知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】特許法の一部改正法律案(議案番号:2204182)

2024年09月23日

議案番号:2204182
提案日:2024年9月23日
提案者:コ・ドンジン議員(国民の力)外11人

提案理由

現行「特許法」では、特許発明を実施するために他の法令に基づき許可を得るか登録等を受けなければならず、その許可・登録等(以下、「許可等」とする)のために必要な有効性・安全性等の試験により長期間がかかる発明の場合に、その実施を行うことができなかった機関に対し5年の期間までその特許権の存続期間を延長する許可等に基づく特許権の存続期間延長制度が導入されている。
但し、現行の許可等に基づく特許権の存続期間延長制度では有効な特許権の存続期間(許可・登録後延長期間を含める特許権の存続期間)上限(キャップ)と延長可能な特許権の数の制限が存在しないため、ジェネリック医薬品の発売が遅延されるケースが発生するため、国民の医薬品への早期アクセス権の確保に支障が生じている現状である。欧米等主要国では有効特許権の存続期限の上限(キャップ)と延長可能な特許権数を制限する規定が存在して許可等による特許権の存続期間の延長制度の国際的な調和が求められる状況である。
従って、許可等による特許権の存続期間の延長制度において有効特許権の存続期間の上限(キャップ)を設定し、延長可能な特許権数を制限することで、国民の医薬品への早期アクセス権と健康保険の財政削減の効果を高め、国民の権益を増進し、米欧等主要国の水準に合わせて上記の延長制度を見直す目的である。

主要内容

  1. 特許権の存続期間に、登録の遅延による延長期間を含めて許可等による特許権の存続期間の起算点を明確にする(案第89条第1項)。
  2. 許可等により延長された特許権の存続期間に対し許可を受けた日から14年を超えないよう根拠を設け、違反した際には拒絶査定及び無効審判を請求できるようにする(案第89条第1項の但し書の新設等)。
  3. 一つの許可等に対し延長可能な特許権数を単数に規定し、一つの許可等に対し二つ以上の特許権がある場合には、延長登録出願人はその一つの特許権に対してのみ存続期間の延長登録出願をしなければならず、一つの許可等に対し二つ以上の特許権に対する存続期間の延長登録出願がある場合には、いずれの特許権の存続期間も延長できないようにする(案第90条第7項の新設)。
  4. 特許権の存続期間の延長登録出願が放棄・無効・取下げになるか拒絶査定又は拒絶するとの趣旨の審決が確定された場合には、特許権の存続期間の延長登録出願は最初からなかったこととみなす(案第90条第8項の新設)。
  5. 利害関係者又は審査官は特許権の存続期間の延長登録が、一つの許可等に対し二つ以上の特許権の存続期間が延長登録された場合には、無効審判を請求することができるようにし、これに該当して無効にするとの審決が確定した場合には、その特許権の存続期間の延長登録出願は最初からなかったこととみなす(案第134条第1項第6号及び同条第5項の新設)。
  6. 特許法の一部改正法律案

    特許法の一部を次のように改正する。
    第89条第1項の中「存続期間」を「存続期間(第92条の5第2項に基づき特許権の存続期間の延長が登録された場合には、その延長された日までのことをさす)」に改め、同項に但し書を次のように新設する。
    但し、許可等を受けた日から14年を超過して延長できない。
    第90条に第7項及び第8項をそれぞれ次のように新設する。
    ⑦一つの許可等に対し二つ以上の特許権がある場合には、延長登録出願人はその一つの特許権に対してのみ存続期間の延長登録出願をしなければならず、一つの許可等に対し二つ以上の特許権に対する存続期間の延長登録出願がある場合には、いずれの特許権の存続期間も延長することができない。
    ⑧特許権の存続期間の延長登録出願が次の各号のいずれかに該当する場合、その出願は第7項を適用する際には最初からなかったこととみなす。
    1.放棄、無効、又は、取下げの場合
    2.拒絶査定か拒絶するとの趣旨の審決が確定した場合
    第91条第3号の中「その特許発明を実施することができなかった」を「延長の」に改め、同条に第6号を次のように新設する。
    6.第90条第7項を違反して一つの許可等に対し二つ以上の特許権に対する存続期間の延長登録出願をした場合
    第93条の中「第67条」を「第67条、第78条第1項及び第3項」にし、同条に後段を次のように新設する。
    この場合、第78条第1項の中「特許取消申請に対する決定」は「第92条の4及び第92条の5に基づく延長登録拒絶査定又は延長登録査定」に、「その審査手続き」は「許可等に基づく延長登録出願の審査手続き」とする。
    第134条第1項第3号の中「その特許発明を実施することができなかった」を「第89条に基づき認められる延長の」に改め、同項に第6号を次のように新設し、同条第4項第1号の中「その特許発明を実施することができなかった」を「第89条に基づき認められる延長の」に改め、同条に第5項を次のように新設する。
    6.第90条第7項を違反して一つの許可等に対し二つ以上の特許権の存続期間が延長された場合
    ⑤延長登録が第1項第6号に該当して無効にするとの審決が確定した場合には、その特許権の存続期間の延長登録出願は最初からなかったこととみなす。

    附則

    第1条(施行日)この法律は、公布後6か月が経過した日から施行する。
    第2条(許可等に基づく特許権の存続期間の延長に関する適用例)第89条第1項、第90条第7項・第8項、第91条、第93条及び第134条第1項・第4項・第5項の改正規定は、この法律の施行以降、許可等を受けた特許発明の許可等に基づく特許権の存続期間の延長登録出願から適用する。

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