外国人が日本で勤務する際の納税

質問

米国人が7月10日から翌年の6月10日まで日本の子会社に派遣されることになりました。 給与は米国内の親会社から支給されます。日本で納税の義務はありますか?

回答

ご質問のケースでは、日本で納税の義務があります。日本の所得税法では、「居住者」は日本国内に住所を有し、または現在まで引き続き1年以上居所を有する個人をいいます。住所とは所得税法では定義した規定はありませんが、各人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定するとされています。居所についても所得税法では定義した規定はありませんが、一般的には人が相当期間継続して居所しているものの、その場所との結びつきが住所ほど密接ではないものとされています。日本での滞在期間が1年未満で、派遣期間終了後に米国へ帰国する場合は「非居住者」に該当すると考えられます。非居住者であっても日本国内の勤務に基づく給与または賞与は国内源泉所得とされ、日本において納税義務があります。

Ⅰ. 居住者・非居住者の定義

  1. 居住者
    日本国内に住所を有する個人または現在まで引き続き1年以上の居所を有する個人を指します。なお、居住者は、「非永住者以外の居住者」と「非永住者」に分かれます。外国人が日本へ赴任した場合、アサイメント(転勤命令、出向命令)が1年以上であれば入国した日から居住者となります。アサインメントがなくても1年以上居住すると居住者となります。
    • 非永住者以外の居住者
      非永住者以外の居住者は、所得が生じた場所が日本国の内外を問わず、そのすべて の所得に対して課税されます。
  2. 非居住者
    居住者のうち、日本国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において日本国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人をいいます。非永住者は、所得税法に規定する国外で生じた所得(国外源泉所得)以外の所得と、国外源泉所得で日本国内において支払われ、または日本国内に送金されたものに対して課税されます。非居住者 居住者以外の個人をいいます。

Ⅱ. 非居住者の納税手続き

ご質問の方は米国で給与が支払われていますが、日本国内に源泉のある給与所得を得ています。このような場合、その年の翌年3月15日(同日前に国内に居所を有しないこととなる場合には、その有しないこととなる日)までに、所轄税務署長に対し、所得税の確定申告をして納税を行います(所得税法第172条第1項)。

Ⅲ. 日米租税条約

米国居住者であり、かつ日本非居住者については、原則として日本での滞在期間が183日以内である他、一定の条件を満たせば日米租税条約による短期滞在者免税があります(日米租税条約第14条第2項)。日米租税条約の短期滞在者免税の適用を受けるためには、その課税年度において開始又は終了するいずれの12か月間においても日本の滞在期間が合計183日以内である必要があります。ご質問の場合には、7月10日からの12か月間における日本の滞在日数が合計183日を超えますので短期滞在者免税の適用を受けることは出来ません。

関係機関

関係法令

参考資料・情報

国税庁:
所得税及び復興特別所得税の準確定申告書の説明PDFファイル(291KB)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
非居住者等に対する課税のしくみ(平成29年分以降)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
居住者と非居住者の区分外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
日米租税条約における短期滞在者免税を適用する場合の183日以下の判定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2013年8月
最終更新:2025年12月

記事番号: H-100317

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