化学品の現地輸入規則および留意点:カナダ向け輸出

質問

カナダに化学品を輸出する際の現地輸入規則と留意点について教えてください。

回答

カナダでの化学品の輸入は「1999年カナダ環境保護法(Canadian Environmental Protection Act: CEPA1999)」、作業場危険有害性物質情報制度関係法令などの規制を受けます。

Ⅰ.「1999年カナダ環境保護法(CEPA1999)」による規制

「1999年カナダ環境保護法(CEPA1999)」(2000年3月施行)および「新規物質届出規則(化学物質及びポリマー)」(2005年8月施行)は、汚染を防止し環境や人の健康を守ることを目的とし、環境保護と持続可能な経済発展に重点を置いています。所管当局は環境省および保健省で、化学物質の管理は既存化学物質リストに基づいて実施されています。
CEPA1999は、「カナダの健全な環境保護を強化する法律(Strengthening Environmental Protection for a Healthier Canada Act)」(2023年6月成立)によって包括的に改正され、化学物質管理の強化がされました。

  1. 既存化学物質リスト
    1. 国内物質リスト(Domestic Substance List: DSL)
      国内物質リストは1984年1月1日から1986年12月31日の間に、1暦年につき100キログラム以上カナダで製造、輸入、流通または商業的製造目的に使用された物質のリストで、CEPA1999の規定において「有害」または「有害となり得る」ものかを定めるために作成されました。最初のリストは1991年1月26日に官報で公表、その後、新規物質の届出などにより追加・削除が行われ、現在、約2万8,000種以上の物質が収録されています。リストは、CAS番号(Chemical Abstracts Service:米国化学会が化学物質を識別するために付けた番号)、物質名などが記載された公開部分、物質名が総称名で公表される非公開部分からなります。
    2. 非国内物質リスト(Non-Domestic Substance List: NDSL)
      米国TSCA(有害物質規制法)インベントリーを基礎とし、DSLに未収載ですが、国際的に上市されていると考えられる物質を収載したリストです。1991年1月 26日に官報で最初のリストが公表されました。本リストは、年1回、TSCAインベントリーに追加された物質を加える修正が行われる他、製造業者からの申請によっても追加登録がなされます。DSL同様、公開部分と非公開部分があり、現在5万種以上の物質が登録されています。
  2. 新規化学物質届出制度
    DSLに収載されていない化学物質を製造・輸入する場合、カナダ国内の製造事業者、輸入事業者または国外事業者のカナダ国内代理人が、環境・気候変動省に事前の届出(New Substances Notification: NSN)を行う必要があります。なお、DSLへの収載の有無は、環境省のCEPA検索サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで検索できます。
    1. 届出の種類・時期
      新規物質のカテゴリー、製造・輸入量、NDSL登録の有無で要件が異なります。また、届出時に要求される情報も化学物質・ポリマーのカテゴリー、量など、種類ごとに異なります。
    2. 届出の対象外
      以下の用件に該当する場合、届出が免除されます。
      1. 化学物質の定義に含まれないもの(混合物、成形品〔article〕、廃棄物などに含まれるもの)
      2. 他法令(殺虫殺菌剤法、飼料法、肥料法など)に基づいて規制される化学物質
      3. 少量で製造、使用、輸入される化学物質など。
        このうち、少量として届出が免除される最大量は次のとおりです。
        1. 化学物質(ポリマー以外)
          NDSL未登録:100キログラム/年
          NDSL登録済:1トン/年(ただし、NDSL登録に関係なく、研究開発用、限定された場所に密閉された中間体、密閉された輸出専用物質〔export-only substance〕は1トン/年)
        2. ポリマー:1トン/年(ただし、研究開発用、限定された場所に密閉された中間体、密閉された輸出専用物質は10トン/年)
    3. 届出の審査と製造・輸入の開始
      審査期間は最長75日です。製造・輸入の開始要件は、有害性の疑いの有無により異なります。
      1. 有害性の疑いがない場合:届出者は審査期間終了後、製造・輸入の開始が可能。
      2. 有害性の疑いがある場合:条件付きで製造・輸入開始の許可または最大2年間の製造・輸入の禁止、審査継続のための追加情報提供要請など。

Ⅱ. 作業場危険有害性物質情報制度による規制

カナダには作業場危険有害性物質情報制度(Workplace Hazardous Materials Information System: WHMIS)があり、危険製品法(Hazardous Products Act: HPA)と危険製品規則(Hazardous Products Regulations: HPR)により、作業場で使用される危険有害性物質を規制物として分類し、輸入の条件として、ラベルと製品安全データ・シート(Safety Data Sheet: SDS)の添付が要求されます。HPRは2022年12月15日にGHS第7版(一部第8版)へ整合する改正が施行され、移行期間は2025年12月14日で終了、2025年12月15日以降は改正後HPRのみ適用されています。

  1. 規制対象物
    規制対象物は、高圧ガス、可燃性物質、酸化性物質、毒性および人体を損ねる物質、腐食性物質、反応危険性が高い物質などの製品・原料です。爆薬、化粧品、医薬品、食品、殺虫剤、放射性物質、有害廃棄物、特定の消費者用化学品などは規制対象外です。
  2. ラベル表示
    ラベル表示は、英語とフランス語の両方での記載が必要です。ラベルの記載内容は、製品識別子(product identifier)、初期供給者識別子(initial supplier identifier)、当該危険クラスに応じた記号(symbol)、信号語(signal word)、危険有害性の記述(hazard statement)、予防措置の記述(precautionary statement)などです。
  3. SDS
    WHMISの規制によるSDSは、HPRに基づく、危険有害性成分、取り扱いに関する情報、製品情報、物性データ、火災・爆発危険、反応性データ、有毒性、予防手段、応急措置等16項目の構成となっており、GHSに対応しています。SDSは英語、フランス語、両語の表示が必要です。またSDSは、作成後、危険有害性物質について新しい情報が明らかになる都度更新が必要です。

Ⅲ. 輸入および販売手続き

  1. 輸入事業者登録
    輸入者はまず、歳入庁(CRA)で輸入事業者登録をし、関税やその他の税金の徴収を目的とした事業者番号(Business Number:輸出入業者としての識別番号を含めて15桁)を取得する必要があります。この事業者番号によって、輸入関係の業務が処理されることになります。その後、国境サービス庁(CBSA)でImport-Exportプログラム(RM)口座を登録します。
  2. 輸入通関手続き
    輸入通関では、インボイス、輸送関係書類、カナダ国境サービス庁(CBSA)所定の用紙に記載した申告書などを到着日から5営業日以内にCBSAに提出することになっています。この他に、商品の原産地証明書も必要です。また、必要に応じて当局担当者による商品検査も行われます。
  3. 関税率、内国税
    化学品(主にHS27類から40類)の関税率は無税、3%、6.5%などと多岐にわたり、CBSAの関税率表で、品目ごとにHSコードと税率を確認する必要があります。また、関税の他に、連邦付加価値税(Goods and Services Tax: GST)5%、州売上税(Provincial Sales Taxes: PST)5%から9.975%、州によってはGSTとPSTを併せた統一売上税(Harmonized Sales Tax: HST)が13%~15%課税されます。税率は毎年変わる可能性がありますので、 World Tariffなどで最新値をご確認ください。
  4. 危険物(Dangerous Goods)の輸送ラベル
    危険物を輸送する場合、「危険物輸送法および規則(TDG)」を遵守する必要があります。TDGは、危険物の国際海上危険物規則(IMDG Code)に準拠して危険物の分類とラベルを定めています。これは、日本の「危険物船舶輸送及び貯蔵規則(危規則)」に対応するものです。WHMISによる規制物の輸送はTDGの規制を受けます。溶液のドラム缶等、内部に容器が実装されていない場合、WHMISラベルもTDGに加えてその容器に貼付する必要があります。輸送時のWHMISおよびTDGのラベル貼付については、輸送業者に実際の取扱い状況を確認してください。

Ⅳ. その他留意点

日本から化学品を輸出する場合、危険物の容器、包装およびラベルは、原則として上述の規則によらなければなりません。危険物は火薬類、高圧ガス、腐食性物質、毒物類、放射性物質等、引火性液体類、可燃性物質類、酸化性物質類、有害性物質の9分類に分けられ、各々ラベルが定められています。また、貨物には危険物の品名と国連番号の表示が必要です。

関係機関

関係法令

参考資料・情報

環境省:
1999年カナダ環境保護法の手引き(A Guide to Understanding CEPA 1999)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
CEPA検索サイト(DSLへの収載の有無およびカテゴリーを知らせる検索エンジン )外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
新規化学物質の届出・検査指針(Guidelines for the Notification and Testing of New Substances: Chemicals and Polymers)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
カナダ国境サービス庁:
関税率表(Customs Tariff)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
保健省:
作業場危険有害性物質情報制度(WHMIS)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国環境保護庁(EPA):
米国TSCA Inventory外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
一般社団法人 日本化学品輸出入協会(JCEIA):
化学物質、危険物輸送関連ウェブサイトURLリンク集外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
日本の法令:
危険物船舶輸送及び貯蔵規則(危規則)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ:
世界各国の関税率(World Tariff)

調査時点:2016年2月
最終更新:2026年1月

記事番号: A-001039

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