知的財産ニュース 特許庁-ソウル回生法院、回生企業支援のための業務協約締結

2021年9月10日
出所: 韓国特許庁

特許庁、回生企業の担保の知的財産権(IP)を買い取り、債務返済資金を支援し、企業経営の継続のための通常実施権及び再購買優先権も付与

「事例」
IP担保融資を受けて事業化資金として活用したA企業は、最近の新型コロナウイルスの影響などにより経営が難しくなり、法院の回生手続き(※)を申請したが、経営正常化のための回生計画の認可を受けるのは容易ではなかった。そのためには、一定水準の債務返済を前提にした債権者の同意が必ず必要であったからだ。しかし、今回導入された特許庁の「担保特許買い取り後の賃貸(Sales & License Back)プログラム(以下、「SLBプログラム」)を通じ、A企業は事業推進に必要な特許を継続に使用しつつ、債務を返済して回生計画の法院認可を繰り上げることで経営正常化にさらに一歩近づくことができた。

※回生手続き:法院の管理下で行われる企業のリストラ及び債務返済の手続き

特許庁とソウル回生法院は、9月10日(金曜)午前10時にソウル回生法院(以下、「回生法院」)において、「回生企業の知的財産権(IP)活用拡大などのための業務協約」を締結したと発表した。

業務協約は、さまざまな事由(※)により事実上活用が難しい回生企業(※※)の担保IPを特許庁に迅速に処分するようにする積極行政を通じて、企業の経営正常化を支援するために行われた。

※回生企業は、債務者改正法に基づいて資産の任意処分が禁止され、売却先の確保及び法院認可の困難などにより、事実上、担保IPの活用が容易でなかった。

※※IP担保融資の回生企業状況:(2020年)5社→(2021年上半期)10社

今回の協力により設定された回生企業の支援方案(SLBプログラム)によると、回生法院は、債務返済のための企業の担保IP処分申請を迅速に許可し、特許庁はこれを買い取って回生計画の早期認可を支援する。

また、企業は低費用※でIPを継続して使用し、再購入の優先権についても保障を受け、回生に実質的に助けとなる。

※既存の融資金利の1/2に管理費用を加えた水準の低い費用で特許の実施が可能

「回生企業の経営正常化のための「SLBプログラム」推進手続き」 回生法院は、債務返済のための企業の担保IP処分申請を迅速に許可し、特許庁はこれを買い取って回生計画の早期認可を支援する。

過去、両機関は破産企業のIP取引を促進するための協約を締結したことがあり、今回の協約締結により支援対象を回生企業にまで拡大することになった。

※両機関は2019年6月に「破産企業のIP取引促進のための業務協約」を締結

回生法院長は、「今回の業務協約を通じて回生企業は資産処分の負担を軽くし、債務を返済できるようになり、回生認可の可能性をより高めることができる」とし、「今後、SLBプログラムに対する専担法官を指定するなど、回生企業の支援のために特許庁と積極的に協力する」と述べた。

特許庁長は、「回生法院との議論が具体化した今回のSLBプログラムを通じて、過去の破産企業のIP仲介とともに、倒産危機の企業回生まで実質的に支援できるようになった」とし、「今後もイノベーション中小・ベンチャー企業がIPを活用して事業化資金を用意し、危機状況においてもこれを資産として活用できる政策的な努力を続けていきたい」と述べた。

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