ハンガリーの貿易投資年報

要旨・ポイント

  • 2025年の実質GDP成長率は0.4%でプラスを維持。
  • 貿易は輸出入ともに事務用機器・コンピュータが大幅に増加し、貿易黒字を維持。
  • 対内直接投資額(発表ベース)では、中国が昨年に続き首位を維持。
  • 対日貿易は輸出入ともに減少、日本からの投資は大幅増。

公開日:2026年8月13日

マクロ経済

実質賃金の伸びで消費が拡大、プラス成長を維持

2025年のハンガリーの実質GDP成長率は0.4%と2年連続でプラスを維持した。前年に引き続きインフレが落ち着き、実質賃金が伸びたことで家計消費が増加し、成長を下支えした。四半期別に産業部門ごとの推移を見ると、第1四半期は製造業部門や建設部門が振るわずマイナス成長となったものの、第2四半期以降はサービス部門や建設部門が伸び、プラス成長となった。

需要項目別に見ると、高金利や不確実性の高まりによる企業投資の低迷やEU復興基金凍結に伴う公共投資の抑制によって、国内総固定資本形成が前年比2.8%減と成長を押し下げた。一方、公共部門の賃上げや社会サービス支出の拡大、インフレによるコスト上昇に伴い政府最終消費支出は3.2%増となった。また、最低賃金引き上げや業種別賃上げ、家族向け所得税控除などの政策が内需を支えたことで、民間最終消費支出も2.9%増となった。

産業別では、外需の低迷などによって製造業部門が3.0%減となり、下押し要因となった。一方、建設部門の3.0%増やサービス部門の1.4%増が成長を下支えした。

表1 ハンガリーの需要項目別実質GDP成長率(単位:%)(△はマイナス値)〔注〕四半期の伸び率は前年同期比。物価、季節、稼働日調整済み。
項目 2023年 2024年 2025年
年間 Q1 Q2 Q3 Q4
実質GDP成長率 △ 0.7 0.7 0.4 △ 0.2 0.5 0.8 0.7
民間最終消費支出 △ 1.2 6.4 2.9 3.4 3.2 2.4 2.4
政府最終消費支出 3.8 △ 6.0 3.2 △ 1.3 3.8 3.8 6.4
国内総固定資本形成 △ 5.9 △ 8.6 △ 2.8 △ 5.4 △ 3.5 △ 1.6 △ 0.4
財・サービスの輸出 1.8 △ 0.5 △ 1.1 △ 0.8 △ 1.0 △ 0.8 △ 1.7
財・サービスの輸入 △ 3.4 △ 1.4 1.2 1.1 0.5 1.6 1.6

〔注〕四半期の伸び率は前年同期比。物価、季節、稼働日調整済み。

〔出所〕ハンガリー中央統計局(HCSO)

2026年の実質GDP成長率の見通しについて、ハンガリー国立銀行(MNB、中央銀行)は2026年3月に1.7%と発表した。成長の主な牽引役は引き続きサービス業が担う見通しで、実質賃金の上昇、財政措置による所得増加、そして歴史的高水準にあった貯蓄率の低下により、個人消費も力強い成長を維持するとしている。一方、工業生産は長期低迷から脱したとはいえ、2026年も低調に推移する可能性がある。新たな自動車関連製造拠点が年後半に本格稼働することで、地政学的緊張により伸び悩む輸出を下支えする効果も期待される。2027年以降は輸出先市場におけるハンガリーのシェアが再び拡大に転じる可能性があると見込んでいる。

貿易

輸出入ともに増加、貿易収支は黒字を維持

2025年の貿易は、輸出が前年比1.7%増の1,468億8,300万ユーロ、輸入は2.0%増の1,385億5,400万ユーロと、ともに増加した。貿易収支は83億2,900万ユーロで前年に引き続き黒字となった。

輸出を品目別に見ると、道路走行車両(構成比15.2%)が前年比5.5%減、通信・録音機器(6.2%)が5.2%減と落ち込んだ。一方、事務用機器・コンピュータ(6.5%)の35.6%増や天然ガスおよび製造ガス(1.0%)の91.6%増が輸出額全体を押し上げた。

輸出を国・地域別で見ると、全体の4分の3を占めるEU(構成比74.6%)が前年比0.4%増だった。最大の相手国であるドイツ(25.3%)は3.2%増で、電気・電子機器(同国向けの29.3%)の増加(10.7%増)が寄与した。EU域外での最大の相手国は米国(4.0%)で2.0%減だった。アジアではインド(0.9%)の伸びが3.0倍と大きく、事務用機器・コンピュータ(同国向けの65.1%)の15.7倍が主因だった。

輸入を品目別で見ると、化学材料および化学製品(構成比1.9%)が前年比22.2%減、通信・録音機器(4.8%)が7.1%減だったものの、事務用機器・コンピュータ(5.4%)の43.0%増や電気・電子機器(13.8%)の2.2%増が輸入額全体を押し上げた。

輸入を国・地域別で見ると、EUが全体の7割(構成比70.9%)を占めて前年から1.8%増加し、最大の相手国は輸出同様にドイツ(21.7%)で2.0%減だった。中国(8.2%)は19.5%増と大きく伸び、電気・電子機器(同国全体の30.2%)の36.2%増が主な要因だった。

表2-1 ハンガリーの主要品目別輸出(FOB)(単位:100万ユーロ、%)(△はマイナス値)〔注〕EU 域外貿易は通関ベース、EU 域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。
品目 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
電気・電子機器 23,367 23,621 16.1 1.1
道路走行車両 23,663 22,367 15.2 △ 5.5
医薬品 9,930 9,976 6.8 0.5
発電機器 9,399 9,715 6.6 3.4
事務用機器・コンピュータ 7,008 9,505 6.5 35.6
通信・録音機器 9,653 9,155 6.2 △ 5.2
一般機器 6,185 6,524 4.4 5.5
雑製品 4,022 4,112 2.8 2.2
科学・制御機器 3,475 3,280 2.2 △ 5.6
金属製品 2,850 2,946 2.0 3.3
合計(その他含む) 144,480 146,883 100.0 1.7

〔注〕EU 域外貿易は通関ベース、EU 域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。

〔出所〕ハンガリー中央統計局(HCSO)

表2-2 ハンガリーの主要品目別輸入(CIF)(単位:100万ユーロ、%)(△はマイナス値)〔注〕EU域外貿易は通関ベース、EU域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。
品目 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
電気・電子機器 18,733 19,140 13.8 2.2
道路走行車両 13,559 13,929 10.1 2.7
医薬品 7,470 7,464 5.4 △ 0.1
事務用機器・コンピュータ 5,214 7,458 5.4 43.0
一般機械 6,931 7,300 5.3 5.3
通信・録音機器 7,189 6,678 4.8 △ 7.1
発電機器 5,362 5,503 4.0 2.6
石油製品 5,152 4,809 3.5 △ 6.7
雑製品 4,508 4,492 3.2 △ 0.4
金属製品 4,285 4,267 3.1 △ 0.4
合計(その他含む) 135,796 138,554 100.0 2.0

〔注〕EU域外貿易は通関ベース、EU域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。

〔出所〕ハンガリー中央統計局(HCSO)

表3 ハンガリーの主要国・地域別輸出入(単位:100万ユーロ、%)(△はマイナス値)〔注1〕アジア大洋州は、ASEAN+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港、台湾を加えた合計値。 〔注2〕EU域外貿易は通関ベース、EU域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。
国・地域 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2024年 2025年 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
EU 109,123 109,546 74.6 0.4 96,508 98,229 70.9 1.8
ユーロ圏 82,985 83,566 56.9 0.7 74,842 76,149 55.0 1.7
ドイツ 35,972 37,138 25.3 3.2 30,610 30,007 21.7 △ 2.0
イタリア 7,318 7,155 4.9 △ 2.2 5,336 5,370 3.9 0.6
スロバキア 6,729 6,898 4.7 2.5 7,691 8,336 6.0 8.4
フランス 6,017 5,684 3.9 △ 5.5 4,394 4,394 3.2 0.0
非ユーロ圏 26,138 25,981 17.7 △ 0.6 21,666 22,080 15.9 1.9
ルーマニア 7,929 8,176 5.6 3.1 3,473 3,883 2.8 11.8
ポーランド 7,856 7,250 4.9 △ 7.7 8,102 8,411 6.1 3.8
チェコ 6,099 6,240 4.2 2.3 7,749 7,273 5.2 △ 6.1
アジア大洋州 5,547 6,500 4.4 17.2 22,166 22,609 16.3 2.0
中国 1,797 1,653 1.1 △ 8.0 9,455 11,298 8.2 19.5
インド 459 1,377 0.9 199.8 733 744 0.5 1.5
日本 877 708 0.5 △ 19.2 1,372 1,296 0.9 △ 5.5
オーストラリア 508 675 0.5 32.8 46 49 0.0 6.6
北米 6,338 6,241 4.2 △ 1.5 2,907 3,128 2.3 7.6
米国 5,953 5,835 4.0 △ 2.0 2,807 3,058 2.2 9.0
英国 5,317 5,174 3.5 △ 2.7 1,425 1,322 1.0 △ 7.2
ウクライナ 2,921 3,688 2.5 26.2 818 916 0.7 12.0
セルビア 2,667 2,830 1.9 6.1 2,047 2,341 1.7 14.4
ロシア 904 825 0.6 △ 8.8 5,072 4,728 3.4 △ 6.8
合計(その他含む) 144,480 146,883 100.0 1.7 135,796 138,554 100.0 2.0

〔注1〕アジア大洋州は、ASEAN+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港、台湾を加えた合計値。
〔注2〕EU域外貿易は通関ベース、EU域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。

〔出所〕ハンガリー中央統計局(HCSO)

対内・対外直接投資

国際収支ベースでは対内、対外ともに直接投資は減少

ハンガリー国立銀行によると、2025年の対内直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー)は前年比10.0%減の34億6,100万ユーロだった。

国・地域別に見ると、2025年の最大の投資元はシンガポールで14億600万ユーロとなり、これに韓国の9億9,300万ユーロ、香港の8億7,400万ユーロとアジア勢が続いた。一方で、フランスの2億900万ユーロを筆頭に、EU全体では9億1,700万ユーロの引き揚げ超過となった。

表4 ハンガリーの国・地域別対内・対外直接投資〔国際収支ベース、ネット、フロー〕(単位:100万ユーロ、%)(△はマイナス値)〔注〕「-」は負の値に関わる伸び率。「C」は該当企業が3社未満のための非公表。
国・地域 対内直接投資 対外直接投資
2024年 2025年 2024年 2025年
金額 金額 伸び率 金額 金額 伸び率
EU 1,714 △ 917 2,136 2,445 14.4
ユーロ圏 1,718 △ 909 1,446 1,386 △ 4.2
オーストリア 1,097 428 △ 61.0 54 0 △ 99.3
ベルギー 293 △ 10 210 7 △ 96.6
キプロス △ 18 △ 21 481 2,041 324.5
エストニア 1 △ 3 1 3 416.0
フィンランド 31 △ 24 C 0 n.a.
フランス △ 13 △ 209 103 25 △ 76.3
ギリシャ 4 △ 5 1 7 408.8
オランダ 926 210 △ 77.3 226 △ 1,735
非ユーロ圏 349 454 29.9 690 1,059 53.4
ブルガリア △ 4 △ 8 112 433 286.6
チェコ △ 62 182 492 86 △ 82.6
デンマーク 366 265 △ 27.6 △ 3 11
ポーランド 20 △ 164 177 337 90.6
ルーマニア △ 18 62 △ 85 183
スウェーデン 47 117 149.7 △ 4 9
スイス 229 444 93.9 66 △ 19
ロシア 189 173 △ 8.3 163 89 △ 45.3
トルコ △ 30 111 3 2 △ 52.2
ノルウェー 77 36 △ 53.2 26 9 △ 64.8
米国 △ 126 389 △ 11 △ 743
シンガポール △ 250 1,406 △ 20 87
韓国 1,410 993 △ 29.6 △ 2 2
香港 1,180 874 △ 25.9 14 △ 0
日本 21 266 1,176.3 23 3 △ 88.3
中国 219 156 △ 28.9 △ 27 27
合計(その他含む) 3,847 3,461 △ 10.0 3,818 2,273 △ 40.5

〔注〕「-」は負の値に関わる伸び率。「C」は該当企業が3社未満のための非公表。

〔出所〕ハンガリー国立銀行(MNB)

業種別に見ると、製造業では自動車・輸送用機器が前年比2.5倍の18億6,300万ユーロ、電気機器が83.9%増の16億1,500万ユーロと好調だった。一方、機械は5,400万ユーロの引き揚げ超過となった。サービス業では専門・科学・技術への投資が8億8,900万ユーロと拡大したが、運輸・倉庫は11億2,100万ユーロの引き揚げ超過に終わった。

表5 ハンガリーの業種別対内・対外直接投資〔国際収支ベース、ネット、フロー〕(単位:100万ユーロ、%)(△はマイナス値)〔注〕「-」は負の値に関わる伸び率。「D」は二次秘匿処理。
業種 対内直接投資 対外直接投資
2024年 2025年 2024年 2025年
金額 金額 伸び率 金額 金額 伸び率
製造業 3,774 4,965 31.6 242 △ 806
自動車・輸送用機器 753 1,863 147.5 △ 30 21
電気機器 878 1,615 83.9 17 △ 8
電子・光学機器、コンピュータ 209 368 76.5 △ 253 △ 855
医薬品 153 367 139.1 500 1 △ 99.9
化学・化学製品 292 233 △ 20.2 26 46 72.8
木材・製紙 147 171 16.3 1 9 765.4
食品・飲料・たばこ 416 133 △ 68.1 3 47 1,267.1
基礎金属・金属加工製品 329 89 △ 73.1 △ 88 72
繊維・衣料品・皮革製品 27 11 △ 58.8 7 △ 2
ゴム・プラスチック 224 3 △ 98.6 △ 42 △ 53
その他の非金属鉱物製品 58 △ 27 25 △ 28
コークス・石油 △ 22 △ 34 13 28 112.8
機械 59 △ 54 22 △ 37
建設 79 389 392.4 16 254 1,485.3
不動産 55 56 1.4 622 915 47.1
鉱業、採石 402 11 △ 97.4 591 △ 1,169
上水道、下水道、廃棄物管理 5 0 △ 95.9 D 2 n.a.
農業、狩猟、林業 4 △ 43 △ 7 1
電気・ガス・冷暖房供給 411 △ 323 61 108 76.1
サービス業 △ 883 △ 1,613 2,290 2,969 29.6
専門・科学・技術 △ 2,198 889 337 △ 151
小売り・卸売り・車両修繕 1,280 264 △ 79.4 701 320 △ 54.3
宿泊・飲食 21 △ 175 39 15 △ 62.2
情報通信 △ 100 △ 236 229 3 △ 98.6
不動産 79 △ 252 69 232 236.2
金融・保険 △ 314 △ 342 973 2,232 129.5
運輸・倉庫 268 △ 1,120 46 160 252.5
合計(その他含む) 3,847 3,461 △ 10.0 3,818 2,273 △ 40.5

〔注〕「-」は負の値に関わる伸び率。「D」は二次秘匿処理。

〔出所〕ハンガリー国立銀行(MNB)

発表ベースの対内直接投資は過去最多、過半を占める中国が牽引

外国からの投資誘致を所管するハンガリー投資促進庁(HIPA)によると、2025年の対内直接投資額(発表ベース)は70億6,900万ユーロ、投資件数は108件で、HIPAとして過去最多の案件数を記録した。金額ベースでは、中国の投資額が総額の57%(39億7,000万ユーロ)を占め、2年連続で首位を維持した。次いでシンガポール(7億9,400万ユーロ)、ハンガリー(5億4,000万ユーロ)、米国(4億8,000万ユーロ)が続いた。投資は17の産業分野にわたり、主な分野は総額の55%超を占める電子機器産業が38億8,000万ユーロ、自動車産業が11億ユーロ、化学が8億1,900万ユーロのほか、包装、医療機器、バイオテクノロジーでも投資がみられた。

2025年の主な対内直接投資案件を見ると、デンマークの玩具大手レゴ(LEGO)は9月、大規模な拡張投資で生産能力を30%増強し、同社として世界で2番目の生産規模を誇る拠点となった。自動車分野では、韓国のシンフン(Shinheung)が10月、電気自動車(EV)バッテリー部品の工場を拡張し、主要自動車メーカー向けに月間2,000万個を生産する計画だ。シンガポールのフレックス(Flex)は11月、次世代モビリティー向け電子機器・部品の新たな生産拠点を開設した。また、医薬品原薬を製造するフランスのエジス・ファルマシューティカルズ(Egis Pharmaceuticals)は11月、最新鋭の原薬製造工場を開設した。同社のフランス工場とともに静脈疾患治療薬の原薬を製造することで、欧州市場の需要増に対応するため、同社全体の供給力を拡大した。

表6-1 ハンガリーの主な対内直接投資案件(2025年)〔M&A以外〕
業種 企業名 国籍 時期 投資額 概要
玩具 レゴ
(LEGO)
デンマーク 2025年9月 540億フォリント(約1億5,400万ユーロ) デンマークの玩具大手レゴは、ハンガリー北東部ニーレジハーザ工場の大規模拡張工事を完了した。生産能力を30%増強し、同社として世界で2番目に大きい生産規模で、かつ欧州唯一の垂直統合型のレゴ生産拠点となった。約300人の新規雇用創出を見込む。
自動車部品 シンフン
(Shinheung)
韓国 2025年10月 450億フォリント(約1億2,900万ユーロ) 韓国のバッテリー部品メーカーであるシンフンは、ハンガリー中央部モノルにある同社の欧州初の工場において生産能力拡張を完了した。世界の主要自動車メーカー向けに月間2,000万個のEV用バッテリー部品を生産する計画で、700人の新規雇用を見込む。
電子機器 フレックス
(Flex)
シンガポール 2025年11月 350億フォリント(約1億ユーロ) シンガポールの電子機器受託製造大手フレックスは、ハンガリー南西部ザラエゲルセグに「次世代モビリティー工場」を開設した。先進的なモビリティー、IT、バッテリー関連技術を活用し、欧州電動車市場向けの電子機器・部品を供給する。研究開発職を含む200人以上の新規雇用創出を見込む。
医薬品 エジス・ファルマシューティカルズ
(Egis Pharmaceuticals)
フランス 2025年11月 300億フォリント(約8,600万ユーロ) フランスの医薬品原薬製造のエジス・ファルマシューティカルズは、ブダペスト近郊に原薬製造の最新鋭の新工場を開設した。同社のフランス・ノルマンディー工場とともに、最先端の技術と効率的な製造プロセスにより、静脈疾患治療薬の原薬を製造することで、需要増への対応および欧州市場での原薬サプライチェーンの安全性向上に貢献する。
電気機器・自動車部品 ラインメタル
(Rheinmetall)
ドイツ 2025年12月 290億フォリント(約8,300万ユーロ) ドイツの防衛機器・自動車部品大手のラインメタルは、ハンガリー南部のセゲド大学サイエンスパーク内に内燃機関自動車や電動車、再生可能エネルギー発電システム向け中核部品の製造拠点を開設した。同社にとってドイツ国外では初のハイブリッド拠点で、約300人の高度人材の新規雇用創出を見込む。

〔出所〕 各社発表および報道などから作成。

表6-2 ハンガリーの主な対内直接投資案件(2025年)〔M&A〕
被買収企業(事業) 買収企業 時期 投資額 概要
業種 企業名 企業名 国籍
精密測定機器/計測・プロセス制御 セミラブ
(Semilab)
オントー・イノベーション
(Onto Innovation)
米国 2025年11月 4億9,500万米ドル 米国のプロセス制御ソリューション企業オントー・イノベーションは、ハンガリーのハイテク計測ソリューション会社セミラブの米国子会社を買収した。オントーは、半導体産業向けの精密計測・検査ソリューションの開発・提供ビジネスを強化する。
電子・電気機器 LG 東レハンガリー・バッテリー・セパレーター
(LG Toray Hungary Battery Separator)
LG化学
(LG Chem)
韓国 2025年12月
約300億円
韓国のLG化学は、東レと折半出資保有するリチウムイオン電池用セパレーターの製造販売会社LG 東レハンガリー・バッテリー・セパレーターにおける東レ持ち分50%を取得し、同社を完全子会社化した。

〔出所〕各社発表および報道などから作成。

2025年の対外直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー)は前年比40.5%減の22億7,300万ユーロだった。国・地域別では、EU域内ユーロ圏のキプロス(20億4,100万ユーロ)、非ユーロ圏のブルガリア(4億3,300万ユーロ)やポーランド(3億3,700万ユーロ)で比較的規模の大きな投資がみられた。一方で、米国は7億4,300万ユーロの引き揚げ超過となった。業種別では金融・保険が22億3,200万ユーロ(前年比2.3倍)と著増したが、鉱業、採石は11億6,900万ユーロの引き揚げ超過となった。

表7-1 ハンガリーの主な対外直接投資案件(2025年)〔M&A以外〕
業種 企業名 投資先国 時期 投資額 概要
エネルギー スロヴナフト
(Slovnaft)
スロバキア 2025年3月 6,300万ユーロ ハンガリーのエネルギー大手MOLの子会社であるスロヴナフトが保有・運営する、スロバキアのブラチスラバ製油所でのポリプロピレン生産設備の近代化および拡張のための投資が完了した。MOLグループの戦略である化石燃料生産の段階的な削減や基礎プラスチック生産の拡大に貢献するとともに、CO2排出量削減を実現する。
医薬品 ゲデオン・リヒター
(Gedeon Richter)
ポーランド 2025年3月 非公表 中・東欧の大手製薬会社ゲデオン・リヒターにとり、ポーランドは重要市場の1つ。現在、ポーランドの既存生産拠点(生産能力:年間10億錠)において、心臓病および循環器系疾患や、神経疾患および中枢神経系疾患の治療薬、免疫賦活剤などを生産している。同社はポーランドでの過去最大規模の投資により、既存生産設備を拡張中で、年間最大3億5,000万錠のタブレット生産能力拡大を目指している。

〔出所〕各社発表および報道などから作成。

表7-2 ハンガリーの主な対外直接投資案件(2025年)〔M&A〕
買収企業 被買収企業(事業) 時期 投資額 概要
企業名 業種 企業名 国籍
4iG・スペース・ディフェンス・テクノロジーズ(4iG Space and Defence Technologies) 宇宙・防衛 アクシオム・スペース
(Axiom Space)
米国 2025年12月 3,000万米ドル ハンガリーのIT大手4iGの子会社4iG・スペース・ディフェンス・テクノロジーズは、米国の宇宙企業アクシオム・スペースに対する総額1億米ドルの事業投資計画の第1回分(3,000万米ドル)を完了した。4iGグループの長期目標である宇宙・防衛分野での国際的プレゼンスの強化に合致する。4iGは、低軌道における商業用宇宙インフラの開発を含む、世界の商業宇宙セクターとの連携確立を目指す。残りの7,000万米ドルの投資は2026年3月に完了。
ドゥナ・アスファルト
(Duna Aszfalt)
建設 ユーロ・ストラーダ(Euro Strada)/ヴァルカノ(VALCANO) ルーマニア/チェコ 2025年5月 非公表 ハンガリーの建設大手ドゥナグループ傘下のドゥナ・アスファルトは、ルーマニアおよびチェコの同業2社の株式の過半数を取得した。同グループの中・東欧地域における事業開発戦略の一環で、ハンガリー資本の地域中堅企業としての地位確立を目指す。

〔出所〕各社発表および報道などから作成。

対日関係

対日貿易は輸出入ともに減少

2025年の対日輸出は、前年比19.2%減の7億800万ユーロ、対日輸入は5.5%減の12億9,600万ユーロと、いずれも前年水準を下回った。

輸出では、道路走行車両(構成比27.2%)が前年比47.9%減の大幅減となった。有機化学品(2.7%)が54.2%減、通信・録音機器(1.7%)も42.3%減となり、対日輸出を押し下げた。

輸入では、電気・電子機器(構成比26.2%)が前年比11.2%減となったほか、道路走行車両(24.5%、3.6%減)、発電機器(11.0%、13.9%減)も落ち込んだ。

表8-1 ハンガリーの対日主要品目別輸出(FOB)〔通関ベース〕(単位:100万ユーロ、%)(△はマイナス値)
品目 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
道路走行車両 369 193 27.2 △ 47.9
事務機器・コンピュータ 135 182 25.6 34.3
医薬品 52 46 6.5 △ 12.8
電気・電子機器 48 44 6.2 △ 9.5
科学・制御機器 36 42 6.0 17.7
一般機械 33 28 4.0 △ 14.0
非金属鉱物製品 26 25 3.6 △ 1.1
有機化学品 41 19 2.7 △ 54.2
砂糖・加糖調製品および蜜 14 14 2.0 4.7
通信・録音機器 21 12 1.7 △ 42.3
合計(その他含む) 877 708 100.0 △ 19.2

〔出所〕ハンガリー中央統計局(HCSO)

表8-2 ハンガリーの対日主要品目別輸入(CIF)〔通関ベース〕(単位:100万ユーロ、%)(△はマイナス値)
品目 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
電気・電子機器 383 340 26.2 △ 11.2
道路走行車両 329 317 24.5 △ 3.6
一般機械 159 164 12.6 3.1
発電機器 165 142 11.0 △ 13.9
通信・録音機器 46 56 4.3 21.7
科学・制御機器 45 47 3.7 6.4
金属製品 34 32 2.4 △ 6.2
非鉄金属 17 29 2.3 75.2
特定産業用機械 36 22 1.7 △ 39.0
プラスチック 22 21 1.6 △ 3.8
合計(その他含む) 1,372 1,296 100.0 △ 5.5

〔出所〕ハンガリー中央統計局(HCSO)

2025年の日本からの直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー)は、2億4,500万ユーロ増の2億6,600万ユーロと前年から大幅に回復した。主な案件として、ハンガリー政府は2月、アルパイン・エレクトロニクス・マニュファクチャリング・オブ・ヨーロッパが、ブダペスト郊外の車載用モジュール工場の生産能力拡大に210億フォリント(約82億円)を投資する計画と発表した。また同月、政府は、日清食品ホールディングスが即席袋麺とカップ麺の製造販売拠点であるハンガリー日清の第2工場を建設するために400億フォリント(約160億円)の投資を計画していると発表した。5月には日本製紙がブダペスト近郊に同社ケミカル事業では欧州初となる生産拠点を開設し、EV向けリチウムイオンバッテリー資材のCMC(カルボキシメチルセルロース)の生産に着手した。さらに、7月にはマジャールスズキが、既存乗用車工場の生産能力拡大およびエネルギー効率向上のプロジェクト(総額93億フォリント=約40億円)に着手した。

基礎的経済指標

(△はマイナス値) 〔注〕 貿易収支:国際収支ベース(財のみ)
項目 単位 2023年 2024年 2025年
実質GDP成長率 (%) △ 0.7 0.7 0.4
1人当たりGDP (米ドル) 22,220 23,253 25,826
消費者物価上昇率 (%) 17.6 3.7 4.4
失業率 (%) 4.1 4.5 4.4
貿易収支 (100万ユーロ) 8,254 9,213 9,774
経常収支 (100万ユーロ) △ 59 3,569 3,554
外貨準備高(グロス) (100万米ドル) 39,453 37,194 43,646
対外債務残高(グロス) (100万ユーロ) 125,367 129,011 142,475
為替レート (1米ドルにつき、ハンガリー・フォリント、期中平均) 353.09 365.69 353.14

〔注〕
貿易収支:国際収支ベース(財のみ)

〔出所〕
実質GDP成長率、消費者物価上昇率、失業率:ハンガリー中央統計局(HCSO)
1人当たりGDP、外貨準備高(グロス)、為替レート:IMF
貿易収支(ネット)、経常収支(ネット)、対外債務残高(グロス):ハンガリー国立銀行(MNB)