知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】特許法一部改正法律案(議案番号:22014644)

2025年11月27日

議案番号:22014644
提案日:2025年11月27日
提案者:キム・ジョンミン議員、他10人

提案理由及び主要内容


現行特許法は、訴訟手続において、侵害の立証及び損害額算定のための証拠確保を資料提出命令制度で規定しているが、命令を受けた当事者が関連資料の所持を否認、隠滅・毀損して虚偽で提出する場合、これを確認できないという限界があり、特許権者等の権利保護が適切に行われていない。
一方、ドイツは専門家調査制度(Inspection)、日本は査証政策(ビザ)を設け、法院(裁判所)が指定した専門家が必要な証拠を調査できるようにしている。
これに対し、韓国においても、侵害の立証及び損害額の算定に必要な証拠を確保するため、法院が指定した専門家により侵害現場で資料を収集・調査させ、その結果を特許侵害訴訟において証拠として使用できるようにするものである(案第128条の3及び第128条の4新設)。

特許法の一部改正法律案


特許法の一部を下記とおりに改正する。
第128条の3及び第128条の4を各々下記とおりに新設する。
第128条の3(専門家による事実調査)1) 法院は、特許権又は専用実施権の侵害訴訟において、下記の各号に全て該当する場合、侵害の証明又は侵害による損害額の算定に必要な証拠確保のため、当事者の申請に基づき、調査すべき証拠に関連する分野の専門家を指定し、指定された専門家(以下「指定専門家」という)に対し、相手方当事者の事務所、 工場等に出入りさせ、相手方当事者及びその従業員等に対し質問を行わせ、又は資料の閲覧・複写等必要な調査を行わせることができる。
1. 相手方当事者が特許権又は専用実施権を侵害した相当な可能性があること
2. 調査の必要性と比較し、相手方当事者の負担が過重でないこと
3. 当事者が他の手段で証拠を収集することを期待することが困難であること
2) 法院は、下記の各号のいずれかに該当する者のうち1人以上を第1項の専門家として指定することができる。
1. 「法院組織法」第54条の2、第54条の3に基づく、技術審理官又は調査官
2. 「民事訴訟法」第164条の2、又は本法第154条の2に基づく専門審理委員
3. 「弁護士法」第4条に基づく、弁護士の資格を有する者
4. 「弁理士法」第3条による弁理士の資格を有する者
5. その他、大法院(最高裁判所)規則で定める者
3) 法院は、第1項による調査の決定に先立ち、弁論準備期日を指定して申請した当事者(以下「申請当事者」という)及び相手方当事者に意見を陳述する機会を与えなければならない。
4) 第1項に基づき、指定された専門家は、法院が指定した期日までに調査結果を記載した報告書(以下「調査結果報告書」という)を法院に提出しなければならない。この場合、専門家は調査を通して知り得た事実を秘密に保持しなければならない。
5) 法院は、調査を受けた相手方当事者に第4項の調査結果報告書を優先的に閲覧させなければならない。
この場合、調査を受けた相手方当事者は、調査の対象・範囲に該当しない資料及び本人又は第三者の営業秘密(「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」第2条第2号による営業秘密をいう。以下同じ)に関する内容が調査結果報告書に含まれていることを理由として、その内容の削除を主張することができる。
6) 法院は、第5項に基づく主張に理由があると認めるときは、その内容を調査結果報告書から削除した後、改めて提出するよう指定専門家に命じなければならない。ただし、調査結果報告書に含まれる営業秘密が侵害の証明又は侵害による損害額の算定に必ず必要な場合は、この限りではない。
7) 当事者又はその訴訟代理人は、第4項から第6項までの手続を経て、提出された調査結果報告書の閲覧・複写(以下「閲覧等」という)を行う者を定め、閲覧等を申請することができる。ただし、法院は、調査結果報告書に調査を受けた相手方当事者又は第三者の営業秘密が含まれているときは、閲覧等を行うことができる者の指定において申請当事者を除外することができる。
8) 第1項に基づき、調査を受ける相手方当事者は、指定専門家が要請する資料を正当な事由なく提供しないなど、調査を拒否・妨害又は忌避してはならない。この場合、相手方当事者が第1項に基づく調査を拒否・妨害又は忌避するときは、法院は資料の記載により証明しようとする事実に関する申請当事者の主張を真実であると認めることができる。
9) 第1項による相手方当事者又はその訴訟代理人は、大法院規則の定めるところにより調査に参加することができる。
10) 第1項により指定された専門家は、証拠調査等を行う場合、その権限を示す証票を携帯し、これを関係人に提示しなければならない。
11) 法院は、第1項による調査により生じる相手方当事者の損害を保全するために必要な場合、第1項による調査を申請した当事者に対し、担保額及び担保提供の期間を定め、担保を提供するよう命ずることができる。この場合、担保については「民事訴訟法」第122条、第123条、第125条及び第126条を準用する。
12) その他、第1項による調査の方法・手続・期間・費用、第6項による調査結果報告書の作成方式等必要な事項は、大法院規則で定める。
第128条の4(調査対象及び範囲の制限)1) 法院は、第128条の3第1項による調査の決定をしようとする場合において、調査を受ける相手方当事者が法律意見を求める目的又はこれに対する意見を提供するために、その弁護士等の代理人の間で相互に授受した非公開資料、又は相手方当事者若しくはその弁護士等の代理人が訴訟を予見し、その訴訟の準備若しくは遂行を目的として作成した非公開資料(以下 「法律意見書等」という)を当該調査の対象及び範囲から除外しなければならない。
2) 法院は、第1項に基づき調査の対象及び範囲から除外される法律意見書等の確認が必要と認められる場合、相手方当事者の申請に基づき、当該資料の目録を提出するよう命ずることができる。

附則
第1条(施行日)この法律は、公布日から起算して6か月を経過した日から施行する。
第2条(訴訟に関する適用例)第128条の3及び第128条の4の改正規定は、この法律施行後に訴えが提起される訴訟から適用する。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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