緊密化するカタロニア国境経済圏(2004年9月)

最終更新日: 2004年09月01日

現在のフランス・スペイン間国境は 1659 年のピレネー条約により画定され、同条約により、スペイン領であったルシヨン地方、ピレネー地方がフランス領として割譲された。これらの地域はかつて北カタロニアとも呼ばれ、スペイン側と同様にカタロニア語が利用されており、スペイン側との文化的な繋がりが強い。
両国にまたがるカタロニア地域は、長い間、歴史とピレネー山脈によって分断されていたが、80 年代からこれらの地域間協力が模索されて始め、86 年のスペインのEU 加盟が引き金となって、関係はより緊密になった。
87 年にはカタロニア自治州(Generalita)の当時の自治長のジョルディ・プジョール氏(80〜2003 年まで就任)が提唱して、当時トゥールーズ市(ミディ・ピレネー州)のドミニク・ボディス市長、ラングドック・ルシヨン州のジャック・ブラン州知事は、経済的活性化の原動力として、欧州の南との均衡をはかるための「越境ロビー」を成すユーロレジオンの建設の構想を説き、91 年10 月19 日にこの3 州の首長によりユーロレジオン建設の憲章が調印され、人口1,100 万の欧州ピレネー地域となった。これらの地域を結ぶためのフランス新幹線(TGV)のイベリア半島への延長計画がもちあがったのもこの頃である。越境リクルート支援、研究開発や技術移転のための両国企業、大学レベルでの協力など
が以後、盛んに行われている。2007〜2008 年ごろのTGV バルセロナ乗り入れ予定を控え、国境を越えてバルセロナ−ペルピニャアン両経済圏が接近しつつある。

シリーズ名:ユーロトレンド
発行年月:2004年9月
作成部署:海外調査部欧州課
総ページ数:5ページ

記事番号:07000492

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