日本産食材ピックアップ有機米

おにぎりやお寿司を有機米で

お米文化が発展してきた日本では、より品質の高いお米を求めて、またさまざまな用途に合わせた特徴を持つお米を求めて、品種改良が重ねられてきました。

たとえば、海外でも人気のブランド米「コシヒカリ」や最近人気の「ゆめぴりか」は、ふっくらもちもちとした食感やつやがあり、香りや甘みが強いのが特徴です。冷めてもおいしいのでおにぎりにぴったりです。一方、「ササニシキ」は、粘り気が少ないため、握り寿司に使うと、口のなかでお米がほどよくほどけると人気があります。

これらのブランド米でも有機栽培米が作られており、我が国で有機栽培される米の品種の割合や人気の移り変わりは、基本的には米全体の品種の傾向と一致しています。

健康や環境保護に敏感な人が注目

日本で有機農業が注目され始めたのは、農薬や食品添加物に由来する食品の安全に関心が高まった1970年ごろのこと。その後地球環境問題などに対する意識の高まりも加わり、さらに注目されるようになりました。

日本の水田の面積はおよそ241万ヘクタール*1ですが、そのうち有機JASの認定を受けているのは約2,900ヘクタール*2と、わずか0.12%にすぎず、生産量も多いとはいえません。しかし、消費者が購入したことのある有機農産物では、一番多い野菜に続き、米が挙がっています。有機農産物を購入する動機については、安心できるという理由を挙げるだけでなく、環境に配慮した生産方法であるから、生産者(生産地)が見えるからとする人もいます。

消費者の中には生産農家から直接有機栽培米を購入する人もいますが、顔が見える生産農家と直接繋がっていることが一つの安心材料になっています。
*1,2ともに2017年度の実績

水田の力を引き出した有機栽培

日本では、2000年から農林水産省が有機JAS規格を導入し、一定の条件を満たした有機栽培の製品には有機JASマークがつけられます。有機農産物は、遺伝子組み換え技術を利用していない品種を用いて、たい肥などで土作りをして、2年以上農薬や化学肥料を使用しなかったほ場で栽培されることが条件となっています。有機栽培米は、農薬や化学肥料に頼らず、水田が本来もっている生産力を引き出して栽培されたお米なのです。そして、この条件で作っていることを第三者が認定しないと、有機JASとは認定されません。有機栽培米はしっかりと管理がなされているのです。

アイガモ農法などで、有機栽培を実現

農薬や化学肥料に頼らずにお米を栽培することは、地域環境への負担を軽減することでもあります。しかし、雑草や害虫への対策が必要となります。

その対策のひとつとして、アイガモ農法なども行われています。アイガモ農法は、稲苗を植えたあとアイガモのひなを水田に放し、雑草や害虫を食べてもらうものです。アイガモが動くことで土が撹拌され、水田内に酸素が供給されることも有効に働くと話す生産農家もいます。また、除草対策として、水田にコイを泳がせる方法を採っている生産農家もあります。

有機栽培米で安心でおいしい食材作りを継続

有機栽培米のためにもっとも大切なのは、土作りです。お米の生産農家では、昔から稲わらや籾殻を堆積して発酵させ、たい肥として用いてきました。秋に収穫したあと水田にすき込む方法を採っている生産農家もあります。現代では稲わらや籾殻の中には土壌を豊かにする成分が多く含まれ、これらを原料とするたい肥の利用が土壌の通気性、透水性、養分の保持性も高めることなどにより地力を高めることがわかっていますが、生産農家の人たちは、経験として知っていたわけです。有機栽培した米の稲わらや籾殻を翌年のための肥料に用いる栽培方法は、とても安心といえます。

また日本の農家はお米のほかに野菜を育てることが多く、稲わらなどによるたい肥は畑でも使われてきました。野菜の生産においても、有機栽培した米の稲わらなどをたい肥として使うことは安心につながります。

こうした循環を考えると、お米の生産農家が多く水田の多い日本だからこそ、有機栽培米の拡大と普及は、より安心な食材の普及にもつながっていきます。

詳細(有機米関連リンク集)