知的財産ニュース 建設用3Dプリンティング技術の特許出願件数の伸び率、この5年間韓国がトップ

2024年10月28日
出所: 韓国特許庁

3Dプリンティングを用いた建設技術の特許出願件数が世界でこの10年間年平均45.3%増加


#19世紀、鉄筋コンクリートの発明※は現代の都市風景や生活の土台となった。3Dプリンティング技術は建設現場の自動化、建設廃棄物発生量の最小化など未来の生活を変える先進的な建設技術として注目されており、関連技術の特許出願件数も増加傾向にある。
※François Coignet:世界初鉄筋コンクリートを用いた建物の建設(1853)、特許権取得(1855)
#3Dプリンティングを用いた建設技術は、平面図の線に沿ってセメントといった建設材料が歯磨き粉のように絞り出されて建物の断面を造り、断面を積層して建物を造る積層造形建設技術である。非定型曲線など自由なデザイン、人員削減など低コストかつ迅速であり、建築廃棄物がほぼ発生しないというメリットがある。
#世界の3Dプリンティング建設市場は、2022年34億ドル(4.7兆ウォン)から年平均65%ずつ急成長して2032年には5,000億ドル(716兆ウォン)に達すると見込まれる。
※PrecedenceResearch, ‘3D Printing Construnction Market Size 2024 to 2032’

韓国特許庁は、主要国特許庁(IP5:韓国、米国、中国、欧州連合(EU)、日本)に出願された世界の特許を分析したところ、3Dプリンティングを用いた建設技術の出願件数がこの10年間(2012年~2021年)年平均45.3%増えている中、韓国がここ5年間(2017年~2021年)の出願件数伸び率トップとなっていると発表した。

特許庁によると、2012年に出願された建設用3Dプリンティング技術は8件にとどまっていたが、年平均45.3%ずつ増え2021年には231件と増加している。とりわけ、2014年から出願件数が急増しているが、これは2014年前後に主要国が3Dプリンティング産業に対する支援政策を打ち出したことによる効果※だとみられる。
※韓国:3Dプリンティング産業発展戦略の策定(2014年)、アメリア:元オバマ大統領が3Dプリンティング技術を製造分野で革命を起こす主役になると言及(2013年)、中国:国家3Dプリンティング産業発展推進計画の策定(2015年)

国籍別の出願動向:韓国、この5年間出願件数伸び率トップ

この10年間、最も多く出願した国は中国(38.6%、533件)であり、その次はアメリカ(20%、276件)である。韓国は12.1%(167件)と3位となっているが、この5年間の伸び率は最も高く(年平均13%)、今後も一段と成長していくことが期待される。

出願人の動向:韓国、産学研でバランスの取れた出願動向がみられる中、中小・ベンチャー企業の活躍が目立つ

出願人の割合を分析したところ、企業が研究・開発をリード(68.5%)していることがわかった。とりわけ、アメリカ(83.3%)、ドイツ(97%)、フランス(96.4%)は企業の割合が大きくなっている。韓国は企業(34.7%)、大学(30.5%)、個人(17.4%)、公共(17.4%)などさまざまなタイプの出願人による研究・開発が行われていることがわかった。

出願件数が多い順でみると、1位SIKA(3.6%、50件、スイス)、2位GE(3.5%、49件、アメリカ)、3位中国建築CSCEC(3%、42件、中国)など建設業界が多くなっている。韓国の出願人では、19位建設技術研究院(0.9%、13件)、21位延世(ヨンセ)大学(0.7%、10件)、42位世宗(セジョン)大学(0.4%、6件)、50位HISYSおよびD1TECH(それぞれ0.4%、5件)など研究所、大学、企業による出願がバランスよくなされている。その中でも3Dプリンティング技術を専門に扱う中小・ベンチャー企業の活躍が目立つ。

特許庁のスマート製造審査チーム長は、「建設用3Dプリンティング技術は、建築廃棄物がほとんど発生しない環境にやさしい建設手法であり、月面や海底など人が容易に接近できない環境でも構造物を造ることができる未来先進技術として注目されている。同分野で韓国が市場をリードしていけるよう、品質の高い審査はもちろん、関連分野の特許統計資料の提供など産業界への支援に取り組む」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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