輸入商品の保険料算定方法とてん補される損害:日本

質問

ある商品を輸入する際の保険料率が、2009年改訂版協会貨物約款(ICC)(A) 条件で戦争危険およびストライキ危険を含めて50銭と言われました。この保険条件でどのような損害がてん補されるのでしょうか。また、仮にCIF横浜港渡し価格が100万円とすると、保険料はいくらになるでしょうか。

回答

2009年ICC(A)条件の場合、輸送中の貨物に生ずる偶然、外来的な損害すべて(注)に対して保険金が支払われます。但し、輸送の遅延による損害、貨物の性質や欠陥による損害(例えば果物の腐敗損害等)及び荷造りの不完全等による損害には支払われません。保険料率が50銭というのは、保険金額100円に対する保険料の割合(0.5%)です。

I. てん補される損害

ICC(A)条件では、火災、爆発、船舶または艀(はしけ)の沈没、雨・雪等による濡れなど輸送中の貨物に生ずる損害に加えて、戦争危険とストライキ危険もてん補されます。戦争危険担保条項では戦争や内乱、革命などの危険、捕獲・だほ・抑止・抑留、機雷・魚雷・爆弾、海賊行為などの危険による物的損害をカバーするだけでなく、共同海損や救助費と言う費用損害もカバーします。ただし、原子力兵器の敵対的使用の場合は免責となっています。
ストライキ危険担保条項で担保される損害は、ストライキ中やロック・アウトされた労働者、その他暴動に加わっている者による損害と、これらの加担者であるか否かを問わず悪意をもって行動する者による損害です。

II. 保険料

輸入貨物CIF横浜港渡しの場合は、海外の輸出者が、売買契約に基づき横浜港到着まで付保することとなります。保険金額は当該商品の売買条件の中で設定されますが、CIF価格の110%が一般的となっています。
保険会社が提示する海上保険料率は、貨物の種類・保険条件・保険金額・輸送期間・契約者の過去の実績等を勘案して決定されます。また、戦争・ストライキ保険料率はLondon War Scheduleが準用されます。

保険料率が50銭とは、保険金額100円に対してのことであり、パーセントで表示すると0.5%です。したがって、保険料は、100万円×110%×0.5%=5,500円となります。なお、料率の内訳としては、海上保険料率が0.45%、戦争・ストライキ等保険料率0.05%程度かと推測されます。

(注)「損害の種類は次の通りです。
a .全損、b.火災、爆発、船舶などの座礁、沈没、水以外の他物との衝突による損害、c.積込、荷卸の際の1梱包ごとの全損、d.共同海損、e.海水濡れ損、f.盗難、抜荷または不着、g.不足・漏損、h.破損・曲損・へこみ損、i.汚損、j.雨・淡水濡れ損、k.上記以外の一切の危険による損害

参考資料・情報

三井住友海上編: 外航貨物海上保険案内外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
INSTITUTE CARGO CLAUSES (A)PDFファイル(38.8KB)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2011年8月
最終更新:2018年10月

記事番号: A-011020

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