知的財産ニュース 韓国特許庁、優先審査分野にバイオ・AI・先端ロボット技術を追加…4大国家先端戦略産業全てが対象
2025年1月16日
出所: 韓国特許庁
2月19日から優先審査対象に指定…最短2月内に一次審査結果通知
2月19日水曜日から特許優先審査の対象が従来の半導体、ディスプレイ、二次電池分野に続きバイオ、人工知能(AI)、先端ロボット分野まで拡大される。これにより、平均18月以上かかる同分野の審査処理期間が最短2月内に短縮されるとみられる。
特許庁長は16日、韓国企業の技術競争力の早期確保を支援し、海外市場進出の活性化を図るために、審査処理期間※の短縮を柱とする「2025年特許審査処理計画」を発表した。
※審査請求後、一次審査結果の通知(First Office Action)までの期間
バイオ、人工知能、先端ロボット分野を優先審査対象に指定(2月19日)…最短2月内に審査処理
韓国企業の先端技術における早期権利化や主要国における迅速な特許権確保を支援するために優先審査制度を拡大して運用する。2月19日水曜日からバイト、AI、先端ロボット分野を優先審査対象に新しく指定する。これにより、4大国家先端戦略産業※のすべてが優先審査対象となる。カーボンニュートラルに関わる水素基盤技術なども優先審査対象に追加される。
※半導体(2022年11月~)、ディスプレイ(2023年11月~)、二次電池(2024年~)、バイオ(2025年2月19日)
半導体・ディスプレイ分野は優先審査制度の導入(2022年11月)後、審査の平均処理期間が1.6月(2024年12月末時点)かかっている※ことがわかった。バイオ、AI、先端ロボット分野についても韓国企業が早期に特許権を確保できる効果が期待される。
※半導体・ディスプレイ分野の審査処理期間は13.7月(2024年12月末時点)
これまで特許庁は関係部処と協力して、半導体67名(2023年~2024年)、二次電池38名(2024年6月)など先端産業分野の審査人員を増員し、今年はバイオ(35名)、AI(9名)、先端ロボット(16名)分野で60名の民間専門家を審査官に採用する計画だ。
優先審査対象を半導体、ディスプレイ、二次電池分野に続き、バイオ、AI、先端ロボットなど先端産業分野まで拡大し、審査官を増員することで、世界市場において韓国企業が早期に主導権を確保できると期待される。
国際特許出願の基礎となる国内出願を優先して処理…世界的に特許権確保の加速化へ
審査処理期間を短縮し、韓国企業が世界的に特許権を早期確保できるよう審査処理手続きを見直す。
国際特許出願(PCT※出願)の基礎となる国内出願を優先して処理することで、後の国際出願の円滑な手続きのために制度を改善する。また、特許審査ハイウェイ(PPH※※)出願の処理期限を4月から3月に短縮する。これは、米国、日本が現在運用するPPH改善策と連携され、当該国に進出する韓国企業が早期に権利確保できる効果が期待される(2025年1月)
※PCT(Patent Cooperation Treaty、国際出願制度):条約に基づき一つの願書を提出すればPCT加盟国(158か国)において同一の出願をした効果を与える制度
※※PPH(Patent Prosecution Highway):先行庁による審査結果を基に後続庁においても早期審査が受けられる両国間の審査協力のスキーム
拒絶査定後に不服審判を請求する代わりに申請できる再審査の処理期限を現行の1月から6月に延長して審査処理の対象を拡大する(2025年4月)。分割出願※における審査の順番についても変更する。これまでは原出願(分割する前のものの出願)の審査請求の順番に合わせて分割出願を早期に審査したが、これからは米国・日本など主要国と同じく分割出願の審査請求の順番に応じて審査をする(2025年1月)。
※出願人が特許出願戦略の変更などを理由にもとの出願を新しく分割して出願する制度
特許庁、資源を最大限活用して特許審査処理に取り組む
特許庁は全庁を挙げた取り組みで管理職級の業務量を拡大するなど資源を最大限活用して審査処理に集中する方針だ。
管理職級(審査部処長、チーム長)審査官一人あたりの審査量を2025年に一時的に拡大する。審査官による職権補正※を活性化し、煩雑な行政手続きを最小限に抑えて出願人の負担を緩和する。また、審査処理期間をより効率よく管理するために関係部処との協力により、審査官の増員にも力を入れる。今回の計画により2024年に16.1月(全体技術分野の基準)にかかっていた審査処理期間が2025年には1月短くなった15.1月と短縮できるとみられる。また、内外の環境変化に柔軟に対応するために、中長期的な観点からみる特許審査サービスの革新方策を年内に確立する考えだ。
※明細書の誤字や単なる誤記などを審査官の職権により補正する制度
特許庁の特許審査企画局長は「特許権の迅速な確保は韓国企業の生存レベルを超えて国家経済に直結する課題である」とし、「今回の計画により、韓国企業が世界市場でより早く特許権を確保し、技術競争力を強化できるとみられる」と述べた。また、「韓国経済の動力や産業発展を支えるために審査のスピードだけではなく、品質の高い審査結果を提供できるよう取り組んでいく」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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