知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】デザイン保護法の一部改正法律案(議案番号:2206368)

2024年12月10日

議案番号:2206368
提案日:2024年12月10日
提案者:キム・ウォニ議員(共に民主党)外10人

提案理由及び主要内容

現行の制度では、無権利者が特定のデザインに対しデザイン登録出願をしてデザイン登録を受けた場合、正当な権利者は登録無効審判を提起して裁判所による判決を受けてから当該のデザイン権に対し再出願をしなければならない。
このような複雑な手続きには長時間がかかるだけではなく行政費用もかかるため、正当な権利者がより効率的にデザイン権を行使できるよう制度を見直す必要があるとの指摘が提起されていた。
特許権の場合、「特許権の移転請求」制度を実施することで、無権利者により盗用された特許権を取り戻す際には、登録無効審判を行うことなく正当な権利者に対し直ちに特許権を移転するようにしている。
従って、改正案は、デザイン権において正当な権利者が盗用されたデザイン権をより迅速に取り戻すことができるよう「デザイン権の移転請求」に係る法的根拠を設ける目的である。
また、正当な権利者に移転されたデザイン権に対し無効審判の請求を認めないことで登録無効審判を制限し、正当な権利者に移転されたデザイン権のデザイン登録証を正当な権利者の名義で再発行することで正当な権利者に対する効率的な救済手段を設ける。
一方、権利移転の登録の前に無権利者によるデザイン登録という無効の事由に該当していることを知らずに実施事業をしているか準備する際には、通常実施権を認めることで、善意の無権利者を保護しつつその実施により作られたデザインの物品が産業の発展に寄与するとの法目的の趣旨に合わせる目的である(案第96条の2及び第100条の2の新設等)。

デザイン保護法の一部改正法律案

デザイン保護法の一部を次のように改正する。
第89条に第3項を次のように新設する。
③特許庁長は第96条の2第2項に基づきデザイン権が移転登録された場合、登録証を新しく発行しなければならない。
第96条の2を次のように新設する。
第96条の2(デザイン権の移転請求)①デザイン登録が第121条第1項第1号の本文に該当する場合において、デザイン登録を受けることができる権利を持つ者は裁判所にデザイン登録の移転(デザイン登録を受けることができる権利が共有の場合はその持分の移転のことを指す)を請求することができる。
②第1項の請求に基づいてデザイン権が移転登録された場合には、次の各号の権利はそのデザイン権が設定登録された日から移転登録を受けた者にあることとみなす。
1.当該のデザイン権
2.第53条第2項に基づく補償金の支給に係る請求権
③第1項の請求により共有のデザイン権の持ち分を移転する場合には、第96条第2項にも関わらず他の共有者からの同意がなくてもその持分を移転することができる。
第100条の2を次のように新設する。
第100条の2(デザイン権の移転請求による移転登録前の実施による通常実施権)①次の各号のいずれかに該当する者が第96条の2第2項に基づくデザイン権の移転登録がある前に当該のデザイン登録が第121条第1項第1号の本文に該当することを知らずに国内で当該のデザインに係る実施事業をしているかそれを準備している場合には、その実施若しくは準備をしているデザイン及び事業目的の範囲でそのデザイン権に対する通常実施権を持つ。
1.移転登録されたデザイン登録の原デザイン権者
2.移転登録されたデザイン権に対し移転登録の当時に既に専用実施権若しくは通常実施権又はその専用実施権に対する通常実施権を取得し登録を受けた者。但し、第104条第2項に基づく通常実施権を取得した者に対しては登録を必要としない。
②第1項に基づき通常実施権を持つ者は移転登録されたデザイン権者に対し相当の対価を支給しなければならない。
第121条第1項各号外の部分の前段の中「利害関係者」を「利害関係者(第1号の本文においてはデザイン登録を受けることができる権利を持つ者に限る)」に改め、同項第1号の中「同行の但し書に基づきデザイン登録を受けることができない場合」を「第39条を違反した場合」に改め、同号に但し書きを次のように新設する。
但し書、第96条の2第2項に基づき移転登録された場合を除く
第121条第1項第2号の中「第27条」を「第3条第1項の但し書に基づきデザイン登録を受けることができない場合若しくは第27条」に、「第35条まで、第39条」を「第35条まで」に改める。

附則

第1条(施行日)この法律は、公布後6か月が経過した日から施行する。
第2条(デザイン権の移転請求に関する適用例)第96条の2の改正規定は、同法の施行以降設定登録された無権利者によるデザイン権から適用する。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、李(イ)、半田(いずれも日本語可)
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195