知的財産ニュース 衣類ケア家電分野の特許出願、韓国が世界1位

2022年4月25日
出所: 韓国特許庁

LG電子1位、サムスン電子2位、COWAY3位等、K新家電が世界市場を主導

最近、新型コロナウイルスの影響で衛生と健康への関心が高まっている中、毎日着る服を衛生的かつ手軽に管理できる衣類ケア家電市場が爆発的に成長し(※)、関連特許出願も活気を帯びている。
※韓国国内の市場規模は294億ウォン(2015年)→3937億ウォン(2020年)と、5年間で13倍増加、海外発売国は3か国(2015年)→20か国(2020年)と、7倍増加(LG電子提供資料)
韓国特許庁は、韓国をはじめとする米国、中国、欧州、日本等の世界5大特許庁(IP5)での衣類ケア家電の特許出願は、韓国国内に初の製品が発売された2011年以来9年間(2011~2019)年平均27%増加したと発表した。

LG電子が初めて衣類ケア家電を発売した当初は、市場で大きく注目されなかった。ところが、家で毎日手軽に服を管理できるという口コミが広がり、PM2.5が深刻な社会問題として台頭することで、衣類ケア家電が大いに人気を集めるようになった。それに伴って国内外の競合他社も市場に本格的に参入した。

特許の面から見ると、初期には年間30件前後で出願されていたが、2015年に87件が出願されてから着実に増え続け、2019年には225件が出願された。2015年から特許出願が大幅に増加しているのは、市場に参入しようとする後発企業と主導権を維持しようとする先発企業ともに特許確保に積極的に乗り出しているためと分析される。

世界5大特許庁(IP5)の国別特許出願の動向を見ると、全出願786件のうち、韓国の出願人が642件(82%)を出願して圧倒的な世界1位であり、中国69件(9%)、欧州46件(6%)の順である。韓国企業は国内出願件の大部分を海外にも出願し、国内出願対する国外出願の割合(※)が90%に上る。
※国内出願338件のうち国外出願304件

主要多出願企業の技術別出願の動向を見ると、世界1位のLG電子は、衣類ケア家電の内外構造(キャビネット内外の細部構造)に対する出願が136件、衣類固定手段の構造(ハンガーに振動を与えてほこりを払うムービングハンガーとズボンのタックを取るためのプレッサー)関連出願が123件、エアスチーム供給技術(スチームと熱風の供給をコントロールするためのエアスチーム供給技術)の出願が101件を占め、衣類ケア家電技術全般にわたってしっかりと特許の壁を築いていることがわかった。最近は、衣類の汚染度やしわの程度を自動で感知し、最適の衣類ケアコースを実行する知能型衣類ケア技術も44件を出願し、情報通信(IT)融合・複合特許の確保にも積極的に取り組んでいる。

2位のサムスン電子は、ハンガーの振動の代わりに強力な風を吹き出してほこりとしわをなくすエアスチーム供給技術に対する出願が41件と最も多く、3位のCOWAYは、他の出願人に比べて室内除湿清浄技術と関連して最も多い8件を出願した。一方、中国のハイアールは、オゾンを活用した消臭芳香殺菌技術を31件出願し、先発企業とは一味違う技術の開発に集中していることを示している。

特許庁の家電製品審査課審査官は「衣類ケア家電のようにイノベイティブで新しい家電については、エアフライヤーの事例を教訓とする必要がある。オランダのP社は、世界で初めてエアフライヤーを開発し発売したが、「airfryer」の商標を独占的に使用できず、競合他社の特許侵害も認められなかった」とし、「韓国企業が衣類ケア家電に次いでシューズケア家電、植物栽培器、ビール製造マシンなどのK新家電製品を世界市場に披露するのは、韓国企業のクリエイティブなアイデアが目立つ前向きな現象だ。これに加えて、市場が爆発的に成長した後も優位を保つためには、知的財産権の管理がとても重要だ」と強調した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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