知的財産ニュース 韓国特許法・実用新案法施行規則の一部改正令が11月1日から運用される
2024年10月31日
出所: 韓国特許庁
発明者訂正制度の改善、出願書に発明者識別情報の記載義務化など
韓国特許庁は、特許法・実用新案法施行規則の一部改正令※が11月1日金曜日から施行されると発表した。
※特許法施行規則の一部改正令[産業通商資源部令第579号、2024年10月31日改正]
実用新案法施行規則の一部改正令[産業通商資源部令第580号、2024年10月31日改正]
今回の改正は、真の発明者を記載する発明者訂正制度の改善、正確な発明者の識別情報(国籍、居住国など)の記載、分割出願の審査順位に関する規定の行政規則への委任などが主な内容である。
発明者訂正制度の改善(発明者訂正時期の制限、証明書類の提出要求)
発明能力のない者を審査官による審査手続きが終わった後に発明者に追加するなどの悪用を防ぐために発明者訂正制度を見直した。真の発明者の記載を目的にいつでも可能であった発明者の訂正時期を一部制限し、設定登録後のみ提出が求められていた証明書類を審査官による審査手続き段階においても提出するよう見直した。
つまり、特許出願人は特許査定から設定登録前までの期間には発明者を追加することができず、発明者の改名、単なる記載ミス、住所変更など発明者の同一性が維持される場合に限り発明者を訂正することができる。(特許出願から特許査定までと、設定登録以降には発明者の訂正が可能)
また、審査官による審査手続き段階で発明者を訂正する場合は、訂正理由を記載した事由書、特許出願人および訂正の対象となる発明者が署名または捺印した確認書類※を提出しなければならない。
※例)(訂正前)発明者チャン・ヨンシル、ホン・デヨン→(訂正後)発明者チャン・ヨンシル、チ・ソギョン⇨[確認書類]特許出願人およびホン・デヨン、チ・ソギョンの署名/捺印が必要
当該の改正規定は11月1日以降、発明者の訂正のために書類を提出する場合から適用される。
特許出願書に発明者の識別情報(国籍、居住国など)記載の義務化
「産業財産情報の管理及び活用促進に関する法律」が今年8月7日から改正・施行されたことにより、発明者情報を正確に管理する目的で、特許出願書に発明者の「国籍」、「居住国(住所欄に記載されている国)」を必ず記載するように見直した。国籍、居住国のいずれもアルファベット2桁の国名コードを記載すればよい。発明者の国籍を証明するための国籍証明書などの証明書類の提出は必要ない。これは11月1日以降提出される書類から適用される。
分割出願の審査順位に関する規定を行政規則に委任
変化する審査環境に柔軟に対応できるよう分割出願※の審査順位に関する規定を行政規則(特許・実用新案の審査事務取扱規定)に委任した。11月1日時点、審査順位がすでに付与された出願に対しても適用する。
※原出願に二つ以上の発明が含まれている場合、その一部を別の出願に分割すること
特許庁は2025年1月1日施行を目途に分割出願の審査は、原出願の審査請求順ではなく、分割出願の審査請求順とする内容に行政規則の改正を進めている。
現行制度の運営上現れた一部の不備の改善
積極的な行政活動の一環として出願人が多く利用する国際出願後の補正手続き時の添付書類である補正書の提出書類を3部から1部に緩和するなど特許協力条約(PCT、Patent Cooperation Treaty)の記載事項に関わる改善点を反映するなど現行制度の運営上現れた一部の不備を改善した。
特許庁の特許審査企画局長は「特許法の根幹は憲法第22条で定めている通り発明者の権利を保護することである」とし、「今回の改正により、特許出願時から真の発明者を記載することで明確な権利関係の確定などに活用されることを期待する」と述べた。
今回の一部改正令は特許庁または法制処国家法令情報センター
にて確認できる。
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