知的財産ニュース 韓国特許庁、ユーザーフレンドリーの観点で「意匠審査基準」を改正
2025年6月16日
出所: 韓国特許庁
意匠の類否判断基準をユーザーの観点で改善
韓国特許庁は、出願人の利便性向上や権利保護の強化に向け「意匠審査基準」を改正し、6月16日月曜日から施行すると発表した。
改正審査基準の主要内容は、企業や個人、デザイナーなど多くのユーザーからの要望を反映して審査実務の効率性を高め、ユーザーフレンドリーな意匠制度の改善に焦点があてられた。
意匠の類否判断基準の改善
(改正前)類似の意匠が2件以上出願された際に類似する意匠であるにもかかわらず、それぞれ全体意匠と部分意匠※で出願されたことを理由に審査で類似しないと判断され、2件のいずれについても登録査定がなされる事例があった。これにより、類似の意匠に重複して権利が取得されることや、先願の出願人の権利が侵害される問題などが発生した。
※部分意匠制度:物品の一部の意匠を保護する制度
<全体意匠と部分意匠の類否判断>
(改正後)意匠審査時に最も重要な類否判断基準が改善される。改正審査基準では2件以上の類似の意匠が出願された際に全体意匠か部分意匠という出願の形式にかかわらず、意匠の実質的な類似性を判断することで類似の意匠が登録される事態を防ぐ。
意匠の説明記載の簡素化
(改正前)意匠登録出願の願書には意匠を明確に表すための「図面」と「意匠の説明」を記載する必要があるが、「意匠の説明」に材質や用途などについて慣行的に記載する不便があった。
(改正後)改正審査基準では審査官が出願された意匠を十分に理解できる場合には、材質や用途などについて記載がないことは拒絶理由に該当しないため、出願人の利便性が高まった。
自動車の内装デザインにかかる図面の作成方法を規定
(改正前)自動車の内装デザインは単に「洗練されたデザイン」というより、消費者のライフスタイルや利便性、感性、エクスペリエンスなどに影響を与え、ブレンド価値にもつながるポイントとなるため、消費者が自動車を選ぶ際に欠かせない要素になるが、そのデザイン性について明確な審査基準が定められていなかった。
(改正後)改正審査基準では、メーターパネル、ハンドル、ダッシュボード、センターコンソール、センターコンソール、椅子などで構成される車の内装デザインの組み合わせについて登録要件を具体的に示した。
特許庁の商標デザイン審査局長は「今回の審査基準改正はユーザーの意見を制度に反映していることに意義がある。今後も出願人の利便性を高めて不要な手続きを見直し、意匠審査の実効性を高めるために引き続きユーザーとのコミュニケーションをとっていく」と述べた。
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