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味覚・嗜好上の特徴
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- 他の地中海沿岸地域と同様に、イタリアでも野菜、オリーブオイル、ワインといった植物性由来の食品が中心。また多様な植物を食すため、自然な甘みや、苦み、辛味は問題なく、多様な味に親しむ。ただし、一般的にイタリア人は香りには敏感なため、例えばにんにくや玉ねぎを香りづけとして調理に使用することはあるが、にんにくをそのまま食べることはほぼ無い。
- 朝食は軽くシンプル。主にコーヒー(エスプレッソやカプチーノ)とブリオッシュと呼ばれる甘いパンやビスケットなど。昼食は、都市部では短時間で摂ることができるパスタ、サラダ、パニーニ(サンドイッチ)といった軽食が主流。伝統的な食習慣として、夕食前、仕事終わりの社交の場として軽食と食前酒を楽しむアペリティーボ(Aperitivo)がある。食欲を増進する意図もあり、通常はアルコール度数の低めなカクテル等とともにスナックやオードブルを食す。夕食は、前菜、プリモ(パスタやリゾット)、セコンド(肉や魚のメイン料理)、コントルノ(野菜等のサイドディッシュ)、ドルチェ(デザート)など、複数の豊かなコース料理を楽しみ、食後酒として消化を助ける度数の高いアルコール飲料を飲む。
- 一般的に伝統を重んじるため、地元産の食材と伝統的な調理法を好む傾向があり、新しい食文化への適応には慎重。そのため、誇りある自国料理を食すことが多いが、時代とともに少しずつその傾向も変化している。イタリア人の約70%はケバブやすしを購入している。特に28才~45才の約40%は、スーパーでの買い物の際にも外国食材を購入したいと考えており、比較的若く、働き盛りの世代を中心に外国食材への購入意欲が強い。
- 持続可能性(サステナビリティ)と環境配慮が購買決定要因(KBF: Key Buying Factor)となっており、イタリア人の半数は、持続可能性に配慮した商品を購入していると回答。有機食品市場も年々拡大し、有機食品を購入する人は主に原産地を重視しており、100%イタリア産有機製品、地産地消製品、DOP(原産地呼称保護)/IGP(地理表示保護)ラベルのある製品を好んで購入。また商品のブランドもKBFの一つとなっており、食品メーカーのブランドやスーパーのPB(プライベートブランド)が好まれている。
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制度的制約
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- 牛肉については認定を受けた北海道、青森県、岩手県、群馬県、栃木県、岐阜県、京都府、兵庫県、大分県、宮崎県、鹿児島県の17施設からの出荷に限り可(2026年3月時点) 。
- ケーシングについては、認定を受けた北海道の1施設からの出荷に限り可(2026年3月時点)。
- ゼラチンについては認定を受けた大阪府の1社、コラーゲンについては静岡県の1社2施設からの出荷に限り輸出可(2026年3月時点)。
- その他、牛肉以外の肉類、乳については、EU向け輸出認定施設が日本に存在しないため輸出不可(2026年3月時点)。
- 卵製品の輸出については、認定を受けた兵庫県の1施設からの出荷に限り可。鶏卵の輸出は認定を受けた生産農場が日本に存在しないため不可(2026年3月時点)。
- EU では、動物性加工済原料、および植物性原料の両方を含む食品を「混合食品」として独自の規制を設けており、動物性加工済原料(魚粉末、液卵、脱脂粉乳等)を含む混合食品を輸出する際に、動物性加工済原料がEU 域内外の認定施設由来であることなどを証明するために公的機関が発行する公的証明書(Official Certificate)または事業者による自己宣誓書(Private Attestation)の添付が必要。公的証明書は、混合食品に用いる動物性加工済原料の種類に応じて、農林水産省 輸出・国際局または動物検疫所が発行。自己宣誓書は輸入者が作成。
- 水産物については、品目ごとにEUHACCP認定を受けた施設からの出荷に限り輸出可(天然水産物の場合、IUU漁業*規則に基づく漁獲証明書・加工証明書も必要)。*IUU漁業:Illegal, Unreported and Unregulatedすなわち「違法・無報告・無規制に行われている」漁業
- 食品添加物・香料・食品包材プラスチックについてはポジティブリスト制度をとっており、日本で使用が認められている添加物等でもEUでは認められていないことがある。例えば日本で使用が認められている一部の天然添加物の使用が認められていない(EUで使用できない添加物の例:赤色106号、クチナシ色素、ベニバナ色素、ベニコウジ色素など)。
- 2022年8月8日から食品添加物の二酸化チタン(TiO2/E171)を使用した食品の流通が禁止されている。
- 日本で使用可能な農薬がEUのポジティブリストには入っていないことがあるため、コメ・茶葉等の農産物を輸出する場合には留意が必要。輸出前の残留農薬検査、当該検査証明書の提出等が必要になる場合がある。
- 環境保護(ミツバチなどの花粉を媒介する昆虫の保護)を目的として、茶やコメに使用されているネオニコチノイド系の農薬である「クロチアニジン」と「チアメトキサム」のMRLs*を検出下限値まで引き下げる改正規則が2023年3月7日に施行。2026年3月7日から改正後のMRLsが輸入農産品にも適用されている。*MRLs:Maximum Residue Limitsの略で「残留農薬基準値」
- 「人医療に使用が限定される抗菌剤を指定する規則」が2023年2月9日からEU加盟国で適用されている。日本を含めた第三国には2026年9月3日から適用が開始される(2025年7月時点)。同規則に指定された抗菌剤をEUに輸出する動物または動物由来の製品に使用することが禁止される。日本で動物用医薬品として承認されている「ホスホマイシン」がこの規則で指定された抗菌剤に含まれる。
- 容器包装についてリサイクルやリユースの促進や包装廃棄物の削減を目的とした「包装および包装廃棄物規則」(PPWR:Packaging and Packaging Waste Regulation)が2024年12月に採択。詳細は今後策定される下位規則で定められるが、早ければ2030年に、「全ての包装はリサイクル可能であること」「プラスチック包装に一定割合以上のリサイクル材を使用すること」等が義務付けられる。
- 食品接触材料については、ビスフェノールA(BPA)の使用禁止を2024年12月に採択。ほとんどの製品について2026年7月20日より18カ月間の移行期間が設けられた後に使用禁止となる。
- ワインおよび蒸留酒の容量規制については、指定されている容量サイズで販売する義務がある。リキュールも該当。ただし、日本酒および日本で瓶詰めされた日本産の720mlおよび1800ml容器の単式蒸留焼酎は該当しない。
- 有機製品については、オンラインシステムTRACESを通じ、検査証明書を電子申請する必要がある。
- 森林減少防止を目的として、EU域内で流通する特定の品目に関し、当該品目の生産において森林減少を引き起こしていないことの確認(森林デューデリジェンス)等の義務化が2026年12月30日から適用予定。対象品目は、EU域内で流通する牛、カカオ、コーヒー、アブラヤシ、ゴム、大豆、木材の7品目とその派生製品(牛肉、チョコレート、コーヒー、パーム油、タイヤ、木製家具)。(2026年6月時点)
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原発関連規制
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2023年8月3日、EUによる日本産食品に対する原発関連の輸入規制措置は撤廃された。放射性物質検査証明書および産地証明書は不要。
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日本食材を取扱う輸入業者は、卸業者(ディストリビューター)を兼ねていることが多く、商材によっては独占契約が前提の場合もある。その大部分はイタリア系、中国系、日系である。卸先は、小売(EC含む)、外食、中食、製造の大きく分けて4つの分野である。現在トレンドとなっている有機食品に関しては、同商品を取り扱う輸入業者、卸業者も有機食品取り扱いの登録が必要であり、一般的に当局の承認に時間を要することもある。
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通関にかかる手続きの煩雑さ、所要時間の長さから、ドイツ、オランダなどの他国経由で輸入され、イタリアに流通する日本食品も多い。背景には、イタリアは消費者保護意識が強く、食品輸入に関するEU規制の適用に関しても、他国に比べて厳密になる傾向等がある。
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イタリア国内の食品見本市で使用する、PRのための試食や試飲等の試供品も正規の通関手続きを行い、必要書類は英語かイタリア語表記が必須となる。
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商品を市場に流通させる際にはイタリア語でのラベル表記が必要となる。イタリア語ラベルの貼り付けをイタリアに輸入された際にするか、日本で貼付して輸出するか、出荷前に輸入業者と合意をし、明確にしておく必要がある。
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Eコマースの概要
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- イタリアB2C eコマース市場(2026年見込み)は前年比6%増の666億ユーロを超え、デジタル消費者は3,500万人に達する見込み。部門別では、商品部門426億ユーロ(小売総額の11.5%)、特にビューティー&ファーマ(+8%)が平均以上の伸びを見せている。サービス部門240億ユーロ、保険(+11%)や観光・運輸(+7%)も力強く成長。食料・食料品は、eコマース全体の成長率と同水準の伸び(+5~6%の範囲内)となっている。
- 2025年、イタリアの大手フードデリバリー(Just Eat)の寿司注文は総注文数の8.71%(71万4,000kg以上)を占める主要カテゴリーとなった。都市別ではローマが首位となり、ジェノバ、ミラノがそれに続いた。寿司消費の特徴として、裏巻や握りなどの伝統メニューが主流である一方、高級志向の「お任せコース」や「プレミアムロール」の需要が伸びている。また注文のカスタマイズ化が進み、植物由来(ヴィーガン)メニューやグルテンフリー(前年同期比17.4%)といった、個人の食習慣に合わせた選択肢が拡大。寿司は、個人利用だけでなくシェアする料理としても定着、家族や友人との集まりを大切にするイタリア人に最適なメニューとなっている。
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外食・小売等の状況
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- 2025年のイタリア外食産業は、32万4,000社以上の事業者が活動、前年比でわずかに減少しているものの、需要は1,000億ユーロ近くに達し、3.7%の増加となった。実額ベースではまだパンデミック前の水準を完全に回復できていないものの、その堅調さを示している。こうした前向きな兆しの一方で、従業員数の減少、有能な人材の確保がますます困難になっていること、そして人的労働に強く依存(家族経営)したビジネスモデルに起因する生産性の低さなど、重大な構造的課題も浮き彫りになってきている。
- 2025年、イタリア市場におけるオーガニック製品の売上高は69億ユーロ(前年比6.2%増)に達した。この市場規模の大部分は家庭内消費(55億ユーロ)によるものであり、13.5億ユーロ以上が外食・外飲などの非家庭内消費によるものである。
現代型小売業(スーパーやコンビニなど、データ管理とチェーン展開を行う近代的な小売業)は、イタリア人の家庭内消費に関連する総売上の64%を占め、引き続きオーガニック製品の主要な購入チャネルとなっている。2025年には、このチャネルにおけるオーガニック製品の売上高は35億ユーロに達すると見込まれている(2024年比+6.1% – 出典:Nielsen IQのデータに基づくNomismaの推計 – 2025年のオムニチャネル対象データ)。一方、国内消費の20%はオーガニック専門店で占められており、同店では過去1年間で売上高が7.5%増加した。
- 2024年のイタリアの有機農産食品の輸出は前年比7%増の39億ユーロに達し、主要輸出市場はドイツ・フランス・スカンジナビア諸国・ベネルクス(ベルギー・オランダ・ルクセンブルク)・米国であった。「有機(Bio)× メイド・イン・イタリー」の組み合わせは、海外市場において優れた評価と認知度を誇り、引き続き成功の要因となっている。食品企業の49%、ワイン企業の64%が、「イタリア産であること」および「生産地域の知名度」が国際市場における有機製品輸出の主な成功要因であると捉えている。
- 2026年においてもイタリアの観光業は好調を維持。3月には、イタリア訪問者数は890万人(2025年3月比+15.5%)、宿泊者数は2,690万人(同+20.6%)となり、国内・海外双方で増加を記録。主要な欧州競合国と比較して年間宿泊者数の増加率で欧州1位、平均滞在日数(3.02泊)ではスペインに次いで2位を記録。5月には宿泊率でトップの座を獲得。5月のOTA(オンライン旅行代理店)の稼働率において、イタリアはギリシャ、フランス、スペインを上回った。
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日本食普及状況等
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- イタリアにおける日本食レストラン数は2,160件で、欧州の主要国ではフランスの3,390件についで第2位。自国料理(イタリア料理)に自負のあるイタリア人が多いイタリア市場でのこの数字は、いかにイタリア人の食生活に日本食が浸透しているかを物語っている。
- 既に人気のあった日本食もさらに進化している。すしは近年、デリバリー注文が増え、愛好家も増加し、サーモンなどの既存のネタだけでなく、果物や野菜で創作したベジタリアン向けのすしも人気を博している。ラーメンも、夏場に熱いスープをすすることに抵抗のあるイタリア人向けに、都市部のラーメン店ではスープなしの冷やしラーメンやそばを提供している店も出てきている。
- 円安のおかげで、特にコロナ以降訪日イタリア人が急増、日本でたしなんだお酒を帰国後にリクエストするケースも増えてきている。イタリア国内の酒類インポーターの数自体は大きく増えていないものの、各社が取扱酒類を増やしており、これまで流通が少なかった「にごり酒」や「生酒」といった多様な種類の輸入が開始。また中国人経営の日本食レストランでも高級化・差別化が進んだ結果、品質の高いお酒やバリュエーションを増やす店が増加。 一般のイタリア人への普及度はまだ発展途上であるものの、SAKEの認知度は確実に向上。従来の和食店にとどまらず、高級ホテルやミシュラン星付きのイタリアンレストラン、カクテルバーなど、現地の上流・トレンド市場での取り扱いが広がってきている。なお2025年の訪日イタリア人は309,400人と初の30万台を超え、前年比も34.6%と欧州主要国ではスペインの34.7%に次いで高い伸び率となった。引き続き日本旅行への人気が継続、さらなる日本食品への認知度が高まることが期待される。
- イタリア国内のノンアルコールおよび低アルコールワインの2026年生産量は、旺盛な海外需要(輸出)を背景に91%増加すると予測されている。主要市場は北米やドイツ、英国などの海外であり、ノンアルコール・低アルコールワインの売上高は12億ユーロ(ボトル換算で1億6,000万本)を突破。イタリア企業の売上高の91%を輸出が占めており、特に米国や英国での売上成長が顕著。一方でイタリア国内でのノンアルコール飲料の消費はまだ限定的で、非飲酒者の94%(若い層では98%)が購入経験がない。また、飲食店の71%がアルコールフリーワインのメニューへの追加に関心を示していない。
- イタリアでは家庭でのアルコール飲料の購入量が減少傾向にあり、2025年の1世帯あたり年間平均購入量は2023年比で6%減少する見込み。一方で、清涼飲料水やノンアルコール飲料の需要は堅調に推移している。YouGovの調査によると、イタリア人の約10人に3人がアルコール摂取量を減らしている(または減らす意向がある)一方、約4人に1人は全くお酒を飲まないという結果が出ており、飲酒において「量より質」を重視する新たな文化が生れている。これは単なる「断酒」ではなく、楽しさを維持しつつも、健康、節度、カロリー、安全性(運転など)を考慮した「飲む量は減らすが、質は高める(bere meno, ma meglio)」という新しいライフスタイルへの移行を示している。飲酒量を維持、または増やすことを選ぶ人々にとっては、アルコール飲料の味わい、社交(コミュニケーション)、そして飲む機会は依然として大切な要素であり、アルコールは社会的な人間関係において引き続き重要な役割を果たしている。一方で、アルコール摂取量を控える人々の多くは、ノンアルコール飲料や低アルコール飲料へと移行し、意識的に飲酒量を減らす「ソバー・キュリオシティ」や、アルコールとノンアルコールを交互に飲む「ゼブラ・ストライピング」といった新しい消費スタイルが定着しつつある。
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