三国間貿易の留意点: 中国

質問

中国の三国間貿易の現状について教えてください。

回答

中国ではかつて三国間貿易による中国への輸入を厳しく規制していました。現在ではこうした規制は廃止され、中国を輸出先として、あるいは中国からASEAN諸国等へ輸出する三国間貿易が増えています。

Ⅰ. 三国間貿易の背景

三国間貿易とは、⼆国間の貿易取引に製造や船積みを伴わない第三国の当事者が輸出者として参加し、複数の取引や商流がかかわる⼀⽅で、物流は⼆国間のみに発⽣する貿易の形態をいいます。製造や船積みを伴わない第三国の当事者の役割が主に仲介者であることから、仲介貿易とも呼ばれます。⽇本の外国為替及び外国貿易法第25条第1項第2号では「仲介貿易」を「外国相互間の貨物の移動を伴う貨物の売買に関する取引」と定義しています。経済のグローバル化に伴い、取引の当事者は国境を越えて複数の国に拠点を持つようになりました。それに伴って、グループ企業やアウトソーサー等を含む当事者間の取引が⼆国以上にまたがる複雑な貿易取引が増加しています。また、従来は取引の中で製造者の役割が絶対的で、製造者でない取引者は仲介者としての⼆次的な役割に限定されていました。しかし、アウトソーシングの利⽤が進んだ結果、製造者より、製品やプロジェクトの企画者がより重要な役割を果たすケースが増えています。

Ⅱ. 三国間貿易における留意点

中国での三国間貿易における留意点について、以下にて関係する三国の当事者ごとに説明します。

  1. 三国間貿易の輸入者
    かつて、中国は輸⼊時に原産地等の商流の情報が必ずしも正確に伝わらないことを嫌い、三国間貿易による中国への輸⼊を厳しく規制していました。そのため、輸⼊通関時に輸⼊者が税関に提⽰する船積み書類は、物流上の輸出者と商流上の輸出者名義が⼀致している必要がありましたが、現在ではこうした規制は廃⽌されました。
  2. 三国間貿易の輸出者
    1. 実際に貨物を船積みする輸出者
      実際に貨物を船積する輸出者にとっては、船積み書類上、契約上の荷受人と物流上の納品先が異なります。
    2. 書類上の輸出者(仲介者)
      中国において、三国間貿易の書類上の輸出者、つまり仲介者である場合は、貨物の輸出通関や船積みを⾏いませんが、必要な届出を⾏うことで、中国で三国間貿易の仲介者として貿易⼿続きができます。

2022年の対外貿易法改正により、対外貿易経営権の届出制度は廃止され、企業は自由に貿易業務を開始できるようになりました。現在では、所在地の銀行を通じて「貿易外貨収支企業名簿」への登録を行うことで、金融機関での外貨収支業務を行うことができます。ただし、同一国・地域内で貨物が移動せず、中国企業が売買当事者となるだけの取引は、虚偽取引のリスクが高いとされ、銀行による外貨決済が拒否される可能性があります。国家外貨管理局の通知(匯発〔2016〕7号)では、オフショア取引における外貨決済の真実性審査が強化されており、銀行は無記名式B/L(Negotiable Bill of Lading)や倉荷証券(Warehouse Receipt)などの権利証書の提示を求めることが義務付けられています。実務上は、倉荷証券のみでは真実性の証明が不十分とされるケースが多く、無記名式B/Lの提示が事実上の要件となっています。

Ⅲ. 中国で三国間貿易を行う際の外貨決済上の手続きおよび注意点

中国での三国間貿易の外貨決済には国家外貨管理局が公布した「貿易外貨業務管理の更なる最適化に関する通知」(滙発〔2024〕11号)および「経常項目外貨業務指引(2020年版)」(滙発〔2020〕14号)等が適用されます。
外貨の支払いおよび受領の方式には以下の2方式があります。

  1. 外貨の支払いおよび受領の方式には以下の2方式があります。
    1. 「先払い・後受領」方式
      金融機関が輸出者に対して代金を支払った後、輸入者から代金を受領する。
    2. 「先受領・後払い」方式
      金融機関が輸入者から代金を受領した後、輸出者に代金を支払う。

    ⼀件の契約で、代⾦の受領⽇と⽀払⽇の間隔が90⽇超、かつ「先払い・後受領」⽅式で受領した外貨⾦額、または「先受領・後払い」の⽅式で⽀払った外貨⾦額が50万USドル超相当の業務を⾏う場合、貨物輸出⼊または外貨の受払業務の発⽣⽇から起算して30⽇以内に、「デジタル外管」プラットフォームを通じて、所在地の外貨管理局に外貨の受払予定⽇または輸出⼊の予定⽇等の情報を報告する必要があります。「デジタル外管」プラットフォームとは、国家外貨管理局が運営する外貨収支・貿易取引・報告・登記を一元管理するオンラインシステムです。

  2. 国家外貨管理局は、対外貿易を行う者を以下の通り、A類、B類、C類に分類して管理します。
    1. A類企業
      A類企業が輸入外貨を支払う際に、輸入貨物通関申告書、輸入契約書、領収書(発票)など取引の真実性を証明できるいずれかの証票を用いて、銀行で直接外貨支払いを申請することができます。また、輸出外貨受け取りに際しては現物検査による照合が不要となり、銀行での外貨出入金の手続きが簡素化されます。
    2. B類企業
      B類企業が三国間貿易での外貨を受け取る、または支払う際には、金融機関に購入契約、販売契約、領収書(発票)、B/L等の証票を提出しなければなりません。また、受領と支払日の間隔が90日を超えた外貨収支業務を行うことができません。
    3. C類企業
      C類企業については、すべての外貨収支関連業務を事前に国家外貨管理局に登記して証明書類の審査照合が必要であり、三国間貿易の外貨支払いおよび受領手続きを行うことはできません。

    銀行により内部規定が異なるため、外貨受領手続きも異なる可能性があります。詳細は銀行に確認することをお勧めします。

  3. 中国で三国間貿易を⾏う際の留意点
    1. 中国における仲介者として留意すべき点
      1. 貿易取引の書類の真実性、および外貨支払いと受け取りの一致性。
      2. 外貨支払いと受け取り、および実際の貿易取引の一致性に影響がある事象について、国家外貨管理局に積極的に報告すること(一定の期限を超えた前受金と前払金、延期支払と延期受領など)
    2. 輸入者として留意すべき点
      1. 代理仲介業者の資質と信用などを前もってきちんと審査すること。
      2. 中国における代理仲介業者は往々にして輸出入の量が多く、中国税関からの検査を受ける確率も高くなります。代理仲介業者が提出する証憑に問題がある場合、税関による貨物の引き留めや罰金などが発生する可能性もあります。

関係機関

関係法令

中国中央人民政府:
中華人民共和国対外貿易法(2004年施行、2022年改正) / 中华人民共和国对外贸易法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国家外貨管理局:
『オフショア取引に関する管理通知』(滙発〔2016〕7号) / 国家外汇管理局关于加强离岸转手买卖外汇管理的通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
『経常項目外貨業務指引(2020年版)』通知(滙発〔2020〕14号) / 国家外汇管理局关于印发《经常项目外汇业务指引(2020年版)》的通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
貿易外為業務管理の一層の最適化に関する通知(2024年4月7日) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2017年3月
調査時点:2025年7月

記事番号: C-140101

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