|
味覚・嗜好上の特徴
|
- 食文化にも民族構成が色濃く反映している〔民族別比率:ブミプトラ63.5%(うち、マレー系52.5%、その他先住民族11.0%)、中華系20.0%、インド系5.9%、その他0.7%、外国人9.9%〕(2025年時点 総人口に占める比率)。
- 主にイスラム教を信仰するマレー系は、豚・アルコール飲料の摂取は禁忌。中華系は華南を基本とする食文化であり、さらに地元食材や他文化から派生した料理も多々見られる。インド系はヒンズー教の影響で菜食主義者も見られる。
- 鶏肉の自給率は92.9%(2024年時点)。多くの国民が食することができるため、肉類のなかでは消費量が最も多い。一人当たりの鶏肉消費量は、54.9kg/年(2024年時点)。
- 「甘い」「辛い」「濃い」「刺激が強い」「脂っこい」味付けのものが多く、調味料・香辛料・砂糖を多用した料理が多い。派手な色彩の食品が好まれる傾向にある。
- 2024年の成人人口の肥満率は22.41%(日本5.57%)でASEANで2番目に高い。青少年の3人に2人、成人の2人に1人が、1日に37.5g以上(小さじ7.5杯分)の遊離糖類を摂取しており、体重増加や糖尿病、心臓病のリスクが高まっている。
- 近年、富裕層・中間層を中心に健康・美容志向が高まり、食品スーパーやドラッグストアではオーガニック食品やサプリメント売場が充実し、機能性食品や低糖質・低脂肪商品の需要も拡大している。
|
|
制度的制約
|
- 食品の輸入管理は、マレーシア保健省(MOH)の食品安全品質管理部とマレーシア関税局が協力して実施している。システムは、MOHの「オンライン食品安全情報システムFoSIM(Food Safety Information System of Malaysia)」を用いている。輸入食品には「1985年食品規則」に従って、マレー語または英語のラベル表示が必須。
- 牛肉:マレーシア・イスラム開発庁(JAKIM)またはJAKIMから認められたハラール機関が認証する取扱施設で加工された「ハラール牛肉」のみ認められている。2026年6月時点で認定された施設は日本で3カ所(徳島県、兵庫県、熊本県)のみ。牛肉の国内自給率は16.8%(2024年時点)にとどまり、日本産牛肉の輸入も年々増加している。
- 水産品:マレーシアにエビおよびカニを輸入する際には、日本の地方農政局が発行する衛生証明書が必要となっている。2025年9月1日以降、「1985年食品規則」の改正施行により、動物由来の場合を除き、総脂肪100グラムあたり2グラム以上のトランス脂肪酸を含む食品の輸入、調理、広告、販売が禁じられた。
- 2026年6月1日より、マレーシアに輸入される特定野菜について、残留農薬分析証明書(CoA)の提出を義務付ける新たな輸入規制が施行された。対象品目は、赤とうがらし、カラシナ(HSコード0704.90-2000に該当する作物全般)、トマト(小型のトマトは含まれない)、丸キャベツ(紫キャベツも含む)、キュウリ。
- 2026年4月1日以降、「1985年食品規則」の改正施行により、アルコール飲料の定義における最低アルコール度数が2%から0.5%に引き下げられ、対象が広がった。また、アルコール度数3%~20%の「米を原料とした酒類(rice wine)」の定義が新設された。
- マレーシアで環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)によるマレーシアにおけるアルコール飲料の輸入関税は段階的に軽減される。2026年時点で、清酒(HSコード:2206.00.20.00)には、1リットル当たり25.50リンギット(約1,024円)の輸入関税がかかるところ、CPTPPにより11.15リンギット(約448円)に軽減される。CPTPPによる関税の完全撤廃は2033年。日本と発効済みの他3協定では除外品目。
|
|
商流・物流・商習慣
|
- 日本から輸入される食品は、輸入・卸売業者経由で小売店・レストランに販売されるのが一般的。
- 輸入許認可の対象品目が青果物、肉類、酒類、加工食品、水産品、お米等、細分化していることもあり品目毎に主要輸入・卸売業者は異なる。
|
|
Eコマースの概要
|
- 2025年時点で、スマートフォン普及率は98.7%、インターネット利用率は98.0%とネットワークインフラは整備されている。過去1年のデジタル決済・EC関連行動において、オンライン購入の利用率は54.0%と過半数を超えた。
- 2025年のSNSのアクティブユーザー数は、約3,070万人(人口の約85%)。SNS広告やインフルエンサー、ライブ配信機能を活用し、B2Cプロモーション・直接販売を行う事業者も増加している。
- 2024年には、Shopeeが総EコマースGMV(流通取引総額)の約55〜65%を占める圧倒的なシェアを維持した。TikTok Shopは急成長中のプレイヤーとして台頭しており、総GMVの約20〜35%を占めるまでに至った。
|
|
外食・小売等の状況
|
- 日本産食品を販売する日系小売店としては、AEON(1985年進出)、伊勢丹(1988年進出)に加え、2021年3月にはJONETZ by DON DON DONKI、2023年11月にはSEIBUデパートが開業。日系事業者に限らず、地場系・外資系高級スーパーマーケット(Jaya Grocer、Village Grocer、B.I.G.など)や、コンビニエンスストア(7-Eleven, Family Martなど)でも日本食が販売されている。
- 日系ベーカリーの進出に加え、日本スタイルや日本の製法・小麦粉を導入したローカルベーカリーブランドの展開も進んでいる。
- すし・焼き鳥・炉端焼きなどを主要メニューとした居酒屋業態の店舗が広がる中、和牛メニューの充実に加え、焼肉レストランの拡大も進んでいる。ハラール対応の日本食・ラーメンレストランも急速に成長しており、ムスリム顧客の来店数が増加傾向にある。
- 2025年2月に、日本の回転すしチェーン「スシロー」は、マレーシア初進出となる店舗「スシロースリアKLCC店」を開業した。さらに、2026年中に首都圏の人気ショッピングモールに2号店、3号店を出店する計画を明らかにした。
- 2026年6月には、日本のイタリアンレストランチェーン「サイゼリヤ」のマレーシア1号店が「イオンモール・タマンマルリ」にオープンしており、サイゼリヤ初のハラール対応店舗となる予定。
- 2026年第4四半期、KLメトロポリス内に「イオンモール・KLミッドタウン」が開業予定。イオンスーパーや回転すしチェーン「スシロー」、ブランド品リユース大手「KOMEHYO」など日系に加え、ローカル飲食店も出店する。
|
|
日本食普及状況等
|
- ノンハラール商品の流通・販売が禁じられているわけではないため、ノンハラールの商品も輸入規制を満たせばマレーシアへの輸出が可能である。
- アルコール飲料は日本からの輸出上位品目。日本酒の他、ウイスキーや果実リキュールの輸出額も拡大。主に日本食レストランで提供され、中華系マレーシア人、日本人、外資系駐在員を中心に消費されている。味、飲み方についても理解が進んでいる。
- 高品質な日本産青果物は高級市場やギフト用途で高く評価されている一方、他国産青果物や現地でも栽培されているトマトや葉物野菜などの一部品目では価格差が大きく、価格差以上の特徴や付加価値のある商品でなければ市場獲得のハードルが高い。
- 日本食レストランの増加に伴い、水産物、和牛およびアルコール飲料の需要が増加している。
- 健康志向の高まりや日本食文化への関心の高まりを背景に、抹茶は飲料、製菓、健康食品など幅広い食品カテゴリーで利用されている。外食・カフェ文化が主導し、市場が成長しており、特に若年層を中心にトレンド性の高いフレーバーとして定着している。
- 人口・市場のボリュームゾーンである20-30代の若者や、ムスリムを中心とした中間層をターゲットとした、価格帯が比較的安価なマスマーケット向け商品やハラール認証品・ノンポーク・ノンアルコール商品へのバイヤー需要も高まっている。
|