加工のために輸入して加工後に輸出されるときの免税手続き:日本

質問

加工のために輸入し、加工後に輸出する際の、関税の免税制度と手続きについて教えてください。

回答

特定の貨物(加工された仕掛品、加工材料等)を輸入し、その貨物の輸入許可日から原則1年以内に輸出するものについては、関税が免除されます(以下、再輸出免税)(関税定率法第17条第1項第1号)。

I. 対象貨物

対象となる貨物は以下のとおりです(関税定率法施行令第31条)。

  1. 彫刻、七宝、象眼、琺瑯(ほうろう)、塗装、絵画、模様、録音、録画、彩色、印刷を施し、または金属にめっきするために輸入する製品
  2. 絵画または模様を焼き付けるため輸入する陶磁器
  3. 精錬、漂白、起毛、染色整理または撚(よ)りを施すために輸入する糸類、織物類およびその製品
  4. 糸抜、かがり、刺しゅう、または縁縫いを施すために輸入する織物類およびその製品
  5. なめし、色染、裏付け、その他の加工を施すために輸入する毛皮および獣皮
  6. 輸出物品への簡単な取付け、貼り付け、封入、または輸出物品の包装のために輸入する物品
  7. 感光性のフィルムの現像、合成貴石の研磨、その他これらに類する簡単な加工(再輸出の際に輸入された物品の確認が容易にできる程度の加工に限る)を施し、またはその加工の材料として使用するために輸入する物品
  8. このほか、加工貿易の振興に資するために必要と認められる貨物で、財務大臣が指定したもの

II. 輸入時の手続き(免税手続き)

輸入申告書と「再輸出貨物減免税明細書」(T-1340)(以下、明細書)を税関長に提出する必要があります。輸入の許可が下りると、税関から輸入許可書が交付されます。各書類の記載事項は以下です。

  1. 輸入申告書:輸入の目的、加工の種類、加工者の氏名または名称、住所、輸出の予定地
  2. 明細書:品名、数量、輸入の目的、輸出の予定時期、輸出の予定地、使用場所

III. 再輸出時の手続き

輸出申告の際、その貨物の輸入許可書、またはこれに代わる税関の証明書、加工者が作成した「再輸出免税貨物加工証明書」(T-1380)を提出します。
輸出後、税関長から輸出済みの旨が記載された輸入許可書等(輸出申告時に提出した書類)が交付されます。
交付を受けてから1カ月以内に、貨物の輸入地を所轄する税関長に「再輸出減免税貨物の輸出の届出書」(T-1385)を提出します。

IV. 留意点

  1. 再輸出免税を受ける際
    1. 対象貨物の輸入時にかかる消費税も免除されます(輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(輸徴法)第13条第1項第4号)
    2. 税関から、その免除にかかわる関税額に相当する担保を求められる場合があります
    3. 再輸出時は輸出書類だけでなく、必ず輸入時の許可書や関係書類を通関業者に渡してください。これを怠ると通常の輸出貨物として申告、許可、船積されてしまい、減免された関税等が追徴されることにもなりかねません
    4. 再輸出免税を受けた貨物が、期間内に輸出されない、または用途以外に供された場合、免除を受けた関税が直ちに徴収されます
  2. 再輸出免税の利用適否
    納付する関税が少額の場合は、以下の点を勘案した上で、本制度の利用適否を決めるとよいでしょう。
    1. 担保提供に要する手数料。
    2. 貨物の同一性確認のため、輸出入時の検査で通関に要する時間。
    3. 減免税手続きの際、通関業者に支払う料金。
    4. 貨物の確実な再輸出のための管理コスト(手間ひまがかかること)。
  3. その他
    消費税の課税事業者が関税無税の貨物を輸入する場合、本制度を利用する必要はありません。
    これは、輸入時に消費税をいったん税関に納付し、受取消費税から控除する、または確定申告時に仮払消費税と仮受消費税をバランスし、仮払消費税が多い場合には還付請求することで、実質的に消費税を負担する必要はなくなるためです。

関係機関

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関係法令

法令データ提供システム(e-Gov):
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輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

税関:
関税定率法基本通達外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報

税関 カスタムスアンサー:
1603 関税の減免戻税制度一覧表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1702 輸入品に対する内国消費税の免税制度外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1703 免税規定(関税定率法)に係る消費税等適用一覧外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2013年8月
最終更新:2017年9月

記事番号: H-100314

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