製造物責任法の概要:中国

質問

中国における製造物責任法の概要を教えてください。

回答

近年、消費者の権利意識の⾼まりに伴い、中国では製造物責任を問う訴訟の件数も増加しています。中国に⽇本から輸⼊された製品も中国の製造物責任に関する法律の適⽤を受けるので、⽇本企業は、中国の製造物責任にかかる法律体系を把握し、対策を講じる必要があります。

I. 中国の製造物責任関連の法律

中国における製造物責任は、国家質量監督検験検疫総局、地方各級品質技術監督局、各級工商管理局およびその他関連部門が監督管理しており、主に次の3つの法律が存在します。

  1. 製品品質法(2018年12⽉29⽇改正施⾏)

    中国の製造物責任について最も重要な法律です。製品の品質に対する監督管理を強化し、製品の品質責任を明確にすることにより、使用者・消費者の合法的な権益を保護することを目的とした法律であり、製造者のみならず販売者も責任が問われます。詳細は II項を参照ください。

  2. 消費者権益保護法(2014年3月15日改正施行)

    消費者の権利を保護することを目的としており、製品品質法で定める製造者・販売者の責任を消費者保護の立場から一層強化するものです。消費者は製品を購入することによって人身及び財産の安全が損なわれてはならず、使用する製品についての安全性を知る権利を有します。よって製品は、適切な使用方法および危害発生防止の方法を表示しなければなりません。

  3. 権利侵害責任法(2010年7月1日施行)

    製品の製造者、販売者および関係者の連帯責任を規定しています。製品品質法では製品欠陥による製造物責任を生産者及び販売者に負わせると明記していますが、権利侵害責任法では、必要に応じてその責任を運送者及び倉庫保管等の第三者に求償できるとしています。また、市販している製品に欠陥が見つかった場合、製造者および販売者が速やかに注意喚起または製品をリコールするなどの措置をとる必要があり、これを怠り、消費者に損害をもたらした場合は賠償責任を負います(同法46条)。

II. 製品品質法

  1. 対象製品

    製品品質法は、「加工、製作された後、販売に用いられるもの」を対象としており、建設工事などの役務は対象外です。

  2. 責任及び義務

    中国の製品品質法の責任主体は製造者に加えて販売者も含まれます(第4条)。また、製造者および販売者は相互に求償する権利を持ちます(第40条)。製造者はその生産した製品の品質に対して責任を負わなければならず、国家基準、業界基準がある場合は、その基準に合致させ、製品が具備すべき使用機能を保有している必要があります。

  3. 表示義務

    製造者は、製品の表示を次の各号に掲げる要求に合致させる必要があります。

    1. 製品品質検査合格証明を表示すること
    2. 中国語で製品の名称、生産工場の名称および工場所在地を表示すること
    3. 製品の規格、等級、含有する主要成分の名称および含有量を明記する必要がある場合には中国語で明記する。消費者に事前に知らせる必要がある場合には、上述の内容を製品の外部包装上に明記し、または事前に消費者に関係資料を提供すること
    4. 使用期限のある製品は、目立つ位置にはっきりと製造年月日および安全使用期限または失効日を明記すること
    5. 正しく使⽤しないと製品⾃体が容易に壊れ、または⼈体、財産の安全に危害を及ぼす恐れのある製品について、警告マークまたは中国語の警告説明を表⽰すること
      また、取扱い上注意を要する製品(壊れやすい製品、可燃性、爆発性、有毒性、腐⾷性または放射性がある製品、貯蔵・運送中に倒置してはならない製品など)については、関係規定に基づき、警告マークまたは中国語の警告説明、貯蔵、輸送注意事項をその包装に明記する必要があります。このほか、⾷品などの製品の表⽰には⾷品安全法等により、さらに具体的な要求があります。
  4. 損害賠償

    販売者は、製品が具備すべき使⽤機能を具備していないにもかかわらず事前に説明しなかった場合や、表⽰している品質を満たしていないことが原因で消費者に損害を与えた場合、製品の修理、交換、返品または損害賠償責任を負います。上記の事由について製造者又はサプライヤーに責任がある場合、販売者は製造者又はサプライヤーに求償することが可能です(第40条)。また、製品に欠陥が存在したことにより人身又は欠陥製品以外のその他の財産に損害を与えた場合、製造者が製品の流通開始時に損害を引き起こした⽋陥がまだ存在していなかったことなどを証明できるとき、製造者は賠償責任を負いません(第41条)。製造者および販売者は損害に対する責任を相互に求償する権利を持ち、然るべき者が消費者に対して責任を負います

関係機関

関係法令

中国中央人民政府:
消費者権益保護法(主席令第11号、2014年3月15日改正施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
権利侵害責任法(主席令第21号、2010年7月1日施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
全国人民代表大会:
製品品質法(主席令第22号、2018年12月29日改正施⾏)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2013年10月
最終更新:2019年10月

記事番号: C-030002

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