知的財産ニュース 国家的災難の際に中小企業の特許料を減免するなどの内容を盛り込んだ、特許法の改正案が国会本会議を通過

2021年7月26日
出所: 韓国特許庁

「新型コロナウイルス」で苦労している中小企業の特許料負担を緩和する

韓国特許庁は、新型コロナウイルスの拡散のような国家的災難が発生した際に、特許手数料の減免などを行うための特許法の一部改正案が7月23日(金曜)に国会本会議で通過されたと発表した。

今回の改正法は、イ・チョルギュ議員が代表発議し、新型コロナウイルスの拡散などにより苦労している個人、中小企業などの社会的弱者の特許料負担を大幅に削減することで、優秀な発明を保護するためのものである。

これにより、新型コロナウイルスの拡散などにより、「災難および安全管理基本法」における災難事態や特別災難地域に指定された地域で優秀な発明が死蔵されることを防止することができるようになる。

仮に、2020年に新型コロナウイルスの拡散のため、韓国の大邱・慶北地域を特別災難地域と宣言し、それを1年間維持すると同時に改正特許法を適用した場合、1万770(※)の個人、中小企業が減免の優遇を受けることができ、出願1件当たり約30万ウォン(※※)が減免できると想定される。

※大邱‧慶北地域における減免対象:個人6,400人、中小企業4,370社
※※1件当たりの減免額29万5,000ウォン=出願・審査請求料17万6,000ウォン+設定登録料(3年分)11万9,000ウォン

また、実際に提供された審査サービスを基準にして審査請求料を返すことができるように返還の範囲を拡大した。

これまでの審査請求料は、特許庁が先行技術調査を実施していない状態において、審査官が拒絶理由を通知する前に特許出願の取り下げ・放棄をする場合にのみ返還されてきた。

今回の改正法により出願人は審査前(先行技術調査とは関係なく)に出願の取り下げ・放棄をすれば、審査請求料の全額である約45万ウォンを、審査後でも意見提出期間内であれば約15万ウォン(3分の1)を返してもらうことができるようになった。

特許庁も政策的に不要な出願の取り下げ及び放棄を誘導することで、新しい出願に審査リソースを集中することができると判断される。

なお、不当な手数料の減免を制裁するための規定を導入した。これは、実際の発明に貢献していない未成年者を発明者に含めることで、不当に手数料の減免優遇を受ける事例などを防ぐためのものである。

改正法は、手数料の不当な減免が発生した場合、不当な減免額の2倍を徴収し、一定期間の間は他の手数料・特許料についても減免を受けられないように定めることで、手数料体系の公正性を確保した。

特許庁の特許審査企画局長は、「今回の改正により新型コロナウイルスだけではなく、今後発生する国家的災難で苦労する社会的弱者をより積極的に支援することができるようになる」とし、「これからも、特許庁は常に使用者の立場から便宜を図り、公正な特許制度が定着できるように取り組むつもりである」と述べた。

「添付」災難時の手数料減免など、特許法一部改正法の説明資料

改正法の概要

  • 議案番号2105036、2015093、イ・チョルギュ議員など10人発議
  • 提案理由:新型コロナウイルスのような国家的災難の際における社会的弱者の保護、審査請求料の返還範囲の拡大、手数料減免制度の悪用防止、職権補正制度の補完

改正法の主要内容

  1. 災難時における手数料減免(特許法第83条第2項):「災難及び安全管理基本法」による災難事態(第36条)、または特別災難地域(第60条)と宣言された地域、出願人を支援
    減免適用の対象(個人、中小企業など)、減免手数料(出願料、審査請求料、特許料など)などは、「特許料等の徴収規則(産業通商資源部令第410号)」で具体的に規定する計画
  2. 審査請求料の返還範囲を拡大(特許法第84条):出願人の出願取り下げ・放棄が発生した時点を基準に全額または3分の1に該当する審査請求料を返還
    「改正前、後の審査請求料を返還する範囲の変更事項」既存:先行技術調査結果の通知まで返還100%しその後は返還無し、先行技術調査が行われてない状態で拒絶理由通知などまで100%返還しその後は返還無し、改正:先行技術調査結果と無関係で出願を取り下げると100%返還、意見提出期間内では3分の1返還
  3. 不当な手数料の減免を制裁(特許法第83条第4項):不当に受けた減免額の2倍を徴収、一定期間(※)の間は不当に減免を受けた者を手数料の減免対象から排除
    ※特許料等の徴収規則(産業通商資源部令第410号)で期間を定める計画
  4. 誤った職権補正を無効と見なす(特許法第66条の2):審査官が職権補正をした内容のうち、明白に間違っていない事項や新規事項である場合、無効と見なす(※)
    ※特許審判または侵害訴訟の段階で職権補正が最初の段階からなかったものと判断することができる

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