知的財産ニュース 産業財産権紛争、裁判所訴訟から紛争調停へ
2022年12月14日
出所: 韓国特許庁
韓国特許庁・ソウル中央地裁・韓国知識財産保護院
調停制度の活性化に向けた業務提携を締結
来年からソウル中央地方裁判所に受け付けられた特許・商標権などの産業財産権および営業秘密・不正競争行為に関する紛争を韓国特許庁の「産業財産権紛争調停委員会」を通じて調停できるようになった。特許庁とソウル中央地方裁判所、韓国知識財産保護院は、12月14日水曜日11時、ソウル中央地方裁判所の会議室で「裁判所連携型調停(※)」を実施することを主な内容とする「調停制度の発展と活性化に向けた業務提携」を締結した。
※裁判所の本案裁判部が弁論期日の前または本格的な裁判開始の前に事件を紛争解決機関に調停回付すると、外部の専門家が主導して調停を行う制度
今回の業務提携により、ソウル中央地裁は、受け付けられた事件のうち知的財産の専門性が求められ、調停を通じて解決することに適する事件を産業財産権紛争調停委員会に連携し、紛争調停委員会は、知的財産分野別の専門家でつくる調停部を構成して調停手続きを進めることになる。このような過程を経て調停が成立した場合、訴訟を継続する場合に負担することになる莫大な訴訟費用と時間を節約できる。
このほか、3機関は調停制度の発展と活性化に向け、調停委員の教育時に相互協力し、調停関連情報や資料を共有するなど、積極的に協力する予定である。
特許庁長は、「全国の地方裁判所のうち知的財産事件を最も多く受付・処理する地方裁判所のソウル中央地裁と業務提携を締結することになり、意義深い」とし、「より多くの知財権紛争事件が調停を通じて速やかに解決されることを期待する」と述べた。
ソウル中央地方裁判所長は、「当事者が専門性のある調停委員を通じて迅速で満足できる結果が得られることを期待する」とし、「裁判所と特許庁とも知的財産権紛争解決のノウハウを積む大切なきっかけになることを期待する」と話した。
韓国知識財産保護院長は、「今回の業務提携締結を通じて知的財産分野の調停制度が一層活性化すると期待される」とし、「紛争調停委員会事務局を運営している知識財産保護院は、紛争調停委員会が円滑に運営されるよう積極的にサポートしていきたい」と語った。
一方、産業財産権紛争調停委員会は、産業財産権(特許・商標・デザイン・実用新案権)および職務発明、営業秘密、不正競争行為などの紛争を迅速・経済的に解決できるよう支援するために1995年に特許庁で設立した委員会で、調停を申し込めば、別途の申込費用なしに3か月以内に専門家による調停結果を受けることができ、厳しい経済状況の下、個人・中小企業からの関心が高まっている。
また、産業財産権などの紛争により困っている場合は、個別的にも紛争調停の申込が可能である。知的財産保護院の産業財産権紛争調停委員会事務局から申込書をダウンロードして調停を申し込むことができる。申込書の作成に困っている場合、産業財産権紛争調停委員会事務局(1670-9779)を通じて詳細な案内と支援を受けることができる。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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