米テネシー州、TVA、英国が商業核融合導入で協力強化
(米国、英国)
アトランタ発
2026年09月29日
米国テネシー州政府とテネシー峡谷開発公社(TVA)、英国政府は9月14日、商業核融合エネルギーの導入加速に向けた協力強化を発表
した。協力分野にはサプライチェーン構築、人材育成、規制制度整備が含まれ、商業規模での核融合発電所導入に向けた環境整備を共同で進める。核融合エネルギーは研究開発段階から実用化を見据えた段階への移行が進みつつあり、テネシー州と英国はその先行地域として連携を深める方針だ。
今回の協力は、テネシー州で進む「プロジェクト・インフィニティ」(2026年9月2日記事参照)と、英国の「UK インフィニティ・フュージョン・コンソーシアム(注)」を基盤とするものだ。両プロジェクトにはタイプ・ワン・エナジー、TVA、トカマク・エナジー、オークリッジ国立研究所(ORNL)、英国原子力公社(UKAEA)などが参画している。協力分野として、核融合燃料サイクルに必要なトリチウム取り扱いやリチウム濃縮技術、増殖ブランケット材料の開発、研究機関間の技術交流、発電所立地や送電網接続、電力購入契約に関する検討などが掲げられた。
また、テネシー州では核融合発電向け制度整備が進み、9月には新制度下で全米初のライセンスが発給された(2026年9月2日記事参照)。州内ではORNLやTVAを中心に核融合関連企業や研究機関が集積し、京都フュージョニアリングも試験施設建設計画を進めている(2026年8月14日記事参照)。一方、英国は世界有数の核融合研究拠点を有しており、両地域は研究開発から商業化までを見据えた協力体制を構築しつつある。
今回の発表は、核融合分野の協力が従来の研究開発に加え、サプライチェーン構築や人材育成、規制協調など商業化を見据えた取り組みに広がりつつあることを示した。特に発電事業者であるTVAが参画している点は注目される。協力項目には発電所立地や電力購入契約に関する検討も含まれており、商業運転を見据えた環境整備が進められていることがうかがえる。米国ではコモンウェルス・フュージョン・システムズによる商業用核融合発電所計画も進められており(2024年12月23日記事参照)、核融合は研究開発段階から産業化に向けた具体的な検討段階へ移行の兆しを見せている。今回の英米連携は、将来の核融合市場形成を見据えた国際協力の広がりを示す動きとして注目される。
(注)2026年5月、米タイプ・ワン・エナジー、英トカマク・エナジー、米建設エンジニアリング企業AECOMが結成した英国初となる民間主導の商用核融合発電所プロジェクトの推進を目指す企業連合。
(紀井寿雄)
(米国、英国)
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