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労働者を雇用する場合の注意点:メキシコ

質問

メキシコにおける労働者の雇用や解雇、および社会保障制度について教えてください。

回答

メキシコにおける労働者の権利は、メキシコ憲法第123条および連邦労働法により規定されています。法規の遵守や労使関係に関して労働・社会保障省や連邦調停仲裁委員会がその監視の責任を負っています。

I. 労使関係

  1. 労使関係の定義および雇用形態
    労使関係は、報酬のための個人労働とみなされるすべての行為および経済的な従属関係を生じさせる給与の支払いをもって成立したとみなされます(連邦労働法第20条)。この労使関係は労働契約によって規定され、書面をもって雇用主と被雇用者で実施される労働条件を制定します。 同法第35条および39条F項では雇用形態を次のように定めています。
    1. 雇用期間の期日を定めない雇用
      期日や臨時性を設定せず、恒久的な権利を労働者に付帯します。もっとも一般的な雇用形態です。
    2. 期間付き雇用
      労働契約書で期限付きの雇用形態とする場合は、それを正当化できる理由を明記する必要があります。
    3. 作業請負
      ある特定されたプロジェクトや活動のため制定されています。
    4. 期間工
      雇用の発生が、雇用主ではなく何らかの事情に依存する場合、すなわち、休暇や農閑期など、ある一定の期間での仕事の増大などの場合に限ります。作業が一定かつ長期に渡って継続しない時にこの形での契約が可能です。「a. 雇用期間の期日を定めない雇用」と同等の権利が付与されます。
    5. 試用期間の期日を定めない雇用
      雇用主は、労働者がその地位に必要とされる知識や要求事項を満たしているかを確認するため、一定期間を試用期間として契約を結ぶことができます。契約書に期日が明記されていない場合でも、試用期間は最長30日ですが、役職付の場合のみ180日となります。
    6. 初期訓練期間の期日を定めない雇用
      労働者が雇用されるために必要とされる知識や要求事項を獲得するため、一定期間を初期訓練期間として契約を結ぶことができます。契約書に期日が明記されていない場合でも、期間は最長90日ですが、役職付の場合のみ180日に設定できます。訓練終了時、労働者がレベルに達していないと雇用主が判断した場合は、雇用主の責任なく契約を終了させることができます。

    試用期間や訓練期間での雇用の場合でも、雇用主は法で定められた社会福祉(保険の加入の権利など)を考慮する必要があります。 また労働契約は書面をもってなされ、かつ次の事項を含む必要があります(同法第25条)

    1. 雇用主および被雇用者の氏名、国籍、年令、性別、未既婚、住民登録番号、納税者番号および現住所
    2. 労使関係
    3. 労働内容の説明
    4. 労働の場所
    5. 勤務時間
    6. 給与の形態とその額
    7. 給与の支払日および場所
    8. 労働者が、制定された計画に沿って訓練されたことを示す証明
    9. 休日や休暇などの労働条件およびその他に雇用主と労働者の間で同意された事項
  2. その他に必要な登録
    労働契約とは別に、労働者を社会保険庁(IMSS)、ならびに国家労働者住宅基金庁(INFONAVIT)、労働者消費推進保証基金(FONACOT)に登録する必要があります。登録に必要な書類は以下のとおりです。
    1. 出生証明書
    2. 住所証明書
    3. 親類の情報
    4. 前雇用主からの推薦状
    5. 警察による無犯罪歴証明書
  3. 就業規則
    同法第423条に基づき、労使間の労働契約締結にあたり、就労現場に就業規則を設ける必要があります。労働契約は労働者の労働条件を規定しているのに対し、就業規則は企業における労働活動中の労働者全体に対する義務項目を指します。項目は、雇用主および労働者で構成された委員会で承認される必要があり、制定された時点で雇用主は紛争調停局に登録する義務があります。最低限記載が必要な事項は以下のとおりです。
    1. 出退勤の時刻および休憩時間
    2. 就業開始および終了の時刻および場所
    3. 就業場所や機械、工貝などを清掃する日時
    4. 給与支払いの場所および日付
    5. 労災予防のための規則や救急措置の手順
    6. 妊婦が使用すべき保護具や未成年が就業すべきでない危険かつ不健康な仕事
    7. 被雇用者が受けるべきメディカルチェックの方法と時間
    8. 許可証やライセンス
    9. 懲罰とその適用手順
    10. その他企業活動に鑑みて、安全な職場と就業の発展のために必要とされる規則

II. 労働時間

  1. 日勤で8時間、夜勤7時間、昼夜にまたがる場合は7時間半と制定されています。また、1週間の最大労働時間はそれぞれ48、42、45時間です(連邦労働法第61条)。
  2. 労働者と雇用主は、土曜日の午後を休日にする、あるいはそれに準じた休みを設ける目的で1週間の労働時間を1日の最大就労時間を超えて分配できます(同法第59条)。たとえば、土曜日を休みにすることで、土曜日の就労時間である8時間(日勤の場合)を月~金の5日間に1.5時間ずつ分配することができます(月~金:一日9.5時間)。
  3. 雇用主は労働者に1日における労働時間中、少なくとも30分の休憩時間を与える義務があります。同様に、6就労日ごとに少なくとも1日の休日を与える義務があります(同法第69条)。原則として日曜日は休日であり、日曜日を出勤日にする場合は25%増しの給与を与える必要があります。
  4. 法定祝日は同法第74条により設定されています。
    1. 1月1日 新年
    2. 2月第1月曜日(2月5日祝日の代替日) 憲法記念日※1
    3. 3月第3月曜日(3月21日祝日の代替日)
    4. 5月1日 メーデー
    5. 9月16日 メキシコ独立記念日
    6. 11月第3月曜日(11月20日祝日の代替日) メキシコ革命記念日※2
    7. 6年ごとの12月1日(大統領就任日)
    8. 12月25日 クリスマス
    9. 連邦政府または地方政府が布告する選挙投票日
      ※1 憲法記念日は2月5日であるものの、第1月曜日が祝日とされます。
      ※2 革命記念日は11月20日であるものの、第3月曜日が祝日とされます。
  5. 1年間勤務した労働者には少なくとも6日間の有休が与えられ、勤続1年ごとに2日が追加されます(最大12日間まで)。5年目からは、勤続5年ごとに2日ずつ追加されます。雇用主は、労働者がこの有休休暇を消化するたび、少なくとも日給の25%に相当する報奨金を支払う必要があります(同法第74、81条)。

III. 賃金・給与

  1. 給与は労働契約によって規定され、いかなる場合においても国家最低賃金制定委員会が決定する最低賃金を下回ることはできません。また雇用主は、インフレ率や最低賃金の改定などに従って、必要に応じ給与を上昇させることができます(連邦労働法第94、96条)。
  2. 給与は現金または小切手や振り込みなど、労使間で都合のいい方法を選択することができます(同法84条)。
  3. 支払い日は現場作業に従事する労働者は1週間ごと、そうでないものは15日ごとと規定されています(同法第88条)。
  4. ボーナスやコミッションは、企業が必要と認める際に制定され、支給される場合は労働契約に条件および手順を規定します。また、給与の他に、労働者は年1回アギナルド(クリスマスボーナス)を受け取る権利を持ち、遅くとも12月20日までに給与の15日分を支給されます(同法87条)。
  5. 労働者は、企業利益の配分を受ける権利を有します。この割合は、企業利益への労働者の参加のための国家委員会で制定され、現在は税務上の利益の10%です。この配分は、企業がその確定申告をした後60日以内に実行されなければなりません(同法第117、131条)。

IV. 社会保険

社会保険料は労働者の給与に基づき社会保険法およびその規定により計算されます。これは日給から計算されたコミッションや報奨金なども含んだ合計額です。社会保険料の支払いは全ての労働者(経営層、信任職を含む)に関して行う必要があります。また、法律で義務付けられてはいないものの、会社によっては、民間の医療保険を提供しています。民間の医療保険は、労働者やその家族に対して、公的医療保険を超える追加の便益を与えるものです。

V. 社会福祉関連

雇用主は労働者の福祉に関して以下の義務を持ちます(連邦労働法第504条)。

  1. 救急措置のための薬と用具の準備
  2. 従業員数が100人以上の場合、必要とされる手当や緊急手術に対応できる救急室の設置
  3. 従業員数が300人以上の場合、医師や看護婦のいる病院の設置

なお、b、c項は近隣の診療所や病院と契約を結ぶことでも充足します。

VI. 労使関係の終了

次の場合、雇用主は責任を問われることなく労使関係を終了させることができます(連邦労働法第47条)。

  1. 不正な身分証明書を利用した
  2. 就業中、暴力行為や不道徳な行為を犯した
  3. 故意に作業機械や工具、資材などに損害を与えた
  4. 安全に留意しない行為をした
  5. セクハラ、敵対、不道徳な行為をした
  6. 機密情報や製造上の秘密を暴露した
  7. 30日間に理由や許可を得ずに3日以上の欠勤をした
  8. 正当な理由なく雇用主に従わない
  9. 病気や事故を避けるための予防具の着用や使用を拒否した
  10. 何らかの薬物やアルコールによる酩酊状態で出勤した
  11. 刑務所に収監されるよう、当局から判決が出た
  12. その他連邦労働法が定める事項がある場合

労使関係の終了時には給与、コミッション、アギナルド(クリスマスボーナス)、有休やその報奨金など、労働者が受給する権利をもつすべての事項を精算する必要があります。労使関係の終了に正当な理由がないと労働者が見なした場合、元の職場への復帰の要請または自身の給与の3カ月分に相当する解雇補償金やその他の労働法が定める補償金の支払いを求めることが可能です。

関連法令

調査時点:2016/01

記事番号:J-160302

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