就労ビザの種類とその取得方法:フィリピン

質問

フィリピンに新しく子会社を設立し、日本から現地に社員を派遣する予定です。フィリピンの就労ビザの種類と取得方法を教えてください。

回答

質問のケースでは、出入国管理法(The Philippine Immigration Act of 1940, Commonwealth Act No. 613)第9条(g)に基づいて発給される、通称9(g)雇用ビザ(Prearranged Employee Visa)の取得が適切です。

なお、就労ビザの取得にあたり、就労許可も併せて取得する必要があります。6カ月を超えない範囲の就労を希望する場合は、移民局(Bureau of Immigration)発行の特別就労許可(Special Work Permit、3カ月有効で1回限り延長可能)を取得し、6カ月以上の就労を希望する場合は労働雇用省(Department of Labor and Employment : DOLE)発行の外国人雇用許可証(Alien Employment Permit : AEP)を取得します。

I. 雇用ビザ(Prearranged Employee Visa)

駐日フィリピン大使館では雇用ビザの申請受付を行っていないため、次の順序で申請を行います。まず、9(a)ビジネスビザ(Business Visa)と呼ばれる、最長59日まで滞在が許可される一時入国ビザをフィリピン大使館に申請し取得します。次にフィリピンに入国後、雇用主と一緒に、移民局に9(g)雇用ビザ(Prearranged Employee Visa)の申請を行い、ビジネスビザを雇用ビザに切り替えます。雇用ビザへの切り替えは、移民局の聴聞を受け、同局の承認を得た場合にのみ許可されます。なお、ビザ取得までには2~3カ月を要します。

雇用ビザでフィリピンに滞在できる期間は、雇用契約によりますが通常は2年間で、3年間まで延長が可能です。本ビザの発給条件は、いかなるかたちの報酬にせよ明確な雇用契約書があること、また、その職種や職域は、フィリピン人では従事が難しい職種(経営トップ、財務担当者、高度な技術を要する技術者など)に限定されているため、当該職種が日本人でなければならない理由とフィリピンの国益にかなうという内容の説明書が必要です。
その他に申請時に必要な主な書類は以下のとおりです。

  1. 公証人の証明付申請書および雇用契約書の原本
  2. 履歴書、パスポートのコピー
  3. 会社定款、証券取引委員会発行の会社登記簿、会社の納税証明書
  4. (後述の)労働雇用省発行の外国人雇用許可書、または同省の受領印のある外国人雇用許可の申請書(複写)
  5. 地方政府の営業許可書
  6. 年次報告書(複写)
  7. 監査済の財務報告書および税務申告書(複写)
  8. 労働局が掲載した外国人雇用許可の新聞記事(原本)
  9. 会社からの雇用ビザへの切替依頼書
  10. 会社の身元引受書

なお、本ビザを所有している者が帯同する配偶者と子女についても、同様のビザの発給が行われます。 ただし、当該配偶者ならびに子女は、ビザ認可日から6カ月以内にフィリピンへ入国しなければなりません。

II. 外国人雇用許可証(Alien Employment Permit)についての補足説明

6カ月以上の就労目的でフィリピンへの入国を希望する外国人、およびフィリピン国内で外国人の雇用を希望する雇用主は、労働雇用省から雇用許可証を取得しなければなりません。雇用許可証は、当該職種がフィリピン人では従事が難しいこと、また、当人がそれを履行する能力と意思を申請時点で持っていることが認定された後、非居住者外国人(申請者)または申請雇用主に対して発行されます。

III.その他の就労ビザ

フィリピンの就労ビザは、当該企業のフィリピンとの関係により、上述したビザの他に以下のものがあります。

  1. 出入国管理法に基づく貿易または投資契約者に対する9(d)条約投資家ビザ
  2. 出入国管理法47条(a)に基づく特別非居住者ビザ
    (石油採掘に関わる者、経済区庁(PEZA)の登録企業および投資委員会(BOI)の登録企業が交付対象)
  3. 行政命令226号に基づく特別投資家居住ビザ(SIRV)
  4. 大統領令第1034号に基づくオフショア・バンキング・ユニットの外国人スタッフに対する数次入国特別ビザ

関係機関

関係法令

調査時点:2015年9月
最終更新:2021年3月

記事番号: A-010960

ご質問・お問い合わせ

記載内容に関するお問い合わせ

貿易投資相談Q&Aの記載内容に関するお問い合わせは、オンラインまたはお電話でご相談を受け付けています。こちらのページをご覧ください。