知的財産ニュース 韓国特許庁、韓国企業苦しめる海外『NPE』への対応策を発表
2023年3月24日
出所: 韓国特許庁
NPEとの特許紛争による韓国企業の輸出リスク緩和を期待する
国家知識財産委員会、「海外NPE特許紛争支援策」を議決
- 彼を知り己を知れば百戦殆からず:NPE(特許不実施主体)の特許情報分析から買取り活動まで、詳細情報を提供する
- 集中支援:半導体など、韓国の主力産業での特許紛争に政府の支援を集中させる
- ブーメラン効果の防止:特許のブーメラン効果を防止するための指針など、管理体系を設ける
- 防御から攻撃へ:優秀特許と韓国NPEを通じて、韓国も知的財産の収益化を推進する
政府は3月23日木曜日16時15分、ハン・ドクス総理の主催で、政府ソウル庁舎で第33次国家知識財産委員会を開き、「海外NPE特許紛争支援策」を議決した。
韓国企業への影響
今後、韓国企業の海外輸出でNPE(※)との特許紛争による輸出リスクが下がると期待される。今回の対策により、①韓国企業が海外NPEのハイリスク特許を事前に把握して特許紛争に前もって備えることができ、②半導体など、韓国の主力産業での海外NPEの攻撃に対する防御能力も高まるとみられる。また、③大学・公共研究機関の特許が海外に売却された後、NPEの訴訟として返ってきて韓国企業を攻撃する、いわゆるブーメラン効果の特許事例も減ると予想される。加えて、海外NPEに対する防御的な対応を超え、韓国も海外から積極的に特許収益を確保できるきっかけになるものと見通す。
※NPE(Non-Practicing Entity)とは、保有している特許権をもって製造や販売などの生産活動を直接せずに、特許権の行使(ライセンス、損害賠償訴訟)によって収益を上げる企業を意味する
推進の背景
韓国企業に対する海外NPEの特許訴訟が2019年90件から2022年126件に増加しているため、韓国企業の負担が増しており、海外に売却された特許がNPEの訴訟として返ってくるブーメラン特許も発生している状況である。特許侵害訴訟は当該国での製品販売を禁止させることもできるが、韓国企業の主要輸出市場である米国でNPEの特許侵害訴訟の約95%が発生していることから、海外輸出に大きなリスクとなっている。また、米国は損害賠償額と訴訟費用が韓国に比べてはるかに高く(※)、訴えられた企業の負担が大きい方である。
※(損害賠償額の中央値)米国69億ウォンVS韓国1億ウォン
(1審訴訟費用の平均値)米国11.5~69億ウォンVS韓国1.7~4.6億ウォン
主な推進内容
そのため、韓国特許庁は、韓国企業の海外NPEとの特許紛争を支援するための総合対策として、関係政府機関と共に4大戦略、14の推進課題を策定した。今回の対策の主な内容は次のとおりである。
戦略1.海外NPEの活動動向に関する情報提供を強化する
特許分析の結果、海外NPEが韓国企業を対象とした訴訟に使用した特許は、一般訴訟に使用された特許権より平均的に「被引用数」と「ファミリー特許(※)数」がはるかに高いという特徴を示した。政府は、このようなNPE訴訟特許の特性データを利用して紛争ハイリスクの特許情報を提供し、産業別に紛争リスクを早期に警報するサービスを今月末に開始する予定である。
※一つの特許が複数の国に出願される場合、各国に出願された特許をいう
| 紛争ハイリスク特許情報の提供 | 産業別紛争リスクの警報 |
|---|---|
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海外NPEは、特許訴訟前の事前作業として特許を新規で買い取るか、買い取った特許権の権利範囲を再設定(Reissue)する傾向がある。このような特異動向をモニタリングした上で特許リスクを分析し、韓国企業に先行的に提供する案も年内に推進する計画である。
戦略2.海外NPEとの特許紛争頻発産業を集中的に支援する
米国での訴訟を基準にすると、韓国企業とNPEの特許紛争の約85%が情報通信と電気電子分野に集中している。このような現実に合わせて、特許紛争対応戦略コンサルティング(※)など、NPEとの特許紛争が頻繁な産業分野に政府支援事業を集中的に提供する。海外NPEは訴訟収益の最大化のため多数の企業を同時に攻撃するだけに(※※)、個別対応ではなく共通紛争争点企業が共同で対応できるよう、半導体等主要産業分野の協会・団体との協力体系も強化していく。
※特許侵害分析(相対特許への侵害有無)、紛争特許の無効化・回避設計、警告状への対応、訴訟防御、ライセンスの交渉戦略など
※※直近5年間(2018~2022)、同一のNPE特許に対する多数の韓国企業の共同提訴事例は41件
戦略3.ブーメラン特許は防ぎ、戦略4.韓国も海外からの特許収益の創出を推進する
大学・公共研究機関の特許がブーメランとして返ってくる状況を防止するために、海外へ特許を移転する際の韓国企業に対する保護装置を設けるよう実務指針(※)を提供し、自主審議委員会の構築を推進する。また、海外NPEに対する防御的な対応から脱し、韓国も海外から特許収益を積極的に創出する必要がある。このため、政府は、海外企業により特許権を侵害された韓国企業が積極的に権利を行使して収益を創出できるよう、韓国投資会社の訴訟投資または韓国NPEへの訴訟委託(アウトソーシング)の誘致を支援する。
※国内企業不提訴特約、国内企業提訴時に移転機関の同意などの契約文言を提供する
特許庁長は、「本日議論された『海外NPE特許紛争支援策』を迅速に推進し、海外NPEとの特許紛争により韓国企業の海外輸出に支障がないよう全ての支援を集中する」と述べた。
添付:韓国企業を相手にしたNPE特許訴訟の現況(2018~2022年、米国1審基準)
【年度別推移】韓国企業とNPEの特許紛争は、最近、増加傾向にある
韓国企業を相手にしたNPEの訴訟は2019年90件で底を打ったが、2021年149件に増加した。2022年はやや減少傾向にある。
※米国NPE特許訴訟の国別の割合:米国47%、中国21%、韓国10%の順(2022年1~11月、5件以上訴えられた企業基準)
NPE特許訴訟(件)

【技術分野】韓国企業・NPEの紛争は、情報通信・電気電子分野に集中している (6大産業)情報通信46%(284件)、電気電子39%(239件)に特許訴訟が集中しており、化学・バイオ分野でのNPE特許訴訟は0件である。
6大産業分類別の割合

NPE訴訟特許の特徴
NPEが韓国企業訴訟時に使用した特許(赤い丸●)の被引用数/ファミリー特許数(53回/9.4件)は、NPEの非訴訟特許(赤い三角▲)(28回/1.9件)を大きく上回る。
【ブーメラン特許】
直近10年間(2013~2022)、海外NPEが韓国企業との特許訴訟に活用した特許1,317件のうち52件(※)(3.9%)は韓国技術がNPEに移転したものである。
※特許の出所:大企業30件、中小企業・個人11件、大学・公共研究機関11件
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、徐(ソ)、權(クォン)(いずれも日本語可)
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195





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