知的財産ニュース 車中泊ブームでテント技術が進化する

2021年5月31日
出所: 韓国特許庁

車中泊キャンプの人気により、車中泊用テントに関する特許出願が急増

ITと融合した安全事故防止およびキャンプの雰囲気をアップさせる技術に注目

新型コロナの影響により、社会的距離を保つことができる車中泊キャンプが人気を集めており、「車中泊用テント」関連の特許出願が、2020年に大幅に増加したことが分かった。

※「車中泊キャンプ」は、車で寝食をこなし、車につなげるテントなどのキャンプ用品を活用して楽しむレジャー活動のことを意味する。
※「車中泊用テント」は、(1)車の屋根に設置するルーフテント、(2)車のトランクやドアに取り付けるテント、(3)車の内部に設置するテントなどがある。

韓国特許庁によると、「車中泊用テント」に関する特許は、2020年に40件が出願され、2019年の15件に比べて167%増加しており、ここ10年間で年平均18%増加したことが分かった。

これは、自由に場所を移すことができ、最小限の用品で気軽に楽しめる車中泊キャンプの人気が特許出願件数の増加につながったと分析される。

一方、一般的なキャンプ場で主に使われる伝統的な「自立式テント」の出願は、同期間で48件から39件減少し、テント分野では初めて「車中泊用テント」が「自立式テント」の出願件数を追い越した。

2013年をピークに減少していたテント分野の特許出願が、2020年から再び増加しており(2019年73件→2020年113件)、これらの増加傾向を「車中泊用テント」がけん引している。

「車中泊用テント」を類型別に見ると、2020年は車のトランクやドアに接続するテントの出願が急増したが(2019年6件→2020年29件)、最も高いシェアを占めていたルーフテントの出願は小幅な増加にとどまった。(2019年8件→2020年11件)

これは、便宜性と実用性を重視する消費者の最近のニーズを反映しているものであり、簡単にテントを車に取り付けることができ、車に関わるキャンプ用品の活用度を高める技術が主に出願されている。

車のトランクに取り付けた折り畳み式のフレームを広げるだけでテントが設置できる技術、トランクに連結して昼間は日よけ、夜にはスクリーンに活用できる技術などが挙げられる。

また、テントの技術はIT技術と融合され、安全事故を防止するとともに、キャンプの雰囲気をアップさせる方向に進化している。スマートフォンなどと連携した一酸化炭素検出および制御技術、自然の音をテントの内部に光や音楽で表現する技術などが出願されている。 近頃、韓国の自動車メーカーが車中泊キャンプに適合した電気自動車を発売して注目を浴びており、今後「車中泊用テント」は、電気自動車と融合されることで、多様に活用できる形に発展していくと予想される。

このようなテント技術の発展は、韓国内の出願人がリードしている。特に、個人出願が64.8%で、キャンプ場での経験から得られたさまざまなアイデアが特許出願に結び付いたと見て取れる。

特許庁の住宅基盤審査課の審査官は、「車中泊が与える便利さと乗用車改造の許容(※)などにより、車中泊用テントをはじめとする車中泊キャンプ関連の特許出願は、これからも継続的に増加すると予想される」と述べた。

※2020年2月の自動車管理法の改正により、キャンピングカー車種の制限が廃止され、既存の11人乗り以上のバンだけでなく、乗用車など全車種を対象にキャンピングカー改造を許容している。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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