知的財産ニュース 青年スタートアップの活性化に向けた「IP(知的財産)創業カンファレンス」を開催

2021年6月17日
出所: 韓国特許庁

法務部・特許庁・大学、青年スタートアップを活性化するために提携

韓国の法務部と特許庁は、6月17日(木曜)15時30分に政府大田庁舎の大会議室で「IP(知的財産)創業カンファレンス」を開催し、青年スタートアップの活性化に向けた業務協約を締結する。

当日の行事には、法務部長官、特許庁長をはじめ、KAIST総長、忠南大学総長、韓南大学総長などが参加し、青年スタートアップに関わる専門家も参加(※)する。

※2021年のIP創業カンファレンスは、新型コロナウイルスの状況を鑑みて、現場への参加者数を最小限に抑え、防疫対策に万全を期して開催。

青年スタートアップは、多くの若者たちに未来への希望を持たせると同時に、韓国経済の持続的な成長と雇用創出(※)にも大きく貢献できる、「破壊的イノベーション」の主体(※※)である。

※2012~2014年間、増加した平均就業者数(26万8,000人)のうち、89.6%は創業後1年以内の企業、17.9%は創業後1~5年の企業に就職(2017年、韓国開発研究院)

※※スタートアップの売上高に対するR&D費用は12.8%で、全体の企業平均である1.7%よりはるかに高い水準(2019年、韓国知識財産研究院)

しかし、韓国の創業企業において5年目になる企業の生存率は29.2%で、OECD平均の41.7%に比べると、まだ低い水準(2018年時点、中小ベンチャー企業部)であり、青年スタートアップのイノベーションに向けた活発な取り組みが成果を上げるためには、知的財産に基づいた青年スタートアップ支援政策について、議論を深める必要がある。

「スタートアップに対する知的財産確保の重要性」

  • スタートアップは最初に特許を登録してから5年間、平均雇用率54.5%・売上高79.5%増(2017、全米経済研究所)
  • スタートアップの成長可能性は、特許保有が特許未保有より35倍増、商標権を創業後1年以内に登録すると、未登録に比べて5倍増(2016年、MIT Innovation Initiative)
  • 特許を保有している創業の成功率は2倍以上高く、ベンチャーキャピタルの投資後10年以内に成功する確率も20%以上高い(2014年、ParisTech)

そこで、法務部・特許庁・大学が提携して、青年スタートアップの活性化に向けた制度的支援策を模索するために、今回のカンファレンスを開催することになった。

今回のカンファレンスでは、「知的財産と青年起業」をテーマにした発表と参加者の特別対談が行われる。

最初に、KAIST・忠南大学・韓南大学の知的財産・青年起業の専門家(※)が現場で感じたことを中心に、「1.知的財産権を活用した青年スタートアップ育成の必要性」というテーマで発表する。

※忠南大学研究処長・産学協力団長、KAIST技術価値創出院長、韓南大学化学科教授

その次に、政府側からは法務部法律支援団所属の弁護士と韓国発明振興会の地域知的財産室長が、「2.知的財産基盤の青年スタートアップ育成に向けた政府支援の現状と事例」を発表する。

最後に「青年スタートアップIP創業活性化」における、法務部長官、特許庁長、KAIST総長、忠南大学総長、韓南大学総長の特別対談が行われる。

カンファレンスとともに、参加機関との業務協約が締結される。

まず、法務部と特許庁間の業務協約には、青年スタートアップがIPを事業化する際に発生し得る、法律・特許紛争を効率的に予防・解決するための両機関の協力体系の構築案が盛り込まれる。

「スタートアップの法律・特許紛争支援のための協力分野」

  • 法務部法律支援団の弁護士と特許庁公益弁理士の特許相談センター弁理士が相互人材交流
  • 韓国国内において技術事業化に必要な法律顧問(法務部)と特許出願支援事業(特許庁)の相互連携および海外に進出する中小企業を支援するための法務部法律支援団と特許庁IP-DESK(海外特許紛争支援機関)の相互連携
  • 知的財産関連の専門知識涵養、スタートアップ支援、知的財産保護および執行制度改善などの協力業務を実施するために実務協議体を運営

その次に、政府(法務部・特許庁)と大学(KAIST・忠南大学・韓南大学)間の業務協約には、技術に基づいた創業者向けの専門家支援などについて、相互合意した内容(※)が含まれる。

※主な協力内容:青年起業家向けの法律支援、技術創業に向けた未活用特許の事業化支援、スタートアップの海外進出に向けた専門家支援など

法務部長官は、「第四次産業革命と新型コロナウイルスの拡散による社会構造の変化に効果的に備えるため、政府と大学が協力して、青年の創業意志と知的財産の産業化をつなげられる制度改善が必要」と強調し、「法務部は、青年の技術創業を支援することができる法制度改善と法務行政に力を注ぐ」と述べた。

特許庁長は、「現在の青年スタートアップが技術事業化をする際において、最大の苦労である事業化資金と販路不足、アイデア奪取などを克服するための効率的な手段が知的財産である」と強調し、「今回のカンファレンスをきっかけに、法務部、KAIST、忠南大学、韓南大学などとともに青年起業家の創造的能力と挑戦意欲が十分発揮できる環境づくりに最善を尽くす予定」と明らかにした。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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