知的財産ニュース 特許庁、零細事業者と中小企業を支援するために積極的な行政サービスを提供

2021年10月5日
出所: 韓国特許庁

2021年下半期積極行政の優秀事例を選定

  • 小規模のアイスクリーム店を運営するA氏は、自分の商号を他人が模倣して優先出願した件について、どう対応すべきか悩んでいた。しかし、特許庁の被害申告ウェブサイトに相談内容を受け付け、商標盗用に対する法的対応策と商標出願方法に対する詳細な案内を受けることができ、商標出願費用の支援も受けることができるようになった。
  • IP担保融資を受けて事業化資金に活用していたB企業は、最近経営に困っていたため法院で回生手続(日本の更生手続に相当する。)を申し立てたが、債務を返済する資金がなくて回生手続の進行(回生計画案に対する法院の認可が必要)が滞っていた。しかし、特許庁の「IP担保融資の回生企業支援プログラム」を活用し、事業に必要な特許を継続して使用しながらも、一定の債務を返済して回生計画の法院の認可を前倒しすることで、経営正常化の第一歩を踏み出すことができた。

韓国特許庁は、外部の専門家で構成された積極行政委員会の審査を経て、計3件の「2021年下半期積極行政の優秀事例」を選定したと発表した。

まず、最優秀賞(悪意的な商標の先取り行為の防止)には、頻繁に発生している商標の先取り行為について、零細事業者が自分の商標を守り、紛争に対応できるように支援した事例が選定された。

放送でも紹介された「ドプジュク」の事例のように、他人が築いてきた信頼関係にただ乗りする模倣商標出願のため、零細事業者の被害が後を絶たない。

特許庁は、このような被害を防ぐために、商標の盗用が疑われる出願の審査を強化し、自治体と協力して正当に商標を使用する零細事業者が商標権を確保できるように出願費用を支援する。

それとともに、商標盗用の被害が発生した場合、事例別の対応方法を案内し、公益弁理士を通じて無償で訴訟に対応することができるようにした。

一方、優秀賞(特許担保融資の回生企業支援プログラム)は、特許権を担保にして融資を受けた企業が経営危機から回復できるように、法院、銀行と連携した事例である。

法院に回生手続を申請した企業が担保として設定された自分の特許権を特許庁(回収支援機構)に処分して債務を返済する。そして、処分した特許を低価格で賃貸し、事業を続けることができるようにした。

※回生手続:法院の管理の下、企業に対して行われるリストラおよび債務返済の手続き
※※回生手続を実施する企業は、韓国の「債務者回生法」に基づいて資産の任意処分が禁止される。また、売却先の確保および法院認可の困難などによって、実際にIP担保を活用することは難しい。

それ以外にも奨励賞(国際知財権紛争対応の支援)には、「知財権紛争対応センター」を設立して、全世界の特許紛争を事前に把握し、韓国企業がそれに備えて戦略を立てることができるように支援した事例が選ばれた。

特に、素材・部品・設備分野については、KAIST教授などで構成された「特許紛争における技術諮問団」を運営するなど、特化された支援が注目を受けた。

※KAISTの技術分野別の教授(150人)で構成、素材・部品・設備関連企業の5社に知財権紛争のリスク診断および技術諮問を非対面相談方式で提供

特許庁長は、「今後もコロナ禍で苦しんでいる国民と企業の立場から考えて、どんな些細な不便でも見逃さないように最善を尽くす」と述べた。

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