールとなる。
サマータイム(夏時間)終了
11月の第1日曜日午前2時/3月第2日曜日午前2時から1時間進められた標準時が元に戻る。
感謝祭Thanksgiving Day 11月第4木曜日
米国の大きな祝日。日本のお正月のように、実家に戻って家族とターキーなどのご馳走を食べて過ごす人が多い。前後の週末と合わせて長めの休みを取る人も多く、ほとんどのショップやレストランが閉店する。日本の元旦と近い雰囲気がある。大手デパートが行う感謝祭翌日のブラックフライデーセールと、月曜日のサイバーマンデーセールは、ホリデーシーズンのキックオフのような盛り上がりがある。
ホリデーシーズン Holiday Season, Gift season 感謝祭の翌日〜12月末
米国のホリデーシーズンは感謝祭から始まり、年明けの元旦まで続く。米国ではこの時期に大切な人へ贈り物を贈る習慣があり、家族や友人などへのプレゼントを購入するため、最も買い物が活発となる時期である。
ハヌカ Hanukkahユダヤ教の暦で決定される12月の祝日
12月に行われるユダヤ教の祝日で、キリスト教のクリスマスに最も近い行事。ユダヤ教にちなんだ伝統的な料理を食べ、ゲームをし、客をもてなし、プレゼント交換をする。子ども達は、プレゼントを8日間毎日もらえる。ニューヨークには特にユダヤ教信者が多く、クリスマスに並ぶギフトシーズンの行事である。最近は”Merry Christmas” “Happy Hanukkah”よりも”Happy Holidays”が、12月の挨拶でよく使われている。
クリスマスChristmas 12月25日
感謝祭同様、米国の大きな祝日の一つ。私立の学校は15日頃から、公立校は21日頃から休みに入り、社会人もクリスマスの1週間くらい前から26日まで(または元旦まで)、長い休暇を取る人が多い。飲食店、ギフトショップ、大手デパートも25日は終日休みとなる。
大晦日New Year's Eve 12月31日
ニューヨークでは新年を迎えるカウントダウンの花火が上がり、個人宅、レストラン、ホテルなどではカウントダウンパーティで新年を祝う。
M氏コメント
- ホリデーシーズンのギフト商戦
- ショップは年間を通して最も多忙になる。8月のトレードショーで大半のオーダーは済ませるが、店内に欠品が出ないように注意しながら、追加オーダーができるメーカーに連絡を取る。メーカーからもホリデーシーズン中の納期のお知らせが届く。
- バレンタインデーの商品をオーダー
- 年明け1月〜2月分の商品とバレンタインデーの商品を、11月、12月にオーダーする。納品は1月、月初めから月末にかけて。バレンタインデーの商品は、店頭販売の場合は、2月月初の納品、サイトに載せる場合は1月中納品。
- 感謝祭
- 感謝祭の商品としては、例えばテーブルセッティング用品、キャンドル、ターキーやパンプキンをかたどったデコレーションアイテムなどがある。私のショップの一番の売れ筋はグリーティングカード。米国では昔からグリーティングカードを送り合う習慣があり、一時期はE-mailを通して送るデジタルカードが注目されたが、紙製のカードは今もギフトショップに欠かせない存在である。
- ハヌカ
- ホリデーシーズン中の挨拶も、ハヌカを意識して「ハッピーホリデー」という挨拶が増えてきていることからもわかるように、ハヌカもクリスマス同様、ギフト需要が大きく、ショップにとっても外せないテーマになっている。
- クリスマス
- クリスマス・イブは日本のようなロマンチックな日ではなく、翌日の準備や店頭ショッピングの最終日という趣が強い。スーパーもショップも混み合う。クリスマス当日はどこもショップは閉店する。
- ホリデーシーズンのピーク
- オンラインショッピングは12月20日くらいまでがギフトショッピングのピーク。店頭販売は24日まで賑わう。
- 年末の営業
- 年末のショップの営業は12月24日は半日程度(4PMくらいまで)で閉店し、12月25日は終日閉店。ショップによっては12月25日〜12月31日まで閉めるところもあり、私のショップは12月27日〜1月1日まで閉める。
ホリデーシーズン まとめ
米国のホリデーシーズンは11月第4木曜日の感謝祭から始まり、年明けの元旦まで続く。米国ではこの時期に大切な人へ贈り物を贈る習慣があり、家族や友人などへのプレゼントを購入するため、最も買い物が活発となる時期である。
- ホリデーシーズンは、ギフトシーズンとも呼ばれる
- 感謝祭の翌日の「ブラックフライデー」と呼ばれる金曜日がギフト商戦の幕開けとなる。この「ブラック」は、小売業が黒字(多忙期)になるから。一方オンラインショップも、感謝祭の休暇明けの月曜日に「サイバーマンデー」と呼ばれるセールを行う。当初は金曜日と月曜日に限定されていたが、最近はセールを数日間継続するところが多くなっている。この頃からショップの売上が急増する。
- ホリデーシーズンの売り上げ
- ホリデーシーズンの売り上げは、年間売り上げの70%というショップもあると言われており、ショップの規模に関わらず、米国の小売業にとって年間で最も重要な時期。M氏のショップも、ホリデーシーズンは年間の50%の売り上げがあるという。
- 一人当たりのホリデーギフトの数
- 米国のクリスマスは、相手一人につき数個のギフトを用意するのが通例。一緒に暮らす家族だけでなく、両親や親しい親戚、友人、日頃お世話になっている人も含め、リストの数が100件を超える人もいる。ハヌカも、子どもたちに一人8個のギフトを用意する風習がある。
- パンデミック後のオンラインショッピング
- 12月24日までがギフト商戦のピークで、ギフトシーズンのスタートは年々早まっており、11月初旬から買い物をスタートする人が増えてきた。またパンデミック中はオンラインショップの売上が急増し、パンデミック後は店頭ショッピングに戻る消費者も増えたが、オンラインショッピングの利用者も引き続き多い。
- ホリデーシーズンの配達事情
- ホリデーシーズンは米国国内の郵便局や宅配便に荷物が殺到するため、配達はパンク状態になることが毎年見込まれる。ショップにとって一年で一番売り上げが大きい時期であり、予定通りに商品が入荷しなければ、ショップにとって大きな損失になる。この時期は特に、バイヤーは商品到着が遅延しないことを通常以上に切望することも覚えておきたい。
- まとめ
- バイヤーの年間スケジュールは、米国の祝日や年間イベントとリンクしている場合が多い。それぞれの祝日とイベントの特徴を知っておくことは、メーカーにとって商品開発に役立つだけでなく、事前に、どの時期のトレードショーに出展するには、どんな(季節の)商品のサンプルが必要で、いつ頃までに納品しなければならないかなどを把握することにつながる。
- 図1では、M氏へのインタビューを元に、米国の年間行事、バイヤー、ショップ(中小規模と大手小売店)、消費者の月別の動向を一覧表にまとめてみた。ショップの立地や規模、コンセプトによってはこの限りではないが、大まかな一年の流れとして参考にしていただきたい。
- 大手小売店では、年間を通して祝日やトラディショナルな行事に合わせてセールを頻繁に行っており、中小規模のショップは、冬と夏の棚卸しに合わせて季節のセールを行っている。閑散月は1月、3月、7月。バイヤーは年間に2度、2月と8月のトレードショーで市場調査を行い、新しいブランドを見つけ、商品を選定し仕入れる。
- 夏(6月半ばから9月初め)はバケーションの季節で、消費者の購買意欲は低迷し、10月半ばからスタートするホリデーシーズンに購買意欲が急増する。ホリデーシーズンの売上は、ショップの規模に関わらず、年間の40〜70%の売り上げが見込まれている。そのためバイヤーにとっても、ホリデーシーズンの買い付けは、年間で最も予算を使い、力量を発揮する重要な時期となり、多忙を極める。
- バイヤーの年間スケジュールをもとにバイヤーのニーズを知り、タイムリーなセールスとコミュニケーションを行うことでバイヤーとの信頼関係が深まり、それがホリデーシーズンを含む大きなオーダーにつながっていくのではないだろうか。
年間スケジュール | バイヤー | 中小規模ショップ | 大手ショップ | 消費者 | |
---|---|---|---|---|---|
1月 |
|
棚卸し 市場調査 |
棚卸しセール | 購入意欲低い | |
2月 |
|
トレードショー 春物買い付け (ホリデーの買い付け) |
バレンタインデーディスプレイ |
バレンタインデーディスプレイ プレジデントデーセール |
バレンタインデーギフト購入 |
3月 |
サマータイム開始 (第2日曜日午前2時) |
- |
閑散期 春物ディスプレイ |
春物チェック | |
4月 |
イースター (4/9 3/22-4/25の間に該当する日曜日) |
- | 冬のトレードショーで買い付けた商品入荷 | イースター商品ディスプレイ | |
5月 |
|
早秋用定番商品買い付け 定番商品追加発注 |
母の日商品ディスプレイ 夏物商品販売開始 |
メモリアルデーセール | 母の日ギフト購入 |
6月 |
|
夏物商品販売 |
先生へお礼ギフト 卒業祝いギフト購入 |
||
7月 |
独立記念日 (7/4) |
- | 閑散期 | 独立記念日セール | バケーションシーズン |
8月 | 夏休みシーズン |
トレードショー ホリデーシーズン用買い付け |
サマーセール 棚卸し |
サマーセール Back to school |
|
9月 |
|
ホリデーシーズン商品補充 | 秋物販売スタート | 新学期用グッズ購入 | |
10月 |
ハロウィン (10/31) |
秋用ディスプレイ開始 ホリデーギフトオンライン販売開始 |
ハロウィングッズ購入 ホリデーギフトチェック |
||
11月 |
|
ホリデーシーズン商品補充 年明け1月/2月用商品 バレンタインデー商品買い付け |
ホリデーシーズンスタート |
ホリデーシーズンスタート ブラックフライデーセール サイバーマンデーセール |
ホリデーギフト購入スタート |
12月 |
|
ホリデーシーズン | ホリデーギフト購入ラッシュ |
- 作成
- ジェトロ・ニューヨーク事務所
- 執筆
- 中小企業海外展開現地支援プラットフォームコーディネーター 上野朝子
- 米国のデザイン・日用品分野最新トレンドシリーズ(NY発)
- (2)パンデミックを乗り越え活気が戻ってきた展示会場
- (3)展示会出展時の留意点-取引を成功させるには
- (4)デザイン・日用品市場のトレンドと日本製品への期待
- レポートの利用についての注意・免責事項
- 本レポートは、日本貿易振興機構(ジェトロ)ニューヨーク事務所が委託先 上野朝子 に作成委託し、2023 年 2 月に入手した情報に基づき作成したものです。掲載した情報は作成委託先の判断によるものですが、一般的な情報・解釈がこのとおりであることを保証するものではありません。本レポートはあくまでも参考情報の提供を目的としており、提供した情報の正確性、完全性、目的適合性、最新性及び有用性の確認は、読者の責任と判断で行うものとし、ジェトロおよび 上野朝子 は一切の責任を負いません。これは、たとえジェトロおよび 上野朝子 が係る損害の可能性を知らされていても同様とします。
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