知的財産ニュース 合成皮革、動物福祉にエコを加える

2022年5月30日
出所: 韓国特許庁

合成皮革「エコ技術」の特許出願、年平均20%増加

動物福祉の観点から、天然皮革の代替材として注目されてきた合成皮革にエコブームが起きている。合成皮革の製造に使われる毒性化学物質と石油由来の材料のため環境汚染問題が台頭してきたが、それをエコ特許技術で克服しているわけである。

韓国特許庁によると、動物福祉への関心が高まり、合成皮革関連の特許出願全体は最近10年間(2010~2019)年平均14%増加し続けたことがわかった。そのうち「エコ技術」に関する特許出願は4件から20件へと5倍(年平均20%)増加し、さらに急激な成長ぶりを示した。エコ技術は、2009年革製品に対する有害物質安全基準が制定された以降と2015年改正以降の時期(※)に大幅に増加したことが明らかになっているが、これは、環境規制とエコに対する社会的関心が特許出願に影響を与えたものと解釈される。
※(2009年以降)2010年4件→2012年16件/(2015年以降)2016年7件→2018年34件

合成皮革の細部技術別の特許出願は(2010~2019)、天然皮革模倣技術(47%)、エコ技術(41%)、特異機能付与技術(8%)、ビーガンレザー製造技術(5%)の順となっている。
天然皮革模倣技術は、年平均6%増加して毎年20件前後で着実に出願されており、最も多い出願率を占めている。細かい穴や凹凸を形成して天然皮革のように通気性、伸縮性を高めたり、超極細糸を用いて感触を向上させたりする技術などが出願されている。
特許出願全体の増加をけん引したエコ技術は、有機溶剤最少化技術(97件)、有害物質無添加技術(35件)、リユース/リサイクル技術(9件)、廃水発生防止技術(5件)の順で出願された。
特異機能付与技術には、合成皮革の用途に応じて、光と熱に強くて燃えない機能を追加した自動車内装材用技術、熱を素早く放出するスマートフォンケース用技術、多孔質粒子に抗菌剤が含まれている家具の外装材用技術などがある。
最近多くの関心を集めているビーガンレザー(※)製造技術は、2015年から年間5件前後で出願されており、ビーガンレザーの材料としては、パイナップルの葉、竹、バナナ、海藻エキスなどが使われている。
※ビーガンレザー:果物や葉のような植物性材料などを加工した合成皮革

出願人の類型別には、最近10年間(2010~2019)、大企業(35%)、中小企業(27%)、外国人(24%)、個人(10%)、大学・研究所(4%)の順となっている。韓国国内の主要な出願人としては、コーロン・インダストリーズ(50件)、LXハウシス(43件)、KURARAY(26件)、TORAY(17件)、コーロン・グロテック(14件)、DIC(13件)、現代自動車(12件)などがある。近年、大学・研究所の出願が増加しており、企業の参入と活発な技術開発によって合成皮革市場が一層拡大するものと予想される。

世界の合成皮革市場の展望

一方、世界の合成皮革市場は、2020年626億ドル(約80兆ウォン)から2027年853億ドル(約110兆ウォン)に成長し、年平均4.54%の成長率になる見通しである。
※Maximize Market Research「Global Industry Analysis and Forecast(2021~2027)Trends, Statistics, Dynamics, Segmentation by Type, Application, and Region」報告書

特許庁の住居基盤審査課審査官は「合成皮革の特許技術は動物福祉とエコともに考慮された『エコ合成皮革技術』を中心にさらに成長する」と予想されるとし、「合成皮革の材料、生産、廃棄まですべての過程が環境にやさしく行われるよう新しい技術の開発に力を入れなければならない」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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