知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【公布】発明振興法の一部改正法律(法律第20197号)

2024年02月06日

国務会議の議決された発明振興法の一部改正法律をここに公布する。
大統領 ユン・ソンニョル
2024年2月6日
国務総理 ハン・ドクス
国務委員兼産業通商資源部長官 アン・ドクグン

発明振興法の一部改正法律

発明振興法の一部を次のように改正する。
第2条第6号から第8号までをそれぞれ削除し、同条第9号イ目を次のようにする。
イ.産業財産権に関する情報を収集・分析・加工・翻訳・流通又は管理するか、これに係るソフトウェア又はシステムを開発するか構築する業
第6条第4号中「活動に係る産業財産権情報」を「活動に係る情報」にする。
第8条の2第2項第1号中「産業財産権情報」を「発明活動に係る情報」にする。
第11条の2の題目中「優秀企業に対する支援」を「優秀企業の認定等」にし、同条第1項中「政府は」を「特許庁長は」に、「職務発明補償優秀企業を選定し必要な支援をすることができる」を「職務発明補償制度を模範的に運営する企業を職務発明補償優秀企業(以下、「優秀企業」とする)として認定することができる」にし、同条第2項を第6項にし、同条に第2項から第5項までをそれぞれ次のように新設し、同条第6項(従前の第2項)を次のようにする。
②優秀企業の認定を受けようとする企業は特許庁長に申請しなければならない。
③特許庁長は、第2項に基づく認定申請を受けた場合には、認定を受けようとする企業に対し審査を行い、認定基準に適合すれば有効期限を決めて認定しなければならない。
④特許庁長は、認定を受けた優秀企業が次の各号のいずれかに該当する場合には、その認定を取り消すことができる。ただし、第1号に該当する場合には認定を取り消さなければならない。
1.嘘やその他の不正な方法で認定を受けた場合
2.第6項に基づく認定基準に適合しなくなった場合
⑤国家及び地方自治団体は、認定を受けた優秀企業に対し大統領令で定めるところにより行政的・財政的支援をすることができる。
⑥優秀企業認定の基準、手続き、再認定、有効期間、その他認定に必要な事項は大統領令で定める。
第13条の題目「(承継有無の通知)」を「(職務発明の権利承継)」にし、同条第1項及び第2項を次のようにし、同条第3項の前段中「第1項」を「第2項」にする。
①第12条に基づき通知を受けた使用者等が従業者等の職務発明に対し予め特許等を取得できる権利や、特許権等を承継するか専用実施権を設定する契約や勤務規程を定めた場合には、その権利は発明を完成した時から使用者等に承継される。ただし、使用者等が大統領令で定める期間にその発明に対する権利を承継しない旨を従業者等に通知する場合は該当しない。
②第1項に基づく契約又は勤務規定の全てに該当しない使用者等(国家や地方自治団体は除外する)が第12条に基づき通知を受けた場合には、大統領令で定める期間に、その発明に対する権利の承継有無を従業者等に書面で通知しなければならない。この場合、使用者等は従業者等の意思とは異なり、その発明に対する権利の承継を主張することができない。
第18条第1項第3号中「第13条第1項」を「第13条第2項」にする。
第2章第3節の題目「産業財産権情報の提供及び活用促進」を「発明振興の基盤づくり」にする。
第20条、第20条の2から第20条の5まで、第20条の8、第36条及び第37条をそれぞれ削除する。
第50条の3第4項を次のようにする。
④海外産業財産権センターは第2項に基づく業務を遂行するために、必要な範囲で収益事業を行うことができる。
第55条第3項第8号中「産業財産権情報の」を「産業財産権の」にする。
第6章の3(第55条の5から第55条の7まで)を削除する。
第7章に第55条の8から第55条の11までをそれぞれ次のように新設する。
第55条の8(資料の提出)①裁判所は、職務発明補償金に関する訴訟で当事者の申請により、相手側の当事者に対し該当の職務発明補償額の算定に必要な資料の提出を命ずることができる。ただし、その資料の所持者がその資料の提出を拒む正当な理由があれば命令することができない。
②裁判所は、資料の所持者が第1項に基づく提出を拒む正当な理由があると主張する場合には、その主張の当否を判断するために資料の提示を命ずることができる。この場合、裁判所はその資料を他人が閲覧することを禁じるべきである。
③第1項に基づき提出されるべき資料が営業秘密に該当するものの、職務発明補償額の算定に必ず必要な場合には、第1項のただし書に基づく正当な理由としてみなされない。この場合、裁判所は提出命令の目的内で閲覧できる範囲又は閲覧できる者を指定しなければならない。
④当事者が正当な理由なく資料提出命令に従わない場合には、裁判所は資料の記載に関する相手側の主張を真実であると認めることができる。
⑤第4項に該当する場合、資料の提出を申請した当事者が資料の記載に関して具体的に主張するには極めて困難な事業があり、資料により証明する事実を他の証拠を用いて証明することを期待することも難しい場合には、裁判所はその当事者が資料の記載により証明しようとする事実に関する主張を真実であると認めることができる。
第55条の9(守秘命令)①裁判所は、職務発明補償金に関する訴訟でその当事者が保有する営業秘密に対し、次の各号の事由を全て疎明した場合にはその当事者の申請に基づく決定により、他の当事者(法人である場合はその代表者)、当事者の訴訟を代理する者、その他その訴訟により営業秘密を知った者に対し、その営業秘密を当該の訴訟の継続的な遂行外の目的で使用するか、その営業秘密に関わるこの項に基づく命令を受けた者外の者に公開しないことを命ずることができる。ただし、その申請の時点まで、他の当事者(法人の場合はその代表者)、当事者の訴訟を代理する者、その他当該の訴訟により営業秘密を知った者が第1号で定める準備書面の閲覧や証拠調査の以外の方法でその営業秘密を既に取得している場合には、命令することができない。
1.既に提出したか提出すべき準備書面、既に調査したか調査すべき証拠又は第55条の8第3項に基づき提出したか提出すべき資料に営業秘密が含まれていること
2.第1号の営業秘密が該当の訴訟を行う目的外で使用されたか公開されれば、当事者の営業に支障をきたす恐れがあるため、これを防止するために営業秘密の使用又は公開を制限する必要があること
②第1項に基づく命令(以下、「守秘命令」とする)の申請は次の各号の事項を記載した書面で行うべきである。
1.守秘命令を受ける者
2.守秘命令の対象となる営業秘密を特定するに十分な事実
3.第1項各号の事由に該当する事実
③裁判所は守秘命令が決定された場合には、その決定書を、守秘命令を受けた者に送達しなければならない。
④守秘命令は第3項の決定書が守秘命令を受けた者に送達された時から効力が発生する。
⑤守秘命令の申請を棄却したか却下した裁判に対しては即時抗告を申し立てることができる。
第55条の10(守秘命令の取消)①守秘命令を申請した者又は守秘命令を受けた者は、第55条の9第1項に基づく要件を満たせないか満たさなくなった場合は、訴訟記録を保管する裁判所(訴訟記録を保管する裁判所がない場合には守秘命令を下した裁判所)に対し守秘命令の取り消しを申請することができる。
②裁判所は、守秘命令の取消申請に関する裁判がある場合にはその決定書を、その申請をした者及び相手側に送達しなければならない。
③守秘命令の取消申請に関する裁判に対しては即時抗告を申し立てることができる。
④守秘命令を取り消す裁判は確定されてから効力が発生する。
⑤守秘命令を取り消す裁判を行った裁判所は、守秘命令の取消申請を行った者又は相手側の以外に該当の営業秘密に関する守秘命令を受けた者がいる場合には、その者に対し即時守秘命令の取消裁判があった旨を知らせなければならない。
第55条の11(訴訟記録の閲覧等の請求通知等)①守秘命令が下された訴訟(全ての守秘命令が取り消された訴訟を除く)に関する訴訟記録に対し「民事訴訟法」第163条第1項の決定があった場合、当事者が同項で定める秘密の記載部分の閲覧等の請求をしたが、その請求手続きを該当の訴訟で守秘命令を受けていない者が行った場合には、法院書記官、法院事務官、法院主事又は法院主事補(以下、この条で「法院事務官等」にする)は、「民事訴訟法」第163条第1項の申請をした当事者(その閲覧等の請求をした者を除く。以下、第3項で同一)に対しその請求直後にその閲覧等の請求があった旨を知らせなければならない。
②第1項の場合、法院事務官等は第1項の請求があった日から2週間が経過するまで(その請求手続きを行った者に対する守秘命令の申請が、その期間内に行われた場合には、その申請に対する裁判が確定される時点まで)その請求手続きを行った者に対し第1項の秘密の記載部分の閲覧等を認めてはいけない。
③第2項は第1項の閲覧等の請求をした者に対し第1項の秘密の記載部分の閲覧等を認めることに対し、「民事訴訟法」第163条第1項の申請を行った当事者の全てが同意した場合には適用されない。
第56条第2項中「情報院、協会」を「協会」に、「戦略院、発明機関」を「発明機関」にする。
第57条に第2号を次のように設け、同条第5号を削除する。
2.第11条の2第4項に基づく認定取消
第57条の2第5号及び第6号をそれぞれ削除する。
第58条第1項から第3項までをそれぞれ第2項から第4項までにし、同条に第1項を次のように設け、同条第4項(従前の第3項)中「第1項の罪は使用者等」を「第1項及び第2項の罪は守秘命令を申請した者及び使用者等」にする。
①国内外で正当な事由なく第55条の9第1項に基づく守秘命令を違反した者は5年以下の懲役又は5千万ウォン以下の罰金を科す。
第58条の2の本文中「第58条第2項」を「第58条第3項」にする。
第59条第1項及び第2項中「情報院、評価管理センター、事業化支援センター、韓国発明振興会、保護院及び戦略院」をそれぞれ「評価管理センター、事業化支援センター、韓国発明振興会及び保護院」にする。
第60条第1項第3号及び第7号をそれぞれ削除する。

附則

第1条(施行日)この法律は公布後6か月が経過した日から施行する。
第2条(職務発明の権利承継に関する適用例)第13条の改正規定はこの法律施行後の職務発明から適用される。
第3条(職務発明補償金に関する訴訟での資料提出命令に関する適用例)第55条の8の改正規定はこの法律施行後、提起された職務発明補償金に関する訴訟から適用される。
第4条(職務発明補償金に関する訴訟での守秘命令に関する適用例)第55条の9から第55条の11までの改正規定はこの法律施行後、提起された職務発明補償金に関する訴訟から適用される。
第5条(職務発明補償優秀企業の認定に関する経過措置)この法律施行当時、職務発明補償優秀企業の認定を受けた企業は第11条の2の改正規定に基づき優秀企業の認定を受けたこととみなす。

改正理由及び主要内容

職務発明補償優秀企業の認定及び認定取消等の法的根拠を具体的に定め、使用者等が従業者等と協議して契約や勤務規定に基づき職務発明について権利を承継すると予め決めた場合、職務発明に対する権利は発明を完成した時から使用者等に承継するよう定め、職務発明補償金に関する訴訟で当事者の申請により、裁判所が相手側の当事者に対し補償額の算定に必要な資料の提出を命ずることができ、職務発明補償金に関する訴訟での守秘命令制度を導入する等、現行制度の運営上現れた一部の不備を改善・補完する
<法制処提供>

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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