非居住者が保有する貨物の通関制度:台湾

質問

当社は、台湾に住所のない日本の企業です。このたび台湾に貨物を送り、台湾に住所を有しないまま、つまり非居住者名義で、台湾で輸入通関したいと思いますが、可能でしょうか。また、同じく非居住者として、そこから輸出通関を行う、または現地で貨物を管理することができるでしょうか。

回答

非居住者による台湾での輸出入通関は認められていませんが、貨物管理については非居住者でも扱うことが可能です。この貨物を台湾で販売した場合、営利事業所得税(法人税)が課されていましたが、2017年1月より適用が開始された日台租税協定を利用して免税にできる可能性があります。詳細は以下のとおりです。

I. 非居住者による輸出入通関について

  1. 非居住者名義での輸入申告の可否
    非居住者は、自己の名義で輸入申告を行うことはできません。台湾において輸入者となるためには、輸入者として経済部国際貿易局(Bureau of Foreign Trade: BOFT)に登録する必要があります。しかし、BOFTによれば、当該登録をすることができるのは台湾で設立された法人、あるいは外国法人の台湾支店として台湾政府から登録証を得たものに限られるため、非居住者名義で輸入申告を行うことは実質的には認められていません。非居住者向けの貨物を台湾で輸入するには、BOFTに登録している第三者に輸入業務を委託し、当該業者の名義で貨物を輸入することになります。
  2. 非居住者名義での輸出申告の可否
    上記1と同様に非居住者は、自己の名義で輸出申告を行うことはできません。非居住者名義の貨物を台湾から輸出するには、BOFTに登録している第三者に輸出業務を委託し、当該業者の名義で貨物を輸出することになります。
  3. 非居住者名義での積み戻し(返送)申告の可否
    上記1および2と同様に非居住者は、自己の名義で積み戻し申告を行うことはできません。非居住者名義の貨物について積み戻し申告を行うためには、BOFTに登録している第三者に積み戻し業務を委託する必要があります。

II. 非居住者による保税地域における外国貨物管理について

  1. 非居住者名義により、保税地域において外国貨物として管理することの可否
    非居住者は自己の名義で、自己の所有する貨物を外国貨物として管理することができます。
  2. 貨物の保管期間
    保税倉庫における貨物の保管期間は最長で2年です。ただし、台湾の特定産業で使用される原料、日常消費必需品、特定の工学建築に使用される物質・原料、その他台湾財務省が認める原料については保管期間の制限はありません。
  3. 税金の種類
    1. 営利事業所得税(法人税)について
      非居住者が所有する貨物が保税倉庫や自由貿易地域(Free Trade Zone: FTZ)で保管された後、台湾の顧客に販売される、あるいは台湾内の住所へ納品される場合、当該非居住者は台湾で源泉所得税が発生したことになります。2016年までは台湾において法人税が課されていましたが、2017年より日台租税協定が適用され、法人税が免税となる可能性があります。日台租税協定を適用するには以下の書面等を準備したうえで、税務機関に対し所得税減免の認可を申請する必要があります。
      1. 申請書
      2. 契約書コピー(中国語翻訳含む)
      3. 日本の居住者証明書
      4. 台湾で恒久的施設を有しないまたは恒久的施設を経由せずに事業に従事していることの証明文書
      5. 所得関連証明文書
    2. 営業税(VAT)について
      倉庫賃料には営業税(VAT5%)が課されます。なお、台湾における納税登録を行っていない場合、VATの還付を受けることはできません。

III. 非居住者名義による非保税地域における台湾域内貨物管理について

  1. 非居住者名義により、保税地域ではない場所において台湾域内貨物として管理することの可否
    非居住者は自己の名義で、自己の所有する貨物を台湾域内貨物として管理することができます。
  2. 貨物の保管期間
    特に制限はありません。
  3. 税金の種類
    1. 営利事業所得税(法人税)について
      非居住者が所有する貨物が台湾の顧客に販売される、あるいは台湾の住所へ納品される場合、当該非居住者は台湾で源泉所得税が発生したことになります。2016年までは台湾において法人税が課されていましたが、2017年より日台租税協定が適用され、法人税が免税となる可能性があります。なお、協定を適用するためには上述の書面等を準備したうえで、税務機関に対し所得税減免の認可を申請する必要があります。
    2. 営業税(VAT)について
      貨物の台湾輸入時に営業税(VAT5%)が課されます。また、倉庫賃料にも営業税(VAT5%)が課されます。なお、台湾における納税登録を行っていない場合、VATの還付を受けることはできません。

関係機関

台湾経済部国際貿易局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
台湾財政部関務署外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
公益財団法人日本台湾交流協会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

全国法規資料庫:
外国貿易法(Foreign Trade Act)(第3条および第9条、輸出入手続)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関税法(Customs Act)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
保税倉庫設立及管理弁法(Regulations Governing the Establishment and Management of Bonded Warehouses)(16条および45条、保税倉庫、蔵置期間)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
加値型及非加値型営業税法(Value-added and Non-value-added Business Tax Act)(1条、2条および5条、VAT)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
「日台民間租税取決め」所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための公益財団法人交流協会と亜東関係協会との間の取決め外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2015年9月
最終更新:2018年4月

記事番号: K-130102

ご質問・お問い合わせ

記載内容に関するお問い合わせ

貿易投資相談Q&Aの記載内容に関するお問い合わせは、オンラインまたはお電話でご相談を受け付けています。こちらのページをご覧ください。