知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】中小企業技術の保護支援に関する法律の一部改正法律案(議案番号:2213221)
2025年09月24日
議案番号:2213221
提案日:2025年9月24日
提案者:クォン・チルソン、ホ・ソンム、パク・ギュンテク、パク・ヘチョル、キム・ギピョ、キム・ジュンヒョン、ハン・ジュンホ、シン・ヨンデ、キム・ヨンファン、ハン・ミンス、カン・ジュンヒョン、イム・ミエ議員(12人)
提案理由
現行法では、中小企業の技術侵害を防止し、被害を救済するための根拠を規定しているが、近年も侵害事例が継続的に発生し、直近5年間の被害金額が、4千億ウォンに達するほど、深刻な水準である。しかし、多数の中小企業は、侵害事実を立証の難さ及び高い訴訟費用の負担により、権利救済を放棄するケースが増加している。2018年の法改正を通じて、行政調査制度を導入するなど、制度的な装置を設けたが、その適用範囲が営業秘密侵害行為に限られており、調査又は中小企業技術紛争の調停·仲裁委員会との連係が不十分であり、公正な判断のための手続き的な装置が不足している実情だ。また、被申告人が調査に応じないとしても、この場合、強制できる手段がないため、制度の実効性にも限界があるとの指摘が提起されている。
これに対し、中小企業の技術侵害行為の範囲を拡大し、資料提出命令制度を補完、不履行時に、履行強制金を賦課できる根拠を新設する一方、中小企業技術紛争の調停·仲裁委員会の構成と運営を改善し、調査及び紛争調停制度の実効性を高めることで、中小企業を技術侵害から手厚く保護しようとするものである。
主要内容
- 中小企業の技術侵害行為について、営業秘密のほか、アイデア、技術資料等に関する侵害を含むことにする(案第2条)。
- 中小ベンチャー企業部長官が、紛争調停·仲裁委員会の要請に基づき、調査資料を送付できるようにし、申告人の地位は申告日を基準に判断する(案第8条の2)。
- 中小企業の技術侵害行為により、被害発生及び回復困難な被害発生の恐れがあり、紛争調停·仲裁委員会において中小企業の技術侵害行為があったと議決した場合、是正を勧告できるようにする(案第8条の3)。
- 資料提出要求を正当な理由なく不履行する場合、1日平均売上額の1千分の3以内の範囲で、履行強制金を賦課できるようにする(案第8条の6)。
- 資料提出要求に応じず、正当な理由を疎明しない場合は、申請人の主張を真実なものだと認めることができる(案第8条の7)。
- 中小企業技術紛争の調停·仲裁委員会の副委員長を2名とし、委員長及び副委員長を常任にし、委員会の事務機構設置の根拠を設ける(案第23条及び第23条の2)。
- 紛争調停のために必要な場合、中小ベンチャー企業部長官に調査等の協力を要請できるようにし、調停又は仲裁を申請した者に対し、中小企業の技術侵害行為の申告を勧告するようにする(案第27条)。
- 技術侵害申告及び紛争の調停·仲裁する当事者が、代理人を選任できるようにする(案第30条の2)。
中小企業技術の保護支援に関する法律の一部改正法律案
中小企業技術の保護支援に関する法律の一部を下記のとおり改正する。
第2条第3号各号を下記のとおりにする。
イ、「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」第2条第1号ヌ目による方法で、中小企業の技術侵害する行為
ロ、「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」第2条第2号の営業秘密に該当する、中小企業の技術を同法第2条第3号に基づき、他の方法で侵害する行為
ハ、「大·中小企業の共生協力促進に関する法律」第2条第9号の技術資料に該当する、中小企業の技術を同法第21条の2第1項、第25条第1項第12号、又は同条第2項に違反して侵害する行為
二、「下請取引の公正化に関する法律」第2条第15項の技術資料に該当する、中小企業の技術を同法第12条の3第1項から第4項までを違反して侵害する行為
ホ、「特許法」第2条第2号の特許発明に該当する、中小企業の技術を同法第127条により、侵害する行為
第4条中「『下請取引の公正化に関する法律』」を「『大·中小企業上の生協力の促進に関する法律』、『下請取引の公正化に関する法律』」とする。
第8条の2第4項中「第1項の規定による申告を受けた場合」を「下記の各号いずれかに該当する場合には」とし、同項に、各号を下記のとおり新設し、同条に第6項から第8項までを各々下記のとおりに新設する。
1. 第1項の規定による申告を受けた場合
2. 第27条第4項に基づき、中小企業の技術紛争調停·仲裁委員会の協力要請がある場合
⑥ 中小ベンチャー企業部長官は、第23条に基づき、中小企業の技術紛争調停·仲裁委員会が、紛争の調停·仲裁のために要請する場合には、第1項による申告関連書類及び第4項による調査結果を送付できる。
⑦ 中小ベンチャー企業部長官は、資料を有する者が、第4項による提出を拒否する正当な理由があると主張する場合には、資料を有する者に申告人に対して、その理由を書面で説明させ、当該書面について、各々が相手に、各3回以下の範囲で、質問及び回答させることができる。
⑧ 第1項の規定による申告をしようとする者が、中小企業者該非は、申告日を基準にして判断し、その後、中小企業者ではなくなった場合でも、既に開始された調査手続及び是正勧告には影響を及ぼさない。
第8条の3第1項中「第8条の2による調査の結果、被申請人の中小企業、技術の侵害行為があると判断する相当な根拠があり、既に被害が発生、又はこれを放置する場合、回復が困難な被害が発生する恐れがあると認められる場合は」を「次の各号の要件をすべて満たしている場合には」とし、同項に各号を下記通り新設し、同条第3項中「被申請人が」を「被申告人が」と、「その」を「特許庁長及び公正取引委員長と協議して、その」とする。
1. 第8条2第4項第1号による調査の結果、被申告人の中小企業の技術侵害行為により、既に申告人に被害が発生、又は放置する場合、回復が難しい被害が発生する恐れがあると認められる場合
2. 第23条による、中小企業技術紛争調停·仲裁委員会が、被申告人の中小企業の技術侵害行為があったと議決した場合
第8条の5、各号以外の部分の中「不正競争防止及び営業秘密保護に関するした法律第十一条の規定により」を「侵害の禁止、又は」とする。
第8条の6及び第8条の7を各々、下記のとおりに新設する。
第8条の6(履行強制金等)①中小ベンチャー企業部長官は、関連機関又は事業者等が、正当な理由なく、第8条の2第4項に基づく、資料提出要求を履行しなかった場合、その資料が技術侵害の有無を確認する際に必要であると認める場合、その資料の提出を再度、求めることができ、これを履行しなかった者には、1日ごとに、大統領令で定める1日平均売上高の1千分の3以内の範囲で、履行強制金を賦課することができる。ただし、売上高がない場合や、売上高算定が困難な場合は、1日あたり200万ウォンの範囲で、履行強制金を賦課することができる。
② 履行強制金の賦課·納付·徴収·還付などに必要な事項は、大統領令で定める。 ただし、滞納された履行強制金は、国税滞納処分の例にしたがって、これを徴収する。
第8条の7(事業者等が文書を提出しなかった場合の効果)中小ベンチャー企業業部長官は、第8条の2第4項に基づき、資料提出要求を受けた関連機関、又は事業者等がこれを履行していないものの、正当な理由を疎明しなかった場合(外見上、正当な理由を疎明したとしても、疎明の時期及び内容並びに提出を要求された資料の性質及び内容等に照らし、その疎明が形式的なものにすぎず、実質的には、正当な理由を全く疎明していないのと同様に評価される場合を含む。)には、第8条の3第1項の勧告及び第3項の公表するに当たって、証明すべき事実に関する申請人の主張を真実であると認めることができる。
第23条第1項中「仲裁する」を「仲裁し、中小企業の技術侵害行為を公正に判断する」とし、同条第2項第4号を第6号にし、同項に第4号及び第5号を各々下記のとおり新設し、同条第3項中「1人を」を「1人と副委員長2人を」に、「50人」を「60人」に、「構成する」を「構成するが、委員長と副委員長は常任とする」とし、同条第4項各号以外の部分の中「委員長は」を「委員長と副委員長は」にし、同項第号を消除し、同項第1号を第3号とし、同項第1号を下記通りに新設し、同項第2号のうち「4級又は4級相当以上の」を「中小ベンチャー企業部、公正取引委員会又は特許庁の4級以上」と、「公的機関の職に」を「公務員に」とする。
4. 第8条の2第1項により、申告された中小企業の技術侵害行為の判断に関する事項
5. 第27条第4項の規定による、協力要請及び同条第5項の規定による、勧告に関する事項
1. 裁判官の資格を有する者の中で、裁判所行政処長が推薦した者、
第23条の2及び第25条の2を各々下記のとおり新設する。
第23条の2(事務機構)①委員会の業務を支援するため、委員会に事務機構を置くことができる。
② 第1項による、事務機構の構成及び運営等に必要な事項は、大統領令で定める。
第25条の2(調停案の作成等)①調停部は、調停案を作成し、これを事件の当事者に提示し、受諾を勧告することができる。 この場合、調整部は調停案に理由をつけて提示することができる。
② 調停部は、事件の当事者が調停手続きの進行を拒否又は調停案の受け入れを拒否するなど、これ以上調整が行われる余地がないと判断される場合には、調停の終了を決定し、これを事件の当事者双方に通知しなければならない。
③ 第1項による、調停案が事件の当事者双方により、受諾された後、その解釈又は履行方法について、事件の当事者間で意見の不一致がある際は、事件の当事者は、当該調停部にその解釈又は履行方法に関し、明確な見解の提示を請求しなければならない。
④ 調停部は、第3項による要請を受けた場合、その要請を受けた日付から14日以内に、明確な見解を提示する必要がある。
第27条第1項前段中「調整部又は仲裁部は」を「委員会は」と、同条第2項中「調停部又は仲裁部は」を「委員会は」と、同条第3項うち「調停部又は仲裁部は」を「委員会は」と、同条に第4項及び第5項を各々、下記のとおりに新設する。
④ 委員会は、紛争の調停のために、必要であると認める場合は、当事者と協議の上、中小ベンチャー企業部長官に調査等の協力を要請することができる。
⑤ 委員会は、調停又は仲裁を申請者に対し、第8条の2第1項に基づく、他の申告をするよう勧告することができる。
第30条の2を下記のとおり新設する。
第30条の2(代理人の選任)この法律による申告·調停·仲裁当事者は、代理人を選任することができる。 代理人の資格·手続きなど必要な事項は大統領令で定める。附 則
第1条(施行日) この法律は、公布後6ヵ月が経過した日から施行する。 第2条(履行強制金等に関連する適用例) 第8条の6及び第8条の7の改正規制は、この法施行以後、資料提出要求がある場合から適用する。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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