医薬品の現地輸入規則および留意点:香港向け輸出

香港における医薬品の輸入規制について教えてください。

医薬品、薬物の輸出入は、香港衛生署(Department of Health)により管理されています(Cap.60 The Import and Export Ordinance)。

「薬剤業および毒薬に関する規則」(Cap.138 Pharmacy and Poisons Ordinance)により、医薬品は香港で入手、販売、利用される前にあらかじめ香港薬剤業および毒薬管理局(Pharmacy and Poisons Board: PPB)に登録される必要があります。

個人の携行荷物として香港に持ち込まれる医薬品、薬物は、個人利用のための適量であればライセンス申請等が免除となります。また、積み替え目的の貨物についても免除となる場合があります。詳しくは下記香港税関ウェブサイトを参照してください。

積み替え目的の貨物について(香港税関)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

また、「絶滅のおそれのある動植物の種の国際取引に関する条例(ワシントン条約)」規制物質を含有している薬品を輸入しようとする場合は、漁農自然護理署(Agriculture, Fisheries and Conservation Department: AFCD)により管理されます。

I. 医薬品の定義について

香港衛生署(Department of Health)は、「人体、動物の疾病治療、あるいは予防に用いられ、薬理学的、免疫学的または代謝作用により生理的機能を回復、矯正または修正しようとするもの」を医薬品、薬品と定義しています。

医薬品として、登録が必要かどうかは、個別の判定が必要となります。 Guidance Notes on Classification of Products as “Pharmaceutical Products”(香港衛生署)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(355KB)にてご確認ください。
以下に該当するものは、登録は不要です。

  1. 漢方薬
    香港中医薬管理委員会(Chinese Medicine Council of Hong Kong)が専売管理する漢方薬
  2. 健康促進食品
    平均的な消費者が医薬品と見なさずに飲食、咀嚼等を通じ摂取されるもの
  3. 化粧品
    平均的な消費者が医薬品と見なさない美容、スキンケア、日焼け止め、歯磨き粉、デオドラント、制汗剤、毛染め、ヘアスタイリング剤
  4. 療機器、医療器具
    人体に対し、疾病の診断、予防、観察、治療等目的のために使われる装置や器具
  5. ヒトの血液、あるいは血液成分
    工業的に作られた血漿を除く。

香港における医薬品かどうかの判別においては、「それが医療用途に使われるのか否か」「医薬品の形状をなしているのか」に留意する必要があります。登録が必要か否かについての判別はそれぞれ製品ごとに考慮される性質のものであるため、詳細については以下ガイダンスノートを確認して下さい。

II. 医薬品ガイダンスノート

  1. Poisons Listの”A”項目に記載されているものは本質的に医療用途に用いられます。Poisons Listに記載されていないものの、一般的に医療用途に用いられるものはガイダンスノート別表1(P.6)に記載があります。
  2. 健康食品にみられる物質は、化学的な証拠が少ないことから、通常医療用として扱われません。健康食品として扱われることが通例です。このような例についてはガイダンスノート別表2(P.7)に記載があります。
  3. 医薬品とみなされるか否かには、ラベル、パッケージに治療や予防などに使われる記述があるかどうかも総合的に考慮されますので、留意が必要です。
  4. 疾病の治療や予防などに使われるという実例をすべて記載することは現実的ではないものの、代表的な例はガイダンスノート別表3(P.9)に記載があります。
  5. 健康維持に関する表示(例: Maintain, help to maintain あるいは support health/healthy lifestyle)は、通常医療目的とはみなされないものの、ガイダンスノート別表4(P.10)に記載されています。
  6. 医療目的で用いられる物質を相当量含んでいる場合、その製品は一般的に医薬品と分類されます。
  7. 化学的証拠がない製品は、「商品説明条例」(Cap.362 Trade Description Ordinance)違反となりますので、留意する必要があります。
  8. 一部のケースでは、医薬品とみなされるか否かについて、香港薬剤業及毒薬管理局(PPB)により分類されることもあります。詳細はガイダンスノート別表5(P.11)を参照してください。

また、薬物を毒物と分類するか抗生物質とみなすかの判定方法ガイドは、以下にありますので該当する可能性のある薬品については詳細情報を確認し、個別に対応する留意が必要です。

Poison or Antibiotic(衛生署薬物弁公室)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(407KB)

III. 薬剤、医薬品の登録申請

下記は薬剤、医薬品を登録する際のおおまかな手順です。

  1. 製品の登録がなされているかを確認
    医薬品の輸入を行おうとする場合は、まず輸入業者はその製品が香港ですでに登録されているかどうかを確認する必要があり、オンライン登録申請システム(Pharmaceuticals Licence Application and Movement Monitoring System: PLAMMS) から、英語で検索が可能です。
  2. 製品の登録申請

    香港からの輸出を目的としない場合、方法は以下の2通りがあります。

    方法1: 書面により登録申請を行う
    登録済みか否かの確認を行った上で、郵送による登録申請を行います。
    詳しい手順は、以下を参照してください。

    ガイドライン・各種フォーム(衛生署薬物弁公室)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

    方法2: オンライン登録申請システム(Pharmaceuticals Licence Application and Movement Monitoring System: PLAMMS)から申請します。
    ※2016年7月1日以降、再輸出目的を伴う未登録の医薬品輸出入ライセンス申請について、書面による申請は受付を終了し、すべてオンラインでの申請に切り替わりました。再輸出を伴わない場合には、従来どおり書面による申請を行うことができます。

    医薬品の登録について(衛生署薬物弁公室)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

    ・PLAMMSアカウント登録
    このシステムの利用を開始するには、アカウント登録が必要です。アカウント登録のためには、まずは香港郵便のe-Certを取得する必要があり、これには通常10営業日ほど要します。

    ※アカウント登録における詳しい手続きについては、衛生署薬物弁公室(Department of Health Drug Office)に手続き方法について公開されていますので、ご参照ください。

IV. 薬剤、医薬品の輸入に必要なライセンスの申請

薬剤、医薬品の輸入においては、輸入する物品によって異なりますが、以下のライセンスが必要となります。個別のケースに応じた手続きが必要となりますので、詳細に関するドキュメントを熟読し、適宜申請を行い必要なライセンスを申請する必要があります。

取り扱い業者区分 必要なライセンス
医薬品の卸売 医薬品卸売ライセンス
医薬品の輸出入 医薬品卸売ライセンス
非医薬品の卸売 なし
非医薬品の輸出入 輸出入業者登録証
全医薬品の輸出入 輸入ライセンス
輸出ライセンス
それぞれ貨物積送の都度取得が必要

REGULATION OF IMPORTERS/EXPORTERS, WHOLESALERS AND RETAILERS
食物及衛生局(Food and Health Bureau)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(189KB)

  1. 輸入ライセンスの申請、取得

    輸出入には、都度ライセンスが必要です。

    医薬品輸出入ライセンス申請について(衛生署薬物弁公室)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(79KB)

  2. 劇薬の輸出入に関して
    劇薬を輸入しようとする場合は下記の手続きが必要です。
    1. 輸入証明書の取得
      輸入者は所定の申請書に以下書類を添えます。
      • 医薬品登録証
      • 保険長官(Director of Health)により発行された、申請者の劇薬製造/提供ライセンス
      • 医療有効薬効成分を含むものにつき、製造者と輸入者が異なる場合、登録薬局あるいは製造者のサインの入った医薬品の購入時発注書ないしは契約書
        劇薬輸入量に関する申告を求められる場合があります。
      許可が下りると、輸入証明書が発行されます。輸入者はこの原本を海外のサプライヤーに送付する必要があります。
    2. 輸入ライセンスの申請
      貨物積送の詳細が確定したら、輸入者は所定の申請書を用い、劇薬登録・輸出入管理課(Drug Registration and Import/Export Control Division)に輸入ライセンスを申請する必要があります。

    手続き方法の詳細については、以下を参照してください。

    劇薬物の輸出入についてのガイドライン(衛生署薬物弁公室)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(136KB)

関係機関

香港税関(Hong Kong Customs and Excise Department)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
香港衛生署(Department of Health)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
漁農自然護理署(AFCD)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中医薬管理委員会(Chinese Medicine Council of Hong Kong)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
衛生署薬物弁公室(Department of Health Drug Office)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

香港特別行政区基本法:外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
「薬剤業および毒薬に関する規則」(Cap.138 Pharmacy and PoisonsOrdiance)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
「絶滅危惧動植物保護条例」(Cap.586 Protection of Endangered Species of Animals and Plants Ordinance)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
「危険薬物条例」(Cap.134 Dangerous Drugs Ordinance)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
「輸出入条例」(Cap.60 Import and Export Ordinance)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報

香港衛生局:
医薬品輸出入オンライン登録申請システム Pharmaceuticals Licence Application and Movement Monitoring System(PLAMMS)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
医薬品輸出入オンライン登録申請システム(PLAMMS)操作ユーザーガイドPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(15.3MB)

調査時点:2016/12

記事番号: N-170204

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