食器の現地輸入規則および留意点:米国向け輸出

米国向けに食器を輸出する際の現地輸入規則および留意点について教えてください。

米国で食器を輸入する際に、日本のように通関前に食品等輸入届出書を検疫所に提出し、指定検査機関による検査を受ける必要はなく、輸入のためのライセンスを取得する義務もありません。また、食器は2003年12月より施行された「公衆の健康安全保障ならびにバイオテロへの準備および対策法」適用外ですので米国食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)への事前通知や検査、認証の必要もありません。このため、製造者および卸・小売業者もしくは輸入業者が安全性に対してすべての責任を負うことになります。この点に留意し、輸出に際しては事前に輸入者と綿密に協議し、対応していくことをお勧めします。

I. 安全基準

食器の販売に際して、食器を使用する消費者への安全性を確保するため、FDAは陶磁器食器における鉛およびカドミウム、銀メッキ製容器における鉛の溶出量に関する基準を設けています。日本の食品衛生法で規定する溶出量測定方法と異なり、一部では、日本の食品衛生法より厳しくなっていますので、日本で販売されている商品の輸出にも注意が必要です。

FDAのコンプライアンスポリシーガイド(Compliance Policy Guide, 下記参考資料・情報を参照)によると、陶磁器食器の鉛とカドミウムの溶出許容基準は以下のとおりです。


  1. 深さ25mm以内の平皿類:3.0マイクログラム/ml
    深さ25mm以上、容量1.1リットル未満の深型食器類:2.0マイクログラム/ml
    8オンス容量程度のカップ・マグ類:0.5マイクログラム/ml
    容量1.1リットル以上の深型食器類は1.0マイクログラム/ml
    水差し類:0.5マイクログラム/ml(クリーマー、コーヒーポット、ティーポットは深型食器の分類に入る)
  2. カドミウム
    深さ25mm以内の平皿類:0.5マイクログラム/ml
    深さ25mm以上、容量1.1リットル未満の深型食器類:0.5マイクログラム/ml
    深さ25mm以上、容量1.1リットル以上の深型食器類:は0.25マイクログラム/ml
    このFDAのガイドラインは食べ物と飲み物に使用される容器に関して適用され、特にカップ・マグや水差し類、装飾の多い製品、小児による使用を意図した製品、液体(特に酸性の液体)を繰り返し入れるための製品に対しては、FDAのガイドラインに基づくサンプルスクリーニングが重点的に行われます。また、液体あるいは液状の食品を容れる銀メッキ製容器の鉛の含有許容基準は、成人の使用を意図している場合は7マイクログラム/ml、小児や子供の使用を意図している場合は0.5マイクログラム/mlです。

II. カリフォルニア州法案

カリフォルニア州では、FDAより広く食品に接触するすべての釉薬の塗られた陶磁器製食器、エナメル加工された金属製食器、ピューター製食器も対象として鉛・カドミウムの含有量を規制し、上記FDAのガイドラインを超える鉛・カドミウムを含む製品の販売を禁止しています。また、鉛、カドミウムが含まれる食器には製造者名あるいは輸入者名を表示する必要があります。

カリフォルニア州法案(California Proposition 65: Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act of 1986)では、鉛についてはFDAのガイドラインより厳しい基準(平皿類については0.226マイクログラム/ml、その他の食器類については0.1マイクログラム/ml)を設け、その基準を超えた食器を販売する際にはその危険性を注意書きとして表記することを求めています。食器に対してのカリフォルニア州法案にもとづく要求については下記参考資料・情報を参照してください。

このように、FDAガイドラインとは別に、各州によって独自の規定を設けている場合がありますので、各州の保健省支局に確認する必要があります。

III. 関税

食器に関する米国の関税コード(Harmonized Tariff Schedule of the United States: HTSUS)は、素材により多岐にわたります。関連するカテゴリーも3924、4419、4602、6911、6912、6914、7013、7014、7114、7323、7418、7506、7508、7615、8007など多数あります。それぞれのカテゴリーの中でさらに素材・性質・用途別に細目コードが特定されます。日本からの輸入関税率はHTSUSコードにより無税から38%まで様々です。ジェトロ「世界各国の関税率(World Tariff)」でご確認下さい。

関係機関

米国食品医薬品局(FDA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
カリフォルニア州環境保健有害性評価局(Office of Environmental Health Hazard Assessment: OEHHA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

Official California Legislative Information:
HEALTH AND SAFETY CODE(「食器からの鉛溶出の管理」Division 104 Environment Health Part3 Product Safety Chapter9)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報

米国食品医薬品局(FDA):
FDA Compliance Policy Guide
CPG Sec. 545.450 Pottery(Ceramics)Import and Domestic-Lead Contamination外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
CPG Sec. 545.400 Pottery(Ceramics)Import and Domestic-Cadmium Contamination外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
CPG Sec. 545.500 Silver-Plated Hollowware-Lead Contamination外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Toxic Elements in Foods & Foodware外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
California Proposition 65による鉛毒基準外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
OEHHAによるCalifornia proposition 65解説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
OEHHAのCalifornia Proposition 65に関するFAQ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

ジェトロ:
世界各国の関税率

調査時点:2017/1

記事番号: A-041131

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