知的財産ニュース 室内空気質管理の特許出願、最近10年間年平均15%に増加

2022年6月19日
出所: 韓国特許庁

「科学防疫」、室内空気質管理技術をリードする

「新型コロナウイルスの拡大により室内換気の必要性が重要となり、このような環境が特許出願につながる一方、室内空気質管理基準の強化(環境部、2016年)と共同住宅における換気システムの設置義務の拡大(国土交通部、2020年)などが複合的に作用したものと見られる」

韓国特許庁によると、室内空気質(IAQ)管理装置(※)に関する特許出願が最近10年間(2012~2021年)年平均15%増加し、特に新型コロナウイルス以降は年間1千件以上出願され、大きく増加したことが分かった。
※室内空気質(IAQ:Internal Air Quality)管理装置:室内空気中の異物を浄化する「空気清浄機」と外の空気を室内に循環させて交換する「換気システム」で構成されている。

室内空気質管理装置は、空気清浄機と換気システムに区分される。空気清浄機の出願件数は最近5年間(2017~2021年)年平均18%に増加し、換気システムの出願件数は最近5年間(2017~2021年)年平均32%に増加した。

密閉された室内で空気を浄化する空気清浄機に比べて室内外の空気を交換する換気システムの特許出願が急激に増加したことが明らかになり、室内空気質管理技術の重心が浄化から換気に移動していることが分かった。

室内空気質管理装置に関する出願は(2017~2021年)、中小企業と個人がリードしていると調査された。中小企業が1,901件、個人が1,567件、大企業が586件、研究所・学校が203件の順である。

これは、室内空気質管理装置が生活必需品として位置づけられ、市場規模が持続的に拡大すると予想(※)される中で、アクセシビリティの高い技術に対して個人と中小企業が知財権競争力の強化に力を入れているように見える。
※室内空気質管理市場は5年間(2021~2026年)約17兆ウォン規模に成長(年平均8.28%)すると予想(英国市場調査機関Technavio社)

韓国国内出願の多出願人を見ると、LG電子が372件、COWAYが72件、サムスン電子が52件、KYUNGDONG NAVIENが44件、WINIAが42件などの順であり、LG電子が室内空気質管理装置に関する出願をリードしていることが分かる。

一方、室内空気の温度や湿度を管理した従来の空調装置との境界が消えている点も注目される。

単なる空気清浄機能だけを行うのではなく、室内外の空気を交換し、温度・湿度まで管理する融合型空気質管理装置に関する出願が増えており、密閉された空間の空気を繰り返し循環させる空気清浄機やエアコンなどの限界を克服できるものと期待される。

韓国特許庁の建設技術審査課の審査官は「室内空気質管理はポストコロナ時代に向けて国民の健康な日常を回復するためのコア要素である」とし、「政府の科学防疫システムに合わせて、韓国企業が強い特許を確保して国際競争力を高めるように特許行政の能力を強化する」と述べた。

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