知的財産ニュース 量子コンピューティング実装技術の急成長、本格化する産業応用の兆し

2025年12月22日
出所: 韓国知識財産処

- 量子コンピューティング実装技術が特許や基礎・基盤技術に比べ3倍速成長 -

- 米中二極体制の下、韓国は年平均成長率3位を記録 –

# 量子コンピューティング 量子ビット(キュービット)の特性である量子重ね合わせ・量子もつれを活用し、従来のコンピュータが処理しにくい複雑な問題を並列化して計算する次世代コンピューティング技術である。
 画像1 # 産業革新 現在、量子コンピューティングは要素技術(量子ビット構造・量子ゲート設計など)を基に、ハードウェア(超伝導・光子・イオントラップ型QPU)、ソフトウェア(量子アルゴリズム・コンパイラ・シミュレータ)、サービス(クラウド・AI融合など)分野へと拡大している。これらの技術は、新薬開発、金融シミュレーション、最適化、情報セキュリティなど様々な産業に革新的な転換をもたらすと期待される。

ここ10年間(2014~2023年)の量子コンピューティング技術開発は、基礎・基盤技術からハードウェア・ソフトウェア・サービスなど産業現場に応用するための実装技術へと急速に転換していることが明らかになった。韓国はここ10年間の量子コンピューティング特許出願の年平均増加率で世界3位(58.5%)を占めた。

2014年76件から2023年1,644件へ出願急増、年平均40.7%の高い成長率


知識財産処(キム・ヨンソン処長)の分析によると、最近10年間(2014~2023年)、主要国 (IP5:韓国、米国、中国、日本、欧州)に出願された量子コンピューティング特許出願は総計9,162件と集計され、2014年76件から2023年1,644件へと増加し、年平均40.7%の成長率を示した。

実装技術特許の急増、年平均86.0%(2015年7件→2023年1,001件)成長


量子コンピューティング特許出願全体において、実装技術(ハードウェア・ソフトウェア・サービス)は2015年7件から2023年1,001件へと急増し、年平均86.0%の成長率を記録した一方、 基礎・基盤技術は2014年76件から2023年643件へ、年平均26.8%の成長率に留まり、実装技術の成長ペースが基礎・基盤技術の3倍以上速い水準であることが明らかになった。これは量子コンピューティング技術がもはや基礎研究の段階にとどまらず、ハードウェア具現、ソフトウェア制御、サービス化など産業応用の可能性が拡大していることを示唆している。

米中二極体制の下、韓国は年平均増加率3位を記録


各国の出願状況を見ると、米国が4,187件(45.7%)で最も高い割合を占め、中国2,279件(24.9%)、欧州1,127件(12.3%)、日本656件(7.2%)、カナダ277件(3.0%)、 韓国248件(2.7%)、イスラエル140件(1.5%)、オーストラリア95件(1.0%)が続いた。

特に米国と中国が全体の出願の約70%以上を占め、技術覇権競争を促しており、両国は基礎・基盤研究だけでなくハードウェア・ソフトウェア分野における実装技術の出願を集中的に拡大している。韓国の出願割合はまだ低いものの、中国(123.7%)、イスラエル(109.1%)に次ぐ年平均増加率3位(58.5%)を記録し、ハードウェア・ソフトウェアに重点を置いた実装技術の出願が着実に増加しており、産業化の初期段階にあたる成長期に入ったと評価される。

IBM・Googleが首位を走る中、中国企業の急成長と新興企業の拡大で競争構造が多様化


主な出願者の動向を見ると、グローバルリーディングカンパニーを中心に特許競争が激化している。2014から2023年の間、IBM(1,120件)・Google(680件)が1位と2位を占め、量子コンピューティング分野の絶対強者として君臨している。この次を、オリジン・クアンタム(605件)、マイクロソフト(404件)、バイドゥ(373件)、イオンキュー(227件)、富士通(184件)、テンセント(177件)、ディーウェイブ(175件)、IQMフィンランド(126件)が続いた。

特にオリジン・クアンタム(131.8%)・バイドゥ(108.4%)・テンセント(91.7%)など中国系企業が90%以上に及ぶ特許出願の増加率を記録したことで急増しており、イオンキュー・ IQMフィンランドなどの新興企業は、独自のハードウェアプラットフォームや顧客合わせ型アーキテクチャ設計など差別化した技術戦略を講じることで国際市場での影響力を拡大している。こうした結果は、量子コンピューティングにおける技術競争が国際IT大手企業に加え、起業初期段階にある企業や新興企業にまで拡散していることを示す指標であり、テクノロジー・エコシステムの多様化と産業化の基盤が急速に拡大していることを指す。

韓国知識財産処のチョン・ジェファン知識財産情報局長は 「米中を中心に世界的に量子技術覇権競争が激化する中、韓国企業が量子産業の成長期において主導権を握るためには、研究開発と特許確保を連携した戦略的アプローチが重要だ」と述べ、「知識財産処は量子コンピューティングを含む先端技術産業かつ新産業分野における特許動向を綿密に検討し、韓国企業が国際市場において競争力を高められるよう、知的財産を基盤にした技術革新への支援を積極的に推進する計画」と付け加えた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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