日本産食材ピックアップこんにゃく
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こんにゃく芋が原料
食物繊維が豊富でカロリーが低いこんにゃくは、ダイエットやデトックス、美肌などを気にする人に人気の食材です。アメリカでも低カロリーでグルテンフリーな食品として注目が集まっています。
こんにゃくの食物繊維はこんにゃく芋に含まれるグルコマンナンで、この成分が固まる性質を利用した加工食品です。こんにゃく芋は東南アジアが原産で、多くの種類がありますが、その多くは日本で栽培されているこんにゃく芋とは異なり、グルコマンナンが含まれないため、加工しても固まりません。ただ、最近はこんにゃくの人気を受けて、アジア各国でもこんにゃく用の芋の栽培が行われています。
こんにゃく芋はサトイモ科の植物の球茎で、こんにゃくに加工できるようになるまでに3年が必要です。一旦収穫したら丁寧に保管して翌年の春に植えるということを3回繰り返さなければならない、手間がかかる農作物です。

ダイエット以外にも効果を発揮
こんにゃくはその成分のほとんどが水分のため、カロリーは100gあたりわずか約7kcalと低く、さらにグルコマンナンは水と混ざると大きく膨らむので、満腹感を得やすく、ダイエットに効果的であることがよく知られています。
しかし、こんにゃくの健康効果はダイエットだけに限りません。食物繊維は腸内の善玉菌の活動を優勢にして腸内環境を健やかに保つと考えられているので、肌荒れなどを防ぐほか、さまざまな病気のリスクを軽減することが期待できます。また、血中コレステロール値の上昇を防ぐ効果も指摘されています。
少し意外に思うかもしれませんが、こんにゃくは骨粗鬆症や高血圧の予防にも役立ちます。まず、骨の生成にはカルシウムが重要な役割を果たしますが、100gあたりではこんにゃくにはキャベツと同じ量の43mgが含まれています。一方、高血圧の原因の一つに塩分のとりすぎがあると考えられていますが、カリウムという成分には余分なナトリウム(塩分)の排出を促す働きがあり、こんにゃくには100gあたり33mgが含まれています。どちらも豊富な含有量とまではいえませんが、カロリーの低さを考えると、カロリー摂取を抑えながら骨粗鬆症や高血圧の予防もできる優れた食品といえます。
※成分数値は、こんにゃくは精粉の板こんにゃくの場合、キャベツは結球葉の生の場合
美肌にもおすすめ
こんにゃくに含まれる成分で、最近注目されているのがセラミドです。セラミドは人間の表皮の一番外側にある角質層の細胞のすきまを満たしている成分です。体内の水分を外に出さない働きがあるため肌の保湿に役立ち、また外からの刺激から守る働きもあります。食物のセラミドがそのまま皮膚のセラミドになるわけではありませんが、セラミドを含んだ食品を食べることで体内でセラミドを作る力を促進することが分かったのです。
形はさまざま
こんにゃくはさまざまな形に加工されています。もっとも一般的なのは長方形の板状にした板こんにゃく。煮物や炒めものなど、用途に合わせて切って使いますが、おせち料理などでは手綱切りなどの飾り切りにして煮しめに入れたりします。丸めて成形するのが玉こんにゃくで、おでんにそのまま入れたり、みそなどで炒めて食べたりします。
板こんにゃくをところてんのように押し出し、細長い棒状にしたのがつきこんにゃく。切る手間がなく、煮物や炒めものなどにするとほかの材料となじみやすいのが特徴です。細い糸のような紐状に成形した糸こんにゃくは、短時間で味がなじむので、すき焼きや和え物などに用いられます。
飯粒と同じくらいの大きさに加工した粒こんにゃくもあり、こちらは米と混ぜて炊くとカロリーダウンになります。また、加熱せずに食べられるさしみこんにゃくは、ゆずみそや酢じょうゆ、わさびじょうゆなどで食べると、さっぱりとしたおいしさが味わえます。

現代風アレンジも続々
こんにゃくは日本では長い間親しまれてきた加工食品で、煮物や炒めものなどに使われてきましたが、近年では、和食に限らず、さまざまなメニューに展開されるようになりました。
例えば、糸こんにゃくをパスタや中華麺の代わりに使ったり、チャプチェにしたりしてダイエットメニューにするアレンジもよく見られます。刺身こんにゃくはサラダや和え物にしてもおいしくいただけます。玉こんにゃくはアヒージョにするとプリプリとした食感が生きた一品となります。またぜんざい風にしたり、フルーツのコンポートに合わせるなどでデザートとして楽しむこともできます。
味わいにクセのないこんにゃくは、工夫次第でさまざまな料理に使うことができるので、近い将来、世界の食卓での活躍が期待できます。
安心品質を目指してこんにゃく芋を有機栽培し、さらに加工の過程でも天然の材料を使う生産者も現われています。農林水産省の有機JASの認証規定に沿って生産されたこんにゃくには、有機JASのマークがついています。
