EPE(輸出加工企業)の優遇措置と通関手続き:ベトナム
質問
輸出加工企業(EPE)に対する優遇措置について教えてください。
回答
I. 輸出加工企業(Export Processing Enterprises: EPE)
輸出加工企業(Export Processing Enterprises: EPE)とは、「輸出加工区、工業団地又は経済特区において、輸出加工活動を行う企業」を指します。この輸出加工活動とは、輸出品の製造、輸出品の製造に関連するサービスの提供、及び輸出業務をいいます。
EPEは、投資登録証明書等においてEPE設立を目的とする投資目標が記載された時点から、非関税区域に適用される投資優遇および税制優遇を享受できます。ただし、設立後かつ開業前に、輸出入税法令に基づく税関の検査及び監督に関する要件を満たしていることについて、所轄税関の確認を受けることが必須となります。当該確認を受けられない場合には、非関税区域としての税制優遇は適用されません。(Decree No.35/2022/ND-CP、2022年5月28日付)
非関税区域とは、ベトナム国内に法令に基づいて設けられ、明確な境界及び外部と区切るフェンスを有し、輸出入される貨物や出入りする車両・人について、税関当局などによる検査・管理を行うことが可能な条件を備えた経済区域をいいます。非関税区域と区域外との間で行われる物品の売買や交換は、輸出入とみなされます。
II. 法人税
現在、EPEという条件での法人税の優遇措置はありません。
ベトナムは従来、EPEに対して法人税の優遇(10%、15年間)をはじめ、関税やVAT(付加価値税)の免除といった優遇措置を与えてきました。しかし2007年のWTO加盟に伴い、国内外資本の格差をなくす目的で、2012年1月1日以降、EPEの法人税の優遇措置は撤廃されました(Decree No.122/2011/ND-CP、2011年12月27日付)。
法人税の標準税率は2016年1月1日以降20%でしたが、2025年10月1日以降、年間総収入に応じた段階税率に改正されました(石油・ガスや希少資源の事業など特定産業を除く)。(Law No.67/2025/QH15、2025年6月14日付)。
段階税率は次のとおりです。
- 年間総収入が30億VND以下の企業...15%
- 年間総収入が30億〜500億VND以下の企業...17%
- 年間総収入が500億VND超の企業...20%(標準税率)
III. 輸出入関税
次に掲げる物品については、輸出入関税が免除されます。
- EPEから外国へ輸出される物品
- 外国からEPEへ輸入され、当該EPE内においてのみ使用される物品
- 一のEPEから他のEPEまたは他の非関税区域へ移動される物品
なお、EPEから国内市場へ販売される物品については、輸出関税は課されません。ただし、当該物品の国内への販売は輸入取引として扱われるため、輸入関税の納税義務は当該物品を輸入する国内企業にあります。
また、EPEが国内企業から購入する物品については、輸入関税は課されません。ただし、当該物品のEPEへの販売は輸出取引として扱われるため、輸出関税の納税義務は当該物品を輸出する国内企業にあります。(Law No.107/2016/QH13、2016年4月6日付; Decree No.134/2016/ND-CP、2016年9月1日付及びDecree No.18/2021/ND-CP、2021年3月11日付)
Ⅳ. 付加価値税(VAT)
外国と非関税区域との間、並びに非関税区域相互間で売買される物品及びサービスは、付加価値税(VAT)の課税対象となりません。したがって、EPEが輸出活動のみを行っている場合には、付加価値税(VAT)申告書を提出する義務はありません。(Decree No.126/2020/ND-CP、2020年10月19日付; Law No.48/2024/QH15、2024年11月26日付及びDecree No.181/2025/ND-CP、2025年7月1日付)
Ⅴ. 通関手続き
Circular No.121/2025/TT-BTC(以下「Circular No.121」)は、2025年12月18日に公布され、2026年2月1日より施行されます。
Circular No.121は、輸出入貨物に係る通関手続、税関検査・監督、輸出税・輸入税及び税務管理に関する既存の各通達の一部条項について、改正及び補足を行うものです。
Circular No.121の施行に伴い、EPEに関する通関手続きの主なポイントを次のとおりです。
- 通関手続きが省略可能な場合
EPEが輸出入する物品については、原則として通関手続きを行い、製造目的に沿って適正に使用する必要があります。
一方、ベトナム国内で調達される建設資材、事務用品、食料品、食品及び消費財に関する通関手続の取扱いについては、通達の改正動向を踏まえつつ、EPEと取引先企業が通関手続きを行うか否かを任意に選択することができる場合があるとされています。
なお、通関手続きを行わないことを選択した場合には、EPEとその取引先企業の双方が通関手続きを実施しない取扱いになります。
※ 通関手続きを省略する場合でも、目的・出所を明確にした帳簿・証憑の作成・保存が必要です。(Circular No.38/2015/TT-BTC、2015年3月25日付; Circular No.39/2018/TT-BTC、2018年4月20日付; Decree No.35/2022/ND-CP、2022年5月28日付及びCircular No.121/2025/TT-BTC、2025年12月18日付) - 通関手続きが不要の場合
- EPEが外国から輸入した物品のうち、EPEに適用される規制及び政策と同一の適用を受けない物品に該当し、当該物品に適用される輸入管理政策を遵守するために、すべての税金を納付したものについては、国内企業との交換又は販売に際し、通関手続きを行う必要はありません。
- EPEが国内から購入した物品のうち、EPEに適用される規制及び政策と同一の適用を受けない物品に該当し、当該物品に適用されるすべての税金を納付したものについては、当該取引において、通関手続きを行う必要はありません。
- ただし、輸出税の課税対象となる物品を国内から購入する場合には、原則として通関手続きが必要となります。
なお、生産用原材料または消耗資材として使用される場合は、この限りではありません(例:EPE生産用炉で使用される石炭)。 - ベトナム国内への加工委託についてEPEが加工委託を目的に物品をベトナム国内へ搬出し、加工後の製品をベトナム国内から再受領する場合、通関手続を行う必要はありません。
- ベトナム国内からの加工受託についてEPEがベトナム国内から物品を受け取り、加工後にその製品を国内へ返却する場合、通関手続を行う必要はありません。
- EPE間での加工委託・受託についてEPEが他のEPEに対して加工を委託する場合、委託側および受託側のいずれにおいても、加工契約に基づく原材料、資材、および加工後の製品の引渡し・受領に際して通関手続を行う必要はありません。ただし、原材料、資材、製品、ならびに機械・設備の引渡しや受領に関する証憑書類については、財務省が定める会計および監査に関する規定に従い、保存する義務があります。
- EPEが輸入した物品をベトナム国内企業に販売する場合、通関手続を行う必要はありません。
- EPEが輸出を目的としてベトナム国内から物品を購入する場合、購入の時点では通関手続を行う必要はありません。
(Circular No.38/2015/TT-BTC、2015年3月25日付; Circular No.39/2018/TT-BTC、2018年4月20日付及びCircular No.121/2025/TT-BTC、2025年12月18日付)
関係法令
-
2022年5月28日付Decree No.35/2022/ND-CP
(4.0MB)
-
2021年3月11日付Decree No.18/2021/ND-CP
-
2011年12月27日付 Decree No.122/2011/ND-CP
-
2015年3月25日付 Circular No.38/2015/TT-BTC
-
2016年4月6日付 Law No.107/2016 QH13
-
2016年9月1日付 Decree No.134/2016/ND-CP
-
2018年4月20日付 Circular No.39/2018/TT-BTC
-
2020年10月19日付 Decree No.126/2020/ND-CP
-
2022年5月28日付 Decree No.35/2022/ND-CP
-
2024年11月26日付 Law No.48/2024/QH15
-
2025年6月14日付 Law No.67/2025/QH15
-
2025年7月1日付 Decree No.181/2025/ND-CP
(3.4MB)
-
2025年12月18日付 Circular No.121/2025/TT-BTC
調査時点:2015年1月
最終更新:2026年1月
記事番号: A-130201
ご質問・お問い合わせ
記載内容に関するお問い合わせ
貿易投資相談Q&Aの記載内容に関するお問い合わせは、オンラインまたはお電話でご相談を受け付けています。こちらのページをご覧ください。





閉じる