知的財産ニュース 新型コロナワクチンの特許出願、優先審査対象に指定

2021年6月22日
出所: 韓国特許庁

韓国国内企業、新型コロナワクチンに特化した特許16件を出願

韓国のワクチン生産におけるグローバルハブ化を特許の迅速審査が支える

韓国特許庁は新型コロナワクチン分野の特許出願を6月23日(水曜)から1年間、優先審査の対象に指定したと公告した。

今回の優先審査対象の指定は、韓国内での新型コロナワクチン開発や生産を支援するためのものであり、5月の米韓首脳会談で合意された「米韓グローバルワクチンパートナーシップ」に続く措置の一環である。韓国での開発や生産に関わるワクチン技術の特許審査を優先的に処理し、ワクチン企業の迅速な特許取得を支援するのが主な内容である。

今回指定された優先審査の対象は、(1)国家研究開発事業の支援を受けた新型コロナワクチンに関する特許出願、(2)韓国で新型コロナワクチンを生産するか、または臨床などの生産準備をしているワクチン企業の特許出願である。

最近特許庁は、新型コロナウイルスの拡散のような緊急事態に柔軟かつ迅速に備えることができるよう、特許法施行令(6月23日施行)を改正し、特許庁長が優先審査の対象を職権で指定・公告する制度を推進している。

今回新型コロナワクチンの開発と生産技術に対する優先審査対象の指定は、新たに導入した優先審査の職権指定制度を活用した初事例でもある。

※ 「改正特許法施行令第9条(優先審査の対象)第2項第2号」災難による緊急状況に備えるために特許庁長が優先審査の申請期間を定めて公告した対象に該当する特許出願

今回の措置により、これから政府の研究開発(R&D)予算支援により韓国産の新型コロナワクチンを開発する企業または韓国内でワクチンの生産や臨床を進めている企業(※)がより簡単に優先審査を受けることができるようになる。優先審査の対象になると約2ヵ月で特許審査を受けることができる。一般審査と比べると、特許審査にかかる期間を1年早めることができる。(※※)

※サムスンバイオロジックス、SKバイオサイエンス、セルリード、ジェネクシン、ジンウォン生命科学、ユバイオロジックスなど ※※(平均審査着手期間)優先審査:2.2ヵ月/一般審査:13.7ヵ月(2020年基準)

現在臨床を進めている韓国企業による、新型コロナワクチンに特化した特許出願は16件(2021年5月末基準)で確認されており、今後、政府支援などで韓国のワクチン開発が加速すれば、申請対象がより増えると期待している。

特許庁の特許審査企画局長は「韓国産新型コロナワクチンの開発と韓国内生産の拡大を通じたグローバルワクチンハブ化を支援するために、ワクチン関連の特許出願を優先して処理する計画である」とし、「特許庁は新型コロナワクチンの韓国内生産とともに、研究協力の拡大を通じた韓米グローバルワクチンパートナーシップの構築に支障が発生しないよう、新型コロナワクチンに関連する韓国企業を積極的に支援する」と述べた。

「添付」災難時の出願における優先審査指定に関する公告文

特許庁広告第2021-182号

2021年6月23日から施行される「特許法」第61条第3号・同法「施行令」第9条第2項第2号、「実用新案法」第15条・同法施行令第9条第1項および「特許・実用新案優先審査の申請に関する告示」第4条第5号ハ目により、新型コロナワクチンに関する特許出願および実用新案登録出願が優先審査申請の対象に指定されたことを次のように公告します。

2021年6月23日 特許庁長

新型コロナワクチン関連出願に対する優先審査対象の指定
項目 内容
優先審査対象 特許出願および実用新案登録出願のうち、次のいずれかに該当する出願
(1)新型コロナワクチンに関わる国家研究開発事業の結果物に関する出願
(2)韓国で新型コロナワクチンを生産するか、または生産を準備している(※)企業の新型コロナワクチン生産技術に関わる出願
※例)臨床または許可に関する手続きを進行中
申し込み可能な期間 2021年6月23日~2022年6月22日に優先審査が申請された出願
※1年限定で施行した後、延長可否を再検討する予定
優先審査申請料 特許出願20万ウォン/実用新案登録出願10万ウォン
※特許料等の徴収規則第2条第8号および第3条第7号
提出書類(証明内容) 共通提出書類:優先審査申請書および優先審査申請説明書(※)
※優先審査告示第4条第5号ハ目により、優先審査を申請するという事実を記載した説明書
  • 国家研究開発課題の遂行を証明する書類
    例)協約書、研究開発計画書などの研究開発を遂行した機関が出願発明に関する国家研究課題の主管研究開発機関や共同研究開発機関で明示された書類
  • 国内生産(準備)を証明する書類
    例)工場登録証明書、臨床・許可手続きが進行中であることを確認できる書類(食品医薬品安全処のウェブサイトで確認できれば認定)、委託生産契約書の写しなど

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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